2012年12月17日月曜日

eラーニングの配信のお知らせ


日弁連研修総合サイト(日弁連の会員専用ホームページ内にあります)のeラーニングでは現在倒産法と労働法の連続研修が始まっています。
このうち倒産法の連続研修の第1回目について配信が始まりました。
第1回目は法人破産事件を中心に申立代理人の初動について私(石川)と埼玉弁護士会の安田孝一先生とで解説しています。
2時間弱で手続選択から申立後までの申立代理人の役割について特に初心者や経験の浅い弁護士向けにお話をさせていただきました。
初回は無料ですが、是非とも研修パスポートを購入されて、今後配信される第2回目以降も見ていただければと思います(講師は各回毎に異なりますが、いずれも倒産事件については経験豊富な弁護士です)。
また、野村剛司先生が個人再生申立と未払賃金立替払制度を解説している講座もありますので、こちらもあわせてご覧ください。

2012年11月22日木曜日

『破産実務Q&A200問』が出来上がりました!

全倒ネット編『破産実務Q&A200問』(金融財政事情研究会)が出来上がりました!

5年ぶりの全面改訂で、150問が200問になりました。

単純に50問増えたのではなく、前の153問を再構成した上で新設Qを追加し、全200問となっていますので、新設Qがかなり増えました。

そして、私たち3名はコアメンバーとして関与しております。

また、全国の弁護士が執筆者となっていますので(39単位会)、正に全国ネットになっていますね。

次の改訂はいつになるかわかりませんが、少なくとも今後の5年間をリードするQA本になることは間違いないと思います。

是非ご活用ください。

2012年11月11日日曜日

未払賃金立替払制度の連載(第8回・完)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載の最終回第8回は、「立替払金の充当と求償および今後の取組み」です。

金融法務事情の最新11月10日号(1957号)74頁です。

立替払金の充当の点は実際のところ、かなり難解ですね。『破産管財実践マニュアル』280頁以下、519頁以下に全パターンを掲載していますので、併せて参考にしていただけたらと思います。

これまでの連載全8回分をまとめておいていただけると、役立つと思います。

さて、この後は、集大成です!

2012年10月26日金曜日

未払賃金立替払制度の連載(第7回)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載第7回は、「立替払請求等に関する留意点」です。

金融法務事情の最新10月25日号(1956号)66頁です。

立替払金に対する課税や解雇予告手当について扱っていますので、参考にしていただけたらと思います。

残るは、次号の第8回、充当と求償です。

2012年10月15日月曜日

全倒ネット研修会(水戸)

先週の土曜日(10月13日)に水戸で全倒ネット関東地区の研修会がありました。
メインのパネルディスカッションは「ベテラン弁護士・裁判官による破産管財人基礎講座」でした。
パネラーは茨城県弁護士会の植崎先生、佐谷先生と東京弁護士会の富永先生、水戸地裁の新谷裁判官と茅根書記官でした。
管財手続きの最初から最後まで初心者向けにポイントをわかりやすく話していたので、それなりに経験のある私にとっても自分の考えを再確認できて大変勉強になりました。
特に管財行の中心となる不動産の換価について各パネラーの先生から、苦労した点や工夫して上手くいった点の話があり、とても参考になりました。
次回は来年の3月9日に横浜で開催される予定です。関東地区の会員の先生方は是非とも参加していただければと思います。

2012年10月8日月曜日

未払賃金立替払制度の連載(第6回)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載第6回は、「労働者に関する留意点」です。

金融法務事情の最新10月10日号(1955号)72頁です。

従業員兼務役員や請負か雇用か争いになる場面等を扱っていますので、参考にしていただけたらと思います。

退職金(第4回)、定期賃金(第5回)、労働者性(第6回)と争点シリーズが続きました。

最終第8回の原稿も書き上げましたので、後は掲載を待つだけです。

2012年9月24日月曜日

未払賃金立替払制度の連載(第5回)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載第5回は、「定期賃金に関する留意点」です。

金融法務事情の最新9月25日号(1954号)88頁です。

定期賃金に含まれるものと含まれないもの、日割計算の方法など、いろいろと気になる点がありますので、参考にしていただけたらと思います。

全8回の予定ですので、折り返しましたね。

2012年8月24日金曜日

未払賃金立替払制度の連載(第4回)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載第4回は、「退職金に関する留意点」です。

金融法務事情の最新8月25日号(1952号)104頁です。

退職金に関しては、いろいろと問題のあるところですので、参考にしていただけたらと思います。

次号は特集号なので、連載もお休みです。次々号から再開です。

2012年8月23日木曜日

債権届の代理人

破産債権者が債権届をするに際して、従業員を代理人とすることがあります。

弁護士代理の原則(破産法13条、民事訴訟法54条)との関係が一応問題となりますが、債権届における代理人は「訴訟代理人」ではないと解されています(「条解破産法」754頁、「コンメンタール民事訴訟法I」530頁)。

ですので、従業員が代理人として提出した債権届出書も有効です。

もちろん、委任状の有無を確認することは必要です。

2012年8月12日日曜日

個人再生における履行可能性(2)

再生計画認可の要件に履行可能性が必要となるのは、前回のエントリーのとおりです。


もっとも、再生債務者の収入のみで履行が可能できなければならないわけではありません。
同居親族の収入や、別居親族等の援助を加えて履行が可能となれば、それで足ります。

もちろん、小規模個人再生では、再生債務者自身に「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」(民事再生法231条2項1号)があることが、給与所得者等再生では、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者」で、かつ、「その額の変動の幅が小さいと見込まれる者」でであること(民事再生法241条1項4号)が前提です(正確には、これらの事情がないことが不認可の要件です。)。

また、親族等の援助が確実であることを疎明するために、援助者の源泉徴収票など収入に関する資料に加え、特に家計が別である別居の親族などの場合には、再生計画の履行期間に確実に援助を行う旨を記載した陳述書や上申書の提出が必要となるでしょう。

2012年8月11日土曜日

個人再生における履行可能性(1)

個人再生でも、再生計画の履行の見込みがないときは、再生計画が認可されません(民事再生法231条1項241条2項1号174条2項2号)。

ただし、住宅資金特別条項を定める場合は、履行可能性があると認められなければ、再生計画は不認可となります(民事再生法231条1項かっこ書き241条2項1号かっこ書き202条2項2号)。


微妙な違いですが、理論上は、住宅資金特別条項を定める場合には、積極的に履行可能性が認められる必要があるのに対し、それ以外の場合には、履行可能性が否定されなければよいとされています。

もっとも、実務上、これらの違いは意識されてはいるものの、結論が異なる場面は少ないように思われます。

2012年8月10日金曜日

親族への不動産の譲渡

破産者所有の不動産について、破産者の親族が買取りを希望することがあります。
特に自宅不動産が多いのですが、適切な価額であれば破産管財人としてこれを拒む必要はありません。

当然、買受希望価額が適切であることを確認するために、破産管財人が業者の査定を経ることは必須です。もっとも、買受希望価額が査定額を上回っていれば、入札を実施する必要まではありません。

ただし、購入代金が破産者や破産者が代表者であった破産会社の隠し財産であることも希にあります。
ですので、購入代金の原資は確認した方がいいでしょう。

なお、親族買取りを避けたいとする別除権者もいますので、その意向を確認することが必要です。

未払賃金立替払制度の連載(第3回)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載第3回は、「機構の審査と破産管財人の留意点」です。

金融法務事情の最新8月10日号(1951号)94頁です。

機構の審査上のチェック事項や提出書類をまとめた一覧表や、管財人としての工夫といった点を書いています。

参考にしていただけたらと思います。

2012年8月8日水曜日

普通預金と相殺

個人の普通預金が金融機関によって相殺される場合、口座自体が解約されるときと、出金扱いのみで口座自体は残るときがあります。

後者の場合、破産管財人としては、自由財産拡張または放棄の処理をする必要があります。

2012年8月6日月曜日

破産者宛郵便物の転送(3)

転送郵便物で気をつけなければならないのは、破産者が社会保険の任意継続をしている場合の保険料の納付書です。
破産者が納付を怠ると、任意継続が打ち切られてしまいますので、速やかに破産者に引き継ぐことが必要です。

選挙の入場券も投票日当日までに引き継ぐことが好ましいことはいうまでもありません。
もっとも、入場券がなくとも、免許証などで本人確認ができれば投票は可能です。したがって、そのことを破産者に伝えて対処を図ることもあります。

2012年8月5日日曜日

配当日

配当日は、破産管財人が裁判所と相談しながら決めることになりますが、基本的には破産管財人の意向が優先される運用が取られています。

配当は銀行の窓口から振込で行うことが通常ですから、いわゆる五十日や月末など決済が集中する日は避けるべきでしょう。
混雑のため事務員の時間が取られることをを避けることができますし、銀行のミスの危険性も回避することができます。

2012年8月4日土曜日

公租公課の弁済時期と延滞税等の減免

公租公課は、財団債権と優先的破産債権に分かれます。
(厳密には劣後的破産債権もありますが、配当可能となることはほとんどないので、ここでは無視します。)。

これらの公租公課は、いつ弁済・配当することとなるでしょうか。

財団債権は適宜の時期に弁済すればいいのですが、通常は換価終了後に行うことが多いでしょう。事件の進行によっては、維持廃止後に財団債権を按分弁済することもあります。

これに対して、優先的破産債権は、他の破産債権と同じく配当の対象となります。

しかし、大阪地裁では、優先的破産債権について裁判所の許可を得て財団債権化し、弁済するという運用が行われています(和解許可方式)。
この場合の弁済時期は、財団債権と同じになります。
ただし、弁済は維持廃止後でも可能ですが、和解許可自体は廃止前に行う必要があるとされています。

和解許可方式には、2つの局面でメリットがあります。

1つめは、優先的破産債権の一部までは配当が可能であるけれども、一般破産債権までは配当が及ばない場合です。
このような場合に配当手続を行おうとすると、配当がない一般破産債権者にも債権届を促すこととなり、不経済です。
和解許可方式では、これを回避することができます。

2つめは、財団債権・優先的破産債権の両方の延滞税や延滞金について減免申請を行う場合です。
減免申請には、本税を支払う財団が形成された場合の減免(国税通則法63条6項4号同法施行令26条の2第1項地方税法20条の9の5第2項3号同法施行令6条の20の3)と、やむを得ない事由による減免(地方税法64条3項326条3項369条2項等)とがあります。
特に前者について、財団債権部分を弁済するだけでは減免を認めず、優先的破産債権部分まで配当して初めて減免に応じるとする公租公課庁が多いようです。
和解許可によって、優先的破産債権部分を財団債権と同時に弁済することで、この点をクリアすることが容易になります。

2012年8月3日金曜日

個人再生と免除益課税

通常再生では、再生計画による権利変更で生じる免除益に対する課税を回避するために、さまざまな工夫を凝らす必要があります。

個人の場合も、債務免除を受けたときに所得税が発生するのが本則です(所得税法36条1項所得税基本通達36-15(5))。
しかし、再生債務者は、「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」ですので、債務免除益は所得に参入されず、所得税は発生しません(所得税基本通達36-179-12の2)。

同様に、免除を受けたことによって贈与により財産を取得したものとして贈与税課税がなされるかが問題となりうるものの、「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、当該債務の全部又は一部の免除を受けたとき」(相続税法8条1号)にあたるので、贈与税も発生しません。

2012年8月2日木曜日

当座預金の通帳

当座預金についても通帳が発行されている場合がありますが、普通預金の通帳と異なり、取引の履歴が全部記帳されるわけではありません。
当座預金の動きについては、必ず当座勘定照合表や帳簿を確認することが必要です。

2012年8月1日水曜日

初めての法人破産申立(63)

裁判所から、債権者集会において申立代理人に期待することについて
パネラーの裁判官からは債権者から厳しい発言がなされた場合に、代表者や代理人が何も言わずに黙っていると債権者がますます怒り出すということもあるので、その場の雰囲気を感じ取って、裁判所に発言の許可を求めて、誠実に状況説明をして欲しいという話がありました。
また、荒れる集会は債権者側の問題もあるが、破産申立に至る経緯に問題があることも多いので、その辺の事情に対する配慮を示してもらいたいという話がありました。
(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

管財人口座をどの金融機関のどの支店でつくるか

管財人口座(高価品保管口座)は、事務員の利便を考えると、弁護士が通常の業務用口座を有している金融機関の支店で開設するのが基本的な考え方でしょう。


もっとも、近時は、開設手続きをしても実際に利用できるようになるまで1週間程度の期間を要する金融機関もあります。
振込先が特定できないため、売掛金の回収のための請求書すら発送することができず、管財業務に支障を来すことがありえます。

また、配当を行う際に、連記用の振込用紙を利用させてくれない銀行もあります。

さらに、財団債権や優先的破産債権である公租公課を納付書で弁済・配当する場合に、市町村によっては取扱金融機関でなく、管財人口座から取扱金融機関まで現金を移動させなければならないこともあります。


このような事情を考慮して、通常は利用していない金融機関を管財人口座とすることも検討しています。

2012年7月31日火曜日

全額の異議と簡易配当における配当通知

簡易配当の配当通知の送付先には、全額異議を述べられた破産債権者にも行うことが必要です。

法文上、配当通知の送付先が「届出をした破産債権者」とされています(破産法204条2項。最後配当の場合の配当額の通知を定めた破産法201条7項と比較して下さい。)。

これは、簡易配当の配当通知は、最後配当の配当公告に代わるものとして、除斥期間の始期を画する機能を有していますので(破産法205条198条1項)、全額異議を述べられた破産債権者も配当通知に利害を有しているからです。

2012年7月30日月曜日

管財人報酬の源泉徴収

平成23年3月11日の最高裁判決で、破産管財人には、少なくとも破産者が法人である場合に管財人報酬の源泉徴収義務があることが明らかとなりました。

源泉徴収は、翌月10日までの納付が本則ですが、小規模な会社では6か月ごとに納付する特例を用いていることが通常です。
破産会社がこの特例を用いている場合は、管財の源泉も6か月以内にすれば足ります。
なお、この6か月は、報酬決定時ではなく、実際の受領時が起算日となります。

納付する管轄の税務署は、破産管財人の住所地や事務所所在地ではなく、破産会社の給与支払いを行う事務所を管轄していた税務署となります。

破産管財人としては、開始決定後すぐに当該税務署から納付書を受け取っておくと、源泉徴収事務を忘れずに済みます。
また、源泉徴収後に支払調書を提出することとなりますので、事務費として郵便代も引いておくとよいでしょう。

2012年7月25日水曜日

初めての法人破産申立(62)

所謂荒れる集会について申立代理人として留意すべき点について
申立代理人がどのような対応をしても感情的な発言をする債権者がいることは事実ですが、債権者集会が荒れる理由には事前対応に問題があることも少なくありません。
代理人として受任しているのですから、代表者に直接対応させないことは問題ありませんが、債権者からの問合せに対しては代理人は対応すべきだと思います。
管財人として良く聞くクレームが申立代理人と連絡が取れない、連絡をお願いしても返信がないということです。
また、債権者集会が荒れることが予想される場合は裁判所と管財人にその情報を引き継いでほしいと思います。
その場合、例えば債権者からどのような発言が出るのかある程度予測できるのであればその情報も引き継いでもらいたいと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月24日火曜日

未払賃金立替払制度の連載(第2回)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載第2回は、「制度の利用と立替払いの要件」です。

金融法務事情の最新7月25日号(1950号)90頁です。

申立代理人としての留意事項も書いています。
今までは、研修会で口頭説明に止めていましたが、やっぱり書いておいた方がよいと思い書きました。参考にしていただけたらと思います。

2012年7月23日月曜日

初めての法人破産申立(61)

第1回債権者集会における申立代理人の役割について
まず、代理人として大切なのは破産会社の代表者を集会に同行させることです。
うるさい債権者が来ることが分かっている場合は出たがらない代表者も少なくありませんが、そこはきちんと説得すべきです。
パネラーの先生からは破産会社の代表者には、債権者集会の場で債権者に対するお詫びを述べさせている。集会の場や終了後に債権者から文句を言われることもあるが、基本的には謝罪するという対応で一貫させているという話がありました。
正しい対応だと思います。
ただし、不当な要求に対しては毅然と対応することも必要です。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月20日金曜日

初めての法人破産申立(60)

〇〇データバンクや〇〇リサーチ等の会社から取材の電話があった場合に申立代理人としてはどのように対応すべきでしょうか。
この点パネラーの先生からは、申立直後は情報が錯綜しているし、複数の情報源から不確定な情報がいくつも外部に出ることは好ましくない。必要な事案では記者会見をしたり、報道機関向けにペーパーを用意することもあるが、例外的な場合である。
申立直後に電話取材などで申立の事実を聞かれた場合に答えるかはケースバイケースであるが、開始決定も出ていないのに管財人候補者を漏らしたり、破産に至った経緯をあれこれ話すことは好ましくないとの話がありました。
他方で、破産手続開始決定がなされた後であれば破産した事実や負債総額、債権者数あたりについては答えて支障ないと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月18日水曜日

初めての法人破産申立(59)

依頼者に対する生活指導や精神的なケアについて代理人として注意すべき点について、私自身は経験がありませんが、破産申立をした後に代表者が自ら命をたったという話しを聞いたことがあります
会社を倒産させたことに自責の念を持って代表者については、代理人として精神的な配慮をすること(励ますこと)を考えてください。
他方で、破産申立をした代表者が破産後も(自分の車ではなくても)高級外車を乗り回して、ゴルフをしたり、飲み歩いているというクレームの電話を受けたこともあります。一切の趣味嗜好を止めるべきであるとまでは言いませんが、節度ある慎ましい生活を心がけるように指導すべきです。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月17日火曜日

初めての法人破産申立(58)

事件終結までの破産管財人に対する協力のあり方について申立代理人として留意すべき点についてはどのようなことがあるでしょうか。
申立をして開始決定が出るとそこであたかも申立代理人の仕事は終わったかのように考える代理人をときどきいますが、それは間違いです。
開始決定後でも、管財人から問い合わせや協力の依頼があれば、速やかに対応することを心がけてください。
管財人は転送郵便物をチェックしていますが、①新たな債権者ではないのか②申立書には記載のない財産ではないのか③処理未了の継続的契約ではないのか等の疑問が生じれば申立代理に説明を求めます。
代理人としては説明に回答するだけではなく必要に応じて、債権者追加の上申書や報告書を作成して裁判所及び管財人に提出するようにしてください。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月13日金曜日

初めての法人破産申立(57)

破産管財人への引き継ぎにあたり、申立代理人が注意すべき点にはどのようなことがあるでしょうか。
引き継ぎの対象には書類と情報がありますが、いずれも速やかに行うこととが大切です。
管財業務(特に換価業務)に必要な書類はものは、早急に漏れなく引き継ぐことをお願いしたいと思います。引き継ぎに際しては引継書を作成してください。
通帳などは預ける直前に記帳してもらえると管財人としてはありがたいです。
また、引き継ぎに際しては、管財人が早期に対応することが望まれる事項についてきちんと情報を伝えて欲しいと思います。
そして、破産管財人との面談に際しては、不利益なことも含めて情報を開示するという姿勢を持って欲しいと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月12日木曜日

初めての法人破産申立(56)

申立書に添付する資料については、破産規則の14条に記載されているものの他、取締役会議事録、(不動産があれば)登記簿、(自動車があれば)車検証、陳述書は添付するようにしている。また、債権者一覧表の作成に際しては、個人の同廃事件と異なり、事業停止後に受任通知を送付するので、債権調査を行う時間的な余裕はないので、債権者一覧表の債権額の金額の正確性について神経質になる必要はないとの話しがパネラーの先生からありました。

ちなみに、私は法人破産申立の添付資料については大阪地方裁判所と大阪弁護士会の破産管財運用プロジェクトチームが執筆している「新版・破産管財手続の運用と書式」に記載されているチェックリストを参考にしてます。


(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカ
ッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月11日水曜日

初めての法人破産申立(55)

申立書作成に際しての注意点についてはパネラーの先生からは申立書と陳述書については、破産規則(13条)に従って、大きく分けて法人の事業の概要、破産申立に至る経緯・原因と現在の資産及び負債の状況の2つを記載するようにしている。
前者は管財人がそれを見れば債権者集会の報告書をまとめら得るように意識的に細かく書いている。また、後者については決算書と現有資産との乖離の理由、資産目録とおりの評価をした根拠を明確にするようにしているとの話がありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカ
ッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月10日火曜日

個人再生の管轄

個人再生の管轄は、住所地の裁判所です(民事再生法5条、民事訴訟法4条2項)。
住所地は、必ずしも住民票所在地と一致するわけではなく、生活の本拠が住所地となります(民法22条)。
個人事業者の場合は、営業所の所在地にも管轄があります(民事再生法5条)。

また、破産と同じく、連帯債務者間、主債務者と保証人間、夫婦間の一方に管轄があれば、他方にも管轄が生じます(民事再生法5条7項各号)。

例えば、主債務者が大阪市内、保証人が京都市内に住所を有する場合、主債務者、保証人とも大阪地裁に個人再生の申立てを行うことが可能です。

なお、民事再生法5条7項柱書は、「一人について再生事件が係属しているときは」としていますが、同時申立ても可能です。

2012年7月9日月曜日

全倒ネット研修会

先週の土曜日(7月7日)に全倒ネット関東地区の第21回研修会が千葉で行われました。
私はパネルディスカッションのコーディネーターを担当させてもらいました。
内容については時期をみてこのブログで連載報告したいと思います。
また、この研修会の準備と仕事に追われて中断している法人破産申立の連載も近日中に再開したいと思います。

次回の関東地区の研修会は10月13日(土)に茨城県の水戸で行います。全倒ネットの会員でなくても参加できますが、まだ加入されていない弁護士の先生方は是非とも加入してください。
今加入すれば今年の秋に発売される予定の「破産実務Q&A200問」がもらえるはずです(通信費を支払っている会員に無償で配布される予定です)。

未払賃金立替払制度の連載開始!

昨年3月から労働者健康福祉機構の未払賃金立替払制度の研修会を全国各地で開催してきましたが、金融法務事情に「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」と題する連載を掲載していただけることになりました。

第1回は最新7月10日号(1949号)60頁の「未払賃金立替払制度の概要」です。
研修会でご一緒している機構の吉田さんと2人で担当しています。

QA方式で、機構と破産管財人のそれぞれの立場から説明しています。

是非ご一読ください!

2012年7月6日金曜日

「特定○○」という法律用語

最近、「特定○○」という法律用語が多いように思います。

法律だと、特定商取引法や特定調停法、一般的に通りがいいのは特定保健用食品(トクホ)でしょうか。

いずれも「ある一定の要件を満たす」という制度や物、ということなのでしょうけれども、全く名が体を表していません。
特定商取引法も特定調停法も、内容を知っているからいいようなものの、法律名からだけだと何のための法律やらさっぱりわかりません。

また、特定商取引法などですと、「商取引」は無数にあるわけですから、次に特定商取引法とは全く別の目的も範囲も異なる「商取引」に関する法律を作ろうとしても、すでに使ってしまっている「特定」を冠することはできなくなってしまうはずです。

ネーミングは難しいですが、内容を知らないと法律名がわからない、という立法は避けていただきたいですね。

2012年7月3日火曜日

『破産管財実践マニュアル』8刷に

『破産管財実践マニュアル』の8刷が本屋さんに並ぶようになりました。

これで、発行部数は累計8400部です。ここまで広がるとうれしいですね。

3年前の平成21年7月3日、東京の青林書院の会議室で最後の確認作業をして責了となったことを思い出します。

あれからもう3年なんだなあ、と思うと共に、もっとよいものにしたいなあ、と強く思います。

はしがきに、「筆者らの試みが功を奏するかどうかは、これから数年を経てみないとわかりませんが」と書きましたが、その「数年」のうち3年が経過しようとしています。裾野拡大と全体のレベルアップが図られているとありがたいのですが。それを信じてこれからも進むことにしたいと思います。

2012年7月2日月曜日

『争点 倒産実務の諸問題』

大阪の倒産実務交流会編『争点 倒産実務の諸問題』(青林書院)が出来上がりました。

2つの会社更生事件の管財人団による勉強会が大きく発展しました。これまでの6年間の成果です。

本書には、これまで銀行法務21に掲載させていただいた論文22本(野村2本と新宅1本)を収録しています。

日々の業務に役立つ内容となっておりますので、是非ご一読を!

2012年6月30日土曜日

労働債権の立替払いと申立ての時期

未払いの労働債権に対しては、労働者健康福祉機構による立替払いをうけることができます。

ただし、立替の対象となる労働者は、破産申立てまたは労働基準監督署長への事実上の倒産の認定申請が行われた日の6か月前までに退職した者に限られます。

つまり、退職から破産申立て等までに6か月が経過してしまうと、立替払いを受けられなくなってしまうということです。

申立代理人としては、漫然と申立てが遅れてこのような事態が決して生じないよう、十分注意する必要があります。

また、やむを得ず申立てが遅れる場合で、未払いの労働債権を有する退職者がいるときは、退職者に対し、労働基準監督署長に事実上の倒産の認定申請を行うように促すことも必要です。

2012年6月29日金曜日

申立前の労働債権の弁済

法人や個人事業者の破産申立てを受任した場合、労働債権の処遇にも気をつけなければなりません。
未払いの労働債権がある場合で、申立費用や予納金を用意してさらに余裕があるときには、労働者の生活の維持のためにも、できるだけ申立前に未払い分を支払ってしまうことが望ましいとされています。

未払い労働債権全額を支払えるときは問題がありませんが、一部しか支払えない場合は、どの部分から支払うかに気をつける必要があります。

破産申立前の解雇は、予告解雇ではなく、即時解雇とすることが多いでしょう。
即時解雇の効力に疑義を残さないようにするためには、解雇予告手当から支払うことが望ましいでしょう。

これにより、結果的に労働者が受領することができる金員が増える可能性があります。
つまり、
多くの裁判所で優先的破産債権にとどまるとされ、かつ、労働者健康福祉機構による立替払いの対象とならない解雇予告手当が減少し、他方、財団債権や立替払いの対象となる未払いの給与・退職金が残ることになるからです。

2012年6月28日木曜日

初めての法人破産申立(54)

破産手続開始決定後に破産管財人が事業譲渡することもありえますが、この場合は管財人のもとで適正な売却手続がとられ、裁判所の許可も得ているので公正さが担保されていると考えられます。
また、事業譲渡に関しては、破産申立後、破産手続開始決定前に保全管理人を選任してもらい保全管理人が事業譲渡を行う方法もパネラーの先生から紹介されていました。
破産手続開始決定が出てしまうと、事業基盤になっている許認可が失われたり、ライセンス契約が解除されてしまう場合に使うことが考えられられるとのことです。
事業免許に関してよく本で紹介されているのが東京築地市場の仲卸業の事業権ですね(「破産・民事再生の実務[新版]上・」102頁)。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月27日水曜日

自由財産拡張基準における評価-退職金・敷金

大阪地裁では、自由財産拡張の対象となる財産について詳細な評価基準を定めています(新版破産管財手続の運用と書式」70頁以下)。


退職金は、原則として、開始決定の時点における退職金支給見込額(実際には、申立て時点の支給見込額。なお、支給見込額は自己都合基準で算定)の8分の1とされています。

これは、退職金のうち4分の3が差押禁止として(民事執行法152条)本来的自由財産であることに加え、将来の懲戒解雇の可能性から、対象金支給が確実とはいえないことを考慮し、差押禁止でない4分の1をさらに50%減価して8分の1と評価しているものです(同74頁)。

もっとも、定年間近であるなど、退職金支給が確実である場合には、50%の減価は行われず、支給見込額の4分の1と評価します。

なお、差押禁止部分である4分の3部分が、いわゆる99万円枠に影響を与えることはありません。


これに対し、破産者が居住する賃借物件の敷金については、明渡し費用実額を疎明してこれを控除することもできますが、一律にみなし明渡し費用として60万円を控除することも認められています(同74頁)。通常は、60万円の控除を用いることが多いでしょう。

これは、通常60万円程度は明渡し費用がかかると考えられることによるものですから、破産者による明渡しが近々予定されているとしても、退職金の評価と異なり、みなし明渡し費用を用いることができなくなることはありません。

2012年6月26日火曜日

労働債権の供託

破産管財実践マニュアルの288頁に、元従業員が行方不明などの場合に供託せざるをえない場合があると記載しています。

考えられるケースとしては、財団債権の弁済の場合のほか、優先的破産債権の債権届があったものの、配当までの間に行方不明となった場合が考えられます。

債権届前に行方不明になった場合は、財団債権部分については供託を実施しますが、優先的破産債権部分については配当の対象とならないことから、供託は行いません。

初めての法人破産申立(53)

破産申立前の事業譲渡が許されるのは、破産申立・開始決定を待っていては事業価値の劣化が急速に進んでしまい、かえって配当率が下がり、債権者に不利益が生じることが明らかであり、かつ譲渡先選定の手続が公正・公平であり、価格が適切である場合に限られることになる。
競争原理の働かない手続きで、特定の相手方に不相当に安い価格で譲渡して会社をカラにして破産申立をすると「計画倒産」ではないかという疑いもかけられることになるので注意が必要であるとの話もパネラーの先生からありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月25日月曜日

初めての法人破産申立(52)

第三者から破産会社の事業を買い受けたいとの申し入れをされた場合に申立代理人はどのように対応したら良いでしょうか。
この点パネラーの先生からは、破産申立前に事業譲渡する場合は、売却先選定手続の適正さや譲渡価格の相当性についてきちんと説明できるだけの資料を用意できないと、後日管財人から否認をされる可能性もあるし、債権者からクレームが出されることも考えられる。
(譲渡先を広く募り、入札やそれに近い形で)譲渡価格の適正さが推定されている場合は許容されると思われるが、現実問題として破産申立直前の時期にそのようなオープンな売却が行いことができる事案は極めてまれでしょうという話がありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月22日金曜日

初めての法人破産申立(51)

例えば、破産申立予定の法人が取引先から損害賠償請求をされていて、損害額を争っていたような場合、取引先の損害賠償請求訴訟は破産債権に関する訴訟として破産手続開始決定がなされると中断します(その後の処理については破産管財実践マニュアル86頁以下を参照してください)。
ところで、仮に破産手続開始決定前に敗訴すると有名義債権となり、後日管財人が債権調査で認めない旨の認否をする場合に足かせとなる可能性があります。
申立代理人としては、訴訟代理人も兼任しているのであれば開始決定前に不用意に敗訴判決をもらわないような配慮をしてほしいと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月21日木曜日

初めての法人破産申立(50)

破産申立予定の会社に訴訟が係属している場合、訴訟はどうなるのでしょうか。
継続している訴訟については、破産手続開始決定により、中断する訴訟と中断しない訴訟があるので、その区別をする必要があります。詳しくは破産管財実践マニュアルの86頁以下を参照してください。
なお、破産手続開始決定がなされたことは、訴訟が係属している通常部は分からないことが普通です。そこで開始決定後に破産管財人が訴訟が中断する旨の上申書を通常部に提出することになりますが、破産申立の代理人が係属している訴訟の代理人も兼任しているのであれば、通常部に対するアナウンス(破産申立や開始決定がなされる予定であること)をしておくと良いでしょう。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月20日水曜日

初めての法人破産申立(49)

準自己破産申立をする場合で、代表者が行方不明(や死亡)の場合は特別代理人の選任が必要となります(準自己破産申立でも代表者がいる場合は不要)。
破産手続開始決定の送達の名宛人は法人の代表者ですし、不服申立手段(即時抗告等)の手続保証をする必要があるからです。
私が最近千葉地裁に申立をした事件(代表者死亡)では特別代理人の選任の申立書、特別代理人の先生の推薦書、推薦する先生の承諾書、裁判所に対する報酬請求権の放棄書を提出しました。特別代理人をお願いする先生にはこちらから若干の報酬を支払いました。
もっとも、取締役間で意見の対立が生じていない事件ではあえて特別代理人の選任まで求めない運用をしている裁判所もあるようです。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月19日火曜日

初めての法人破産申立(48)

法人の代表者が行方不明の場合に代表者の弟である(平)取締役が破産申立をすることができるのでしょうか。
法人が自己破産する場合、通常は取締役会を開いて決議を行い、代表者が申立をしますが、破産法19条1項2号の規定から弟さんは取締役としての地位に基づいて申立をすることができます。これを準自己破産といいます。
準自己破産の場合は自己破産と異なり、破産原因を疎明しなければならないことになっていますが(19条3項)、実務上は大きな違いはないと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月18日月曜日

初めての法人破産申立(47)

否認対象行為に関連して、申立代理人に望むこととして、パネラーの裁判官からは、大半の否認対象行為は、難しい法律問題ではなく、代表者などの当事者自身も常識的にはやましいと感じていることが多いと思う。そういうやましい行為は避けること、万一行ってしまった場合は正直に申告するという態度が、債権者集会での紛糾を避け、速やかに破産手続を進行させることになり、個人の場合は免責許可を受けやすくなるなど、破産者自身の終局的な利益に繋がることをよく理解させてもらいたいという話しがありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月15日金曜日

延滞税・延滞金の減免申請

『破産管財実践マニュアル』332頁の最終行に、「自由裁量ではなく、覇束裁量です。」と書いた点、『国税通則法精解』平成22年改訂の681頁(私が持っている平成19年改訂では648頁)に「自由裁量を認める趣旨ではない。免除事由に該当すると判断された場合には、免除をすべきものである。」と説明されています。

かつて、裁判官が講師の管財研修で、レジュメに覇束裁量と書いてあったのをずっと拠り所にしていたのですが、出典はここでしたね。

なお、『破産管財実践マニュアル』の誤字ですが、332頁下から2行目と518頁本文1行目の「国通令26条の2第1項」は「国通令26条の2第1号」です。

初めての法人破産申立(46)

代表者が無断で特定の債権者に偏頗弁済をしてしまった場合に申立代理人としてはどうすべきでしょうか。
パネラーの先生からは、原則として、後に管財人から否認権を行使される可能性が高いことを伝えて、元に戻すように説得することになるが、交渉に時間がかかるようであれば、申立を行った上で、申立書や陳述書に偏頗弁済の事実や経緯を記載して、管財人に情報を引き継ぐという話がありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月14日木曜日

初めての法人破産申立(45)

代表者から義理があるのでどうしても返済したい債権者が1人いますと懇願された場合や今後の自分と家族の生活のために300万円は手元に残したまま申立をしたい懇願された場合に申立代理人はどのように対処すべきでしょうか。
パネラーの先生からはこのような偏頗弁済は後に否認されることになるので、代理人としては止めるように説得することになる。
財産を隠したまま申立をすることは破産犯罪に該当する可能性が高いことを伝えて思いとどまるように説得するという話しがありました。
これはその通りでしょう。むしろ代理人に相談せずに偏頗弁済や財産の隠匿を行ってしまうこともあるので、破産申立の場合は受任以降は当然として相談を受けたときから注意すべきです。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月13日水曜日

初めての法人破産申立(44)

破産申立をするに際して、従業員に対する説明で注意すべき点について、パネラーの先生からは、未払賃金(労働債権)について財団債権だから確実に支払われるかのような誤解を与えかねない説明をしているケースもあるが、破産財団が不足すれば、たとえ財団債権に該当する未払賃金(労働債権)であってもその全部を支払うことができない可能性もあるので、支払の可否や時期などについてあまり楽観的な話しはすべきでないという意見もありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月12日火曜日

初めての法人破産申立(43)

解雇する場合、従業員に対する説明は代理人が行うべきでしょうか。
パネラーの先生からは、破産に至った経緯とそれがやむ得ないことについての簡単な説明、今後の手続きの流れ、従業員の地位、未払賃金の法律上の取扱等については、代表者に全てを任せるのではなく、申立代理人としても立ち会い、補助的な説明をすることが望ましいという話がありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月11日月曜日

初めての法人破産申立(42)

従業員の解雇は破産申立前に行っておくべきでしょうか。
この点、パネラーの先生からは破産管財人が就任した時点で、離職票や源泉徴収票の作成、異動届や健康保険関係の処理、未記帳の帳簿の完成、売掛金回収の手伝い等の業務を元従業員に補助してもらう必要がある場合には、解雇予告だけをして開始決定後も一定期間雇用契約が残るようにしておくことも選択肢としてはありうる。仮に、解雇する場合でも、解雇後も必要な人材がアルバイトの形でもいいから管財人に協力してもらえるように考えておくべきであろうという話しがありました。
他方で、解雇予告もせずに管財人に解雇を任せてしまうことは財団債権が増えるので基本的には望ましくないという話がありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月8日金曜日

初めての法人破産申立(41)

申立前の動産類の処分については、パネラーの裁判官からは、申立代理人が関与して行うのであれば、それを破産手続に入ってから問題とすることはあまりないと思う。
特に、例えば食品など時間の経過とともに急速に価値が劣化するものは申立前に早急に処分する必要が高い、それ以外の在庫商品であっても、時間の経過とともに価値が下げっていくことから処分が可能なものは処分して良いのではないかという話がありました。
但し、後日債権者集会で債権者から処分した値段についてクレームが出ることもあり得るので、この点は相見積もりを取るなどして、疑念を持たれないようにすることが大切であるとの指摘もありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月7日木曜日

初めての法人破産申立(40)

申立前に動産類の処分を行うことについては、申立代理人は、原則として申立前に処分や回収等をしないで、早急に申立をして管財人に引き継いでもらいたいという意見もありました。
申立代理人による処分や回収は活動は、後日管財人が適正であったか検証が難しいし、仮に不適切であったり、管財人としてより適切な方法があったと考えても後戻りができないことを指摘されていました。
また、処分や回収行為を先行させることで申立が遅れることによりデメリットも指摘されていました。
緊急行為を行うことは否定しないが、申立代理人の第一の職務は、とにかく早急に申し立てることであることを考えて、行動してほしいという意見もありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月6日水曜日

初めての法人破産申立(39)

申立代理人のスタンスとして、なるべく現状凍結で管財人に引き渡すべきか、それとも管財人の負担軽減のために事前処理を行うべきかという点も話題になりました。
具体的には、コーディネータの先生から動産類の処分を申立段階で事前に行うことについてはどう考えるべきかとの質問がありました。
この点はパネラー間でも考え方の方向性は分かれました。
私は売却の値段と方法が適切であれば(そのことを説明できるのであれば)原則として事前に売却しても良いと考えています。
管財人の視点で考えれば、売却して現金で引き継いでもらうことが理想的だと思うからです。
また、申立費用が不足する場合には、それを工面するために売却をすることは「有用の資」として許されると思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月5日火曜日

初めての法人破産申立(38)

私も法人の最終の決算書には記載されているが、既に存在しない財産については申立書の資産目録(財産目録)には記載しないことが多いと思います。
ただ、例外が車両です。車両については現実に法人の占有管理下にないけれども誰かが乗り回していたり、乗り回す可能性があることがあります。その場合事故の可能性もありますし、自動車税の請求がなされることになるので、そのような事情が判明していれば財産目録に記載するようにしています。
逆に、名義変更済みであったり、廃車済みであれば申立書の財産目録には原則として記載しません。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月4日月曜日

初めての法人破産申立(37)


決算書には記載されているが、実際には存在しない財産があることが判明した場合はどのように処理すれば良いでしょうか。
機械や車両については決算書上には記載されているが、実際には存在していないことが良くあります。
パネラーの先生からは存在するものだけを資産目録に計上して、存在しないものついては何故現存しないのかの説明を陳述書でするようにしている。陳述書で説明しないと管財人が否認の可否を判断できないからだという話がありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年6月1日金曜日

初めての法人破産申立(36)


申立の準備段階で法人には在庫や原材料について正確なデータがないことが判明しました。この場合棚卸しなどをする必要はあるのでしょうか。
この点パネラーの先生から小売業や卸売業者等、それらが資産の中で中心的な価値を占める場合は、基本的には棚卸しを要求するが、例えば建設会社等、在庫や原材料の金額も僅かであれば棚卸しなどはせずに、代表者や会社関係者の主観的な評価に従って、概ね妥当と思われる金額を資産目録に計上するという話がありました。
価値の低い在庫や原材料を細かく種類毎に記載するのは負担も大きいので「在庫一式」「原材料等一式」という形で資産目録に記載すると良いでしょう。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月31日木曜日

初めての法人破産申立(35)

予納金の流用については裁判官からも、法人と代表者を同時に申し立てることの必要性は高いので、(程度の問題はあるが)基本的にはあまり問題視することはないという話がありました。
また、法人の破産処理を透明性をもって進めるためには、むしろ代表者個人の資産調査の必要性は高いし、法人に対する大口債権者は代表者を連帯保証人としていることが多いから債権者の共通性も認められることからしても、流用については柔軟に考えて良いとの指摘もありました。
裁判官のこの指摘は個人的には大変心強く思いました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月30日水曜日

初めての法人破産申立(34)

法人の破産申立費用や予納金を代表者の財産から出捐したり、代表者の破産申立の費用や予納金を会社の財産から出すことは許されるのでしょうか。
私も含めてパネラーの弁護士の意見は、流用については柔軟に考えて良い(原則として許される)という方向性は一致していたと思います。
この費用の流用については無償否認を認めた裁判例が最近出ています。詳細な事実関係が分かりませんが、一般論として法人と個人を同時申し立てする際の費用の流用については柔軟に考えるべきであり、管財人が否認権を行使すべき場面は極めて例外的な場合であるべきだと個人的には考えています。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月28日月曜日

初めての法人破産申立(33)

法人の申立をしないで代表者のみの破産申立をすることについてはどうでしょうか。
法人には資産もないので、破産申し立てする必要性は乏しいが、代表者個人は免責を得るために申立をする必要があることから、このような申立の依頼を受けることはあります。
この点、パネラーの裁判官からは、代表者の債務の中心が法人の保証債務であることからすれば、代表者について財産調査をするともに、法人についても本当に資産がないのか調査が必要であるから、同時申立の必要は高いこと、債権者の立場からしても、法人を放置されることは債権の欠損処理ができないので困ることになるから、債務者(代表者)のモラルとしても同時申立をすべきという指摘がありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月25日金曜日

初めての法人破産申立(32)

パネラーの裁判官からは(代表者の破産申立を放置して)法人のみの申立を認めることは法人の資産隠匿の温床ともなりかねない。実際に法人をつぶしておいて、代表者のもとに隠匿していた資産で別法人を立ち上げて、もう一旗あげようと企んでいた事案も存在したとの話がありました。
これは論外と言うべきでしょう。
代表者の不当な目的を認識しているにもかかわらず協力する申立代理人は存在しないと思いますが、代表者の不当な目的に利用されないように注意する必要はあります。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月24日木曜日

初めての法人破産申立(31)


パネラーの裁判官からはときどき法人の申立のみをして、代表者の申立は予納金等のお金が用意できないからできないと言われることがあることが、代表者個人も多額の債務を抱えて破産の要件があるのに、破産手続を行わなわずに法人のみの破産手続が進むことは、代表者の資産調査や郵便物の調査ができずに、法人と代表者個人の資産の峻別、財産の移転関係、契約関係等の厳密な調査が困難となるので好ましくないという話がありました。
この話はその通りだと思います。
ただ、私の経験上は代表者のみ申立のケースは時々見られますが、法人のみというのはまれだと思います。代表者は保証債務を抱えていることが普通であり、免責を得ないと経済的再生が難しいからだと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月23日水曜日

初めての法人破産申立(30)

法人と代表者は同時に申し立てるべきでしょうか。
できるだけ同時に申し立てる、若干時期がずれたとしても少なくとも財産状況報告集会が同時期に開催できるように申し立てるのが望ましいという点はパネラーも裁判官も異論がないようでした。
東京では法人と個人を同時に申し立てる場合には法人について20万円の予納金を用意すれば、個人については官報公告費用だけなので、同時に申し立てることが普通だろということでした。
確かに、個人について管財人への引継予納金を用意しなくて良いと言うのは同時申立を促す点で大きな意味があると思います。
千葉地裁では少額管財の事案でも同時申立では20万円+10万円=30万円が最低の予納金になりますので、費用の面からすれば東京地裁よりは若干ハードルが高くなります。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月22日火曜日

初めての法人破産申立(29)

申立代理人はどの時点で費用を受け取るのかという話題もありました。
私の意見はできるだけ早い段階で受け取るべきというものです。
これは私自身の失敗談になりますが、まだ、経験が浅いときに依頼者が「費用は明日にでも持ってきた方が良いですか。」と聞かれて、あまりお金にがめついと思われたくない心理が働いて、申立の準備ができるまでに持って来てくれれば良いですよと答えたところ、途中で一部費消された苦い経験があります。
依頼者が費用の用意ができているのであれば早めに預かっておく方が良いでしょう。
事件規模が分からないと着手金等の金額を決めにくい点もありますが、預かり金として受領してあとで精算すれば良いと思います。
目の前にお金があれば、代表者も人間ですから誘惑にかられて使ってしまうことがあるようです(笑)。用意してくれた依頼者のためにも早めに預かっておきましょう。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月21日月曜日

初めての法人破産申立(28)

私は、弁護士費用を考えるに際しては当該事件において想定される管財人報酬を考慮すべきだと考えています。
例えば、法人破産の申立において所謂少額管財事件として20万円の予納金を納めた場合、財団が全く増えなければ破産管財人の報酬は20万円のみです。その場合報酬規定の範囲内だとしても申立代理人のみが十分な報酬をもらうことは、(申立業務が相当複雑であったという事情がない限り)適切とは思えません。
この場合申立代理人はもらうべき費用を若干削っても予納金に回すなどの配慮をすべきではないかと個人的には考えています。
もちろん、財団の増殖ができて十分な管財人報酬が見込まれる場合は別です。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月18日金曜日

初めての法人破産申立(27)

法人破産申立事件の弁護士報酬はどのように考えたらいいでしょうか。
弁護士費用については各事務所毎に報酬規定を置いているはずですから、その範囲内で定めることになります。
最近の若い先生方は知らないと思いますが、昔は日弁連が報酬基準を定めていました。これは既に廃止されていますが、今でもこの旧日弁連報酬規定を参考に報酬規定を定めている事務所もめずらしくないと思います。私の事務所もこれを参考にしています。
これによると法人の破産事件は資産や負債額等の会社の規模や債権者数を考慮して定めるとしつつ、50万円以上となります。上限は定められていませんが、債権者数や会社の規模から考えて一人で受任するような場合は50万~200万円位が多いと思います。
私は、弁護士費用を用意できる事件ではきちんともらって良いと考えています。それは裏返しとして費用をもらえない割の合わない事件でも社会的必要があれば受任すべきと考えているからです。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月17日木曜日

初めての法人破産申立(26)

予納金や着手金が不足する場合はどうしたら良いでしょうか。
未回収の売掛金があれば、これを回収して費用に充てることが多いという話がありました。売掛金は通常は入金(支払)待ちなので現金化しやすいので、申立代理人としては不足する費用として念頭に置くことが多いでしょう。
もっとも、口座に入金される場合は凍結や相殺、差押え等のリスクもあるので、代理人口座への変更や現金払いを検討する必要があります。
売掛金がない場合は、会社のその他の資産を処分することも考えられます。私自身が経験あるところでは、保険の解約返戻金と自動車の処分があります。
解約返戻金は金額に客観性がありますが、自動車の場合は売却した値段が不当に安いのではないかとのクレームが後から債権者や管財人からなされる可能性もありますので、その点はきちんと説明できるように処分することに注意を払ってください。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月16日水曜日

初めての法人破産申立(25)

東京地裁では所謂少額管財として20万円の予納金で進められる法人破産事件が、千葉地裁や甲府地裁より広く認められているようです。
予納金集めに時間をかけることより、早々に申立をして、事態の悪化や混乱を回避して、管財人に引き継ぎを行い、管財人のもとで公平・透明性ある手続きを進めることが大切であるという考えに基づくようです。
もちろん、管財人が選任されたとしてもそこで申立代理人の役割が終わるわけではない。開始後も管財人に協力することは当然のこととされているという話もパネラーの先生からありました。
東京には管財事件に堪能な弁護士が沢山いることもそのような運用ができる理由ではないかと個人的には思いました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月15日火曜日

初めての法人破産申立(24)


東京地裁では、裁判所に納める厳密な意味での予納金は、官報公告費用(法人1件について1万2830円)のみですが、破産管財人に最低限の報酬・活動費用に充てられる費用として20万円を準備するが、これは裁判所に納めるのではなく、開始決定後に申立代理人から管財人に引継予納金として交付するということです(千葉地裁でも申立代理人が千葉県弁護士会の代理人の場合は原則として引継予納金方式をとっています)。
東京地裁の予納金については「破産申立マニュアル」(商事法務)の274頁以下に詳しく記載されています。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月14日月曜日

初めての法人破産申立(23)

法人破産の申立をするにあたり弁護士費用と予納金の説明をする必要があります。
法人破産申立の予納金は幾らでしょうか。
甲府地裁の一般的な法人破産事件の予納金は負債額に応じて決められているとのとであり、裁判所のホームページにも記載されているとのことです。
千葉地裁の通常の法人破産事件の予納金と大体同じです。
ところで、千葉地裁では所謂少額管財が導入されているので法人破産申立事件の最低予納金は20万円です。代表者も同時に申し立てる場合(併存型)の代表者個人の予納金は10万円です(合計30万円)。
ただし、この少額管財は申立代理人がなすべきことをきちんと行っており、想定される管財業務が少ないことが前提です。
この点、どのような法人破産事件でも予納金として20万円を用意すれば管財人を選任して開始決定をしてもらえると誤解して申立をしているケースが千葉地裁では散見されますので、千葉地裁に申し立てる場合は注意して下さい。
なお、甲府地裁でも所謂少額管財を導入しており、少額管財の場合は30万円程度の予納金で開始決定を出してもらえるようです。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月11日金曜日

初めての法人破産申立(22)

法人破産申立の受任通知について、私自身は出している場合が多いですが、事案としては営業を停止しているケースが圧倒的に多いです。
この場合は既に債権者からの督促や連絡が代表者や会社関係者に行っていることが通常であり、申立代理人からの受任通知でそれを止めることを期待していることが通常です。
確かに、個人破産で受任通知を送れば貸金業者の取立が禁止されますが、法人破産における受任通知で取引先等の債権者の取立が禁止されるわけではありません。
しかし、実際に代理人弁護士が受任通知を送付して、連絡をしないように記載すると取立が止まることが多いのも事実です。代表者がこのことを期待してるのであれば、それに応えて受任通知を送ることは当然に考えて良いことです。
もっとも、パネルディスカッションでは受任時点では営業を継続していることが事案の前提でしたので、この辺の前提事実の違いが考え方に影響していることはあるいと思います。
私も、法人破産で受任通知を出さないで申し立てた経験はありますが、その際に考慮したことは受任通知を出すことで逆に混乱が生じるということでした。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月10日木曜日

貸金業者の倒産 会社更生と民事再生

昨日、貸金業者NISグループ株式会社(旧株式会社ニッシン)が民事再生を申し立てました

再建型の法的倒産手続としては、会社更生と民事再生があります。
最近ですと、武富士やロプロが会社更生、アエル(平成20年。平成15年は会社更生)やクレディア、丸和商事が民事再生をとっています。

会社更生と民事再生の違いはさまざまにありますが、過払い債権者にとって重要なのは、手続きに参加しなかった過払金返還請求権の運命が異なることでしょう。


会社更生、民事再生ともに、原則として債権届出期間内に債権届を行わないと(会社更生法138条1項、139条1項、4項、民事再生法94条1項、95条1項、4項)、更生計画や再生計画にしたがって弁済を受ける権利を失ってしまいます。

武富士の会社更生事件で、当初、完済した人に開始決定の個別通知が送られていませんでした。
後に武富士は、批判を受けて方針を転換しましたが、批判を受けていたのは、完済して確実に過払金を持っている人が債権届をすることができず、過払金に基づいた弁済を受ける権利を知らないうちに失ってしまうことに対してでした。

しかし、民事再生法には自認債権の制度(民事再生法101条3項、181条1項3号)がある点で、会社更生とは事情が少し異なります。
すなわち、再生会社が知っている債権は債権者からの債権届がなくとも認否書に記載しなければならず、認否書に書かなかった場合も、債権者は失権することはありません。


つまり、過払い債権者がNISの手続に気付かず、債権届をしなかったとしても、自認債権となる過払金返還請求権が失権することはないでしょう。
NISは、自らが管理している取引履歴を計算することで、容易に過払金返還請求権の存在を知ることができるだけでなく、財産評定において貸金債権の評価額を算定するためには、当然全債権について引直し計算をすることが必要となるわけですから、過払金返還請求権は自認債権にあたると考えられるからです。

初めての法人破産申立(21)

倒産事件に堪能な東京の先生方は基本的には法人破産申立事件では受任通知を出すべきでないと考えているようです。
例外的に受任通知で送付する必要があるのは、受任通知を送ることで支払不能について相手方の悪意を創出する場合が考えられるが、その場合でも全ての債権者に受任通知を送る必要があるかは慎重に検討すべきであるとの話がありました。
この悪意の創出というのは、破産申立会社が金融機関に預金を有しているとともに借入金もある場合、破産手続が開始されると金融機関は預金の払戻債務と貸付債権とを相殺することができます(破産法67条1項)が、受任通知を送ることで支払停止について悪意の状態を作り(この時点で相殺はできますが)、その後の入金について相殺禁止に該当するようにしておくことです(破産法71条1項3号)。
入金口座の変更が間に合わない場合は有効な手段です。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月9日水曜日

初めての法人破産申立(20)

法人破産申立事件で受任通知を送付するとともに債権調査用紙を送り、返送を依頼してこれによって債権者一覧表を作ろうとする代理人がいるが、必要はない。正確な債権額の調査は破産手続開始後の債権届出と調査手続での認否でなされるものであるから、申立に際しては、直近の決算書類や会計帳簿に基づいて債権者名や債権金額を把握した上で債権者一覧表を作成すれば良い、むしろ債権調査をしている間に申立が遅れることの方が望ましくないという意見もパネラーの先生からありました。
個人破産と法人破産との相違を深く考えずに、消費者破産と同じ感覚で受任通知に債権調査票を同封して漫然と発送していると思われる代理人もときどき見受けられますが、私もこれは適切でないと思います。個人破産と法人破産では受任通知についても考慮すべき事情が異なるという注意を喚起する意味ではパネラーの先生の指摘はそのとおりだと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

法律事務所にサーバーは必要か

複合機やPCのコーディネイトを業者にお願いしていると、サーバー機の導入を勧められることがあるようです。

法律事務所にサーバーは必要でしょうか?

数名単位の法律事務所であれば、サーバー機能は必要だけれど、サーバー機は不要でしょう。

サーバーに求められる機能はいろいろあります。
法律事務所で必須なのは、ファイルを共有するためのファイルサーバーです。
これ以外にも、データベースサーバーや、HPを公開するためのWEBサーバー、メールの受信・配信を行うためのメールサーバーなどの必要性が一応考えられます。

しかし、ファイルサーバーの機能は、数名程度であればそれぞれのPCの該当フォルダを共有すれば足ります。
PCごとに分散することを避けるのであれば、いずれかのPCかに集約すれば足りますし、NAS(PCに比べれば遅いですが)やネットワーク対応ハードディスクを導入してもいいでしょう。
また、サーバー機能だけに特化したPCを1台導入するとしても、ファイルサーバー程度であれば、いわゆるサーバー機である必要はありません。サーバー機はCPUやメモリもデスクトップ機とは違う種類の機能はものが使われています。信頼性は高いのですが、値段も高い。オーバースペックです。
安価なデスクトップや古い余ったPCでも十分です。

RAID5を勧められることもありますが、ハードディスク故障時に結局復旧に失敗したという話もあります。ハードディスクの台数が増える分、故障の確率もそれだけ高まります。
むしろ、バックアップソフトで各PC間で相互にハードディスク全体のイメージバックアップをとっておく方が安全ですし、操作ミスなどで消去や上書きしてししまったファイルの救出にも使えます。

サーバー・クライアント型のデータベースを利用するとしても、事務所内だけであれば大したトラフィックは生じないでしょうから、いずれかのPCにデータベースサーバーの機能を担わせても現在のCPUの性能からすると十分でしょう。

WEBサーバー、メールサーバーはプロバイダなどの外部サーバを使用する方が、セキュリティ上も安全でしょう。

というわけで、高価なサーバー機は不要だと思っています。

2012年5月8日火曜日

個人再生における給与差押え・天引きと清算価値

給与を差し押さえされていたり、貸付金の回収のために公務員共済組合によって給与を天引きされている債務者が個人再生を申し立てる場合があります。
この場合、債務者が仮に破産したときには、少なくとも受任通知送付後の部分は偏頗行為否認の対象となる(破産法162条1項1号イ、3項、165条)ことから、個人再生でも、否認対象行為となる差押え・天引き額が清算価値に含むとされています。

しかし、個人再生手続では否認権が実際に行使されることはなく(民事再生法238条、245条は第6章2節を除外)、通常再生とは異なり弁済原資が増えるわけでもありません。
にもかかわらず、清算価値保障原則によって再生計画上の弁済額が増えてしまうのは不合理だという批判も強いところです(「個人の破産・再生手続」(きんざい)135頁、「提言倒産法改正」(きんざい)291頁)。
特に、給与の差押えや天引きは、破産者が積極的に行った偏頗弁済とは事情が異なるものですから、不合理さが際立ちます。

このような中、大阪地裁は、今月の「はい6民ですvol.159」(月刊大阪弁護士会2012年4月号)で、この点について次のような新運用を打ち出しました。


  1. 債権者による取立て・天引き済みの場合
    差押え・天引き額を清算価値に上乗せ。
    ただし、20万円の控除を認める
  2. 第三債務者が供託中または留保中の場合
    (1) 開始前供託部分 預貯金と同視(99万円控除可)
    (2) 開始後供託部分 清算価値に上乗せせず
    (3) 配当された場合 取立済みと同じ

1.は、給与差押え・天引きが債務者の直接的な行為でなく、容易に回避できないことを考慮して控除を認めるとしています。
20万円という金額については説明がありませんが、おそらく、破産手続に移行した場合、破産管財人が否認権を行使したとしても少なくとも20万円は手続費用に必要であり、破産債権者への配当原資とはなり得ないことを考慮したものでしょう。

2.の(1)、(2)は、履行可能性の審査のための積立金と同視し、これと同じ扱いを認めたものです。

全てのケースで債務者が不合理な立場に立たされることを回避できるとは限りませんが、かなりの前進ではないでしょうか。

他庁にも同じような運用が広がることを期待したいところです。

初めての法人破産申立(19)

法人破産の申立代理人は会社の債権者に受任通知を出すべきでしょうか。
この点、パネラーの先生から法人破産の場合は個人の自己破産とは異なり、受任通知を出すことはデメリットが大きいので原則として出すべきではないとの話がありました。
法人破産の取引先等の一般債権者は、個人破産における貸金業者とは異なり、受任通知が来たからといって取立を停止する義務を負っていない、むしろ破産手続の準備に入ったことを開示することで取立に入ったり、担保権の実行を促したり、租税官庁からの滞納処分がなされたりして、現場が混乱することになり、かえって破産申立の準備に支障が生じる等の理由が指摘されていました。
受任通知については新宅さんが以前「破産申立の時期と受任通知」で記載したとおり事案に応じて考えるべきですが、1つの見解として参考にしていただければと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月7日月曜日

初めての法人破産申立(18)

法人が有している預貯金や有価証券の保全に関して、注意すべき点はありますか。
預貯金は相殺の可能性がある場合は早急に現金化しておきます。相殺の可能性は無くとも差押の危険もあるので、できる限り現金化しておくのが望ましいでしょう。
有価証券についても早い段階で預かっておきます。
有価証券の中でも特に手形や小切手は呈示期間に注意してください。開始決定がなされて管財人に引き継ぐまでに期限が到来する場合は支払提示を行って下さい。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月2日水曜日

初めての法人破産申立(17)

会社の決算書類、帳簿類は本社屋に置かれており、通帳や印鑑、鍵は代表者が所持しています。申立代理人としてはどの時点で預かるべきでしょうか。
まず、通帳、印鑑、鍵は原則としてできるだけ早い時点で預かるべきでしょう。
決算書類についても申立に際して必要な添付書類なので早めに預かっておくと良いでしょう。
私は帳簿類は重要度や分量によって判断しています。
管財人の視点にたって管財業務に必要と思われるのであれば、預かったうえで管財人に責任をもって引き継げようにしておきます。
分量が膨大でかつ管財業務には不要と思われる書類であれば、代表者等に保管を委ねて開始決定後管財人の意見を聞くことにしています。
もっとも、申立代理人として不要と判断しても管財人は必要であると考えるかも知れませんので、それまではきちん保管して、代表者等が勝手に破棄しないように指示して下さい。
会計書類や帳簿類が電子データの場合はバックアップと紙ベースに印刷した上での保管も考えて下さい。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月1日火曜日

初めての法人破産申立(16)

債権者の一部が在庫商品や機械を強引に引き上げる可能性が高いことが分かりました。申立代理人としてはどうすべきでしょうか。
この点パネラーの先生から24時間監視することは現実には無理であるから、出来る範囲で最大限の保全措置を講じておきべきとの話がありました。
万一債権者が強引に奪ってしまっても、破産申立会社及び代理人としては、できる限りのことはしたと債権者に弁明できるようにしておくという話もありましたが、私も同感です。
機械警備が入っていれば継続する。施錠できるものは施錠する。安全な保管場所に移動可能な物は移動させる。警告書を貼り付ける等の対応を検討することになるでしょう。
裁判官からは債権者申立の事案では保全管理命令を発令したことはあるが、自己破産ではここ3年発令の事例はないとのことですが、必要があれば自己破産でも発令することはありうるとの話もありました。
もっとも、実務上は自己破産申立事件において保全管理命令を出す必要性が認められる事案では早急に開始決定をすることで対応することが多いと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月27日金曜日

初めての法人破産申立(15)

申立代理人が破産管財人に引き継ぐべき不動産に関する情報にはどのようなものがあるでしょうか。
この点パネラーの先生から破産会社の所有物件については、換価の可能性、担保権実行の有無・見込み、賃借人がいるか、物件の使用状況や占有状況等に関する情報は引き継いで欲しいという話がありました。
また、当該物件を任意売却する際には建物の設計図面や土地の測量図等を確保しておくべきという話もありました。
確かに、管財人として不動産の任意売却をしていると設計図面や間取図等は仲介業者や買受希望者から要求されることが多いので、申立代理人はこれらは確保した上で破産管財人に引き渡すように心がけると良いでしょう。
他方で、破産者が賃借している不動産については契約書の有無、解除の有無、敷金返還の有無等を調査した上で管財人に引き継ぐことになるでしょう。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月26日木曜日

初めての法人破産申立(14)

賃借物件を解除せずに、申し立てる必要がある場合、賃料の支払はどうすべきでしょうか。
この点パネラーの先生から、資金があれば払っても構わないが、なければ不払いの状態にせざる得ない。その場合には解除権を行使されないように早めに申立をすべきである。
早期に申立をしてその旨を賃貸人に連絡して、挨拶した上で、管財人が選任されることなど今後の見通しを丁寧に説明することが望まれるという話がありました。
私の経験からも事前に説明することで、賃貸人の態度が軟化して、柔軟な対応をしてくれることが少なくないので、このような申立代理人の対応は大切だと思いました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月25日水曜日

初めての法人破産申立(13)

破産申立をする会社が第三者から倉庫や駐車場を借りている場合はどうすべきでしょうか。
倉庫に何もなければ賃料や財団債権の発生を防ぐために解除するのが原則です。
倉庫内に破産会社の所有物件や在庫商品などがある場合、駐車場に破産会社の所有する車両がある場合などは賃貸借契約は解除せずに管財人に処理を引き継ぐことが原則であるという話がありました。基本的にはそのとおりだと思います。
他方で、申立代理人も破産管財人の立場になったつもりで、可能であれば破産財団の負担を減らすことを考えて欲しいところです。
私が、申立代理人をした事案では第三者との駐車場契約を解除して車両を代表者の親族の敷地に移動させたり、賃借物件の倉庫内の在庫商品を本社内に移動させて、賃料の発生を防いだケースがあります。
全ての事案でできることではありませんが、発想としては持っておいて欲しいところです。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月24日火曜日

初めての法人破産申立(12)

破産会社に所有権留保されている物件がある場合はどうすべきでしょうか。
所有権留保売買の留保売主の権利は別除権であると考えるのが、実務上の一般的な考え方ですので、基本的な考え方はリース物件と同様です。
ところで、所有権留保されている物件としてよくあるのが車両です。
例えば、車両の売買契約で所有権留保がなされていても、車検証の所有者欄が留保売主の名義になっていなければ留保売主は破産管財人には対抗できません。
つまり、物件を返還を受けずに破産手続が開始されれば管財人には車両の返還を求めることはできません。
逆に車検証の所有者欄が留保売主名義になっていれば、破産管財人に対して別除権に基づいて物件の返還を求めることができます。
留保売主の債権額が物件の評価額を上回っていれば、管財人が財団の増殖を図ることは難しいので、申立時点で返却することを考えるべきでしょう。
私が最近管財人をした事件では車両(トラック)が所有権留保されていて、別除権を行使できる場合でしたが、留保売主の債権額を上回る金額で車両を購入したいという同業者からの申し入れもあったので、残代金相当額を支払って別除権の受け戻しを行い、売却をして破産財団を増殖させることができました。
物件の価値が高い場合は管財人に処理を委ねることを考えてください。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月23日月曜日

初めての法人破産申立(11)

破産申立をする会社にはリース物件がありますが、どのように対処すべきでしょうか。
まず、法人の代表者が全てのリース物件を把握しているとは限りませんので、代理人としては漏れているリース契約がないか確認する必要があります。
リース物件については契約を解除しなければリース料金が発生しますから、残務処理や管財業務に必要がなければ原則としてリース契約を解除した上で、物件を返還します。
例えば、リース物件がパソコンであり、中のデータが後の管財業務に必要な場合がありますので、そのような場合はバックアップを取ってから返還するようにしてください。
なお、私がかつて経験した事案では専用のパソコンとソフトを使っているため外部記憶装置へのバックアップができなかったり、データのバックアップが取れても、請求書の作成が当該パソコンやソフトがないとできないというケースもありました。このようなリース物件を使用した作業を破産手続開始決定後に管財人が行う必要がある場合はリース契約を継続する必要があるでしょう。

 (注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月20日金曜日

初めての法人破産申立(10)


破産申立する会社が、自己所有地に本社屋と倉庫を有しており、機械警備契約を締結していますが、この契約はどうすべきでしょうか。
高価品があるなど、必要があれば警備契約は継続することも考えますが、大きな視点としては申立までの残務処理に必要ない場合、管財人の視点に立ってみて、管財業務に不要なものは解除するのが原則なのは(8)で述べたとおりです。
警備契約を継続する場合の注意点としては、警備契約のシステムにもよりますが、一般的には電気や電話回線が必要となることが多いことです。
警備契約を継続する場合は、これらの契約も解除しないことです。
また、警備契約の継続の必要性はあるが料金が高い場合は契約内容の変更や会社自体の見直しも検討する余地があります。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月19日木曜日

建退共は差押禁止

小規模企業共済や中小企業退職金共済(中退共)が差押禁止であることは、いろんなところに書かれていますが(『破産管財実践マニュアル』231頁以下参照)、以外と知られていないところとして、建設業退職金共済(建退共)も差押禁止です。ですから、本来的自由財産となります。

建退共も中小企業退職金共済法に基づいているからですね。

建設業退職金共済事業本部のHPもご確認ください。

ちなみに、特定退職金共済は、差押禁止ではなさそうです。

ここからは、平成25年3月29日に追加。

特定退職金共済には、差押禁止規定はありませんので、差押禁止規定のある中退共とは異なり、本来的自由財産ではありませんが、退職金債権と同様に4分の3は差押禁止とみて、退職金見込額と同様に8分の1で評価することでよいと思います(なお、所得税法上も退職手当として取り扱われています。)。

初めての法人破産申立(9)

私が管財人をした法人破産事件で開始決定前に電気の供給契約が切られていたことがありました。
当初は管財業務に必要はないと思われましたが、大きな倉庫の中に機械や車両が残されており、それを搬出するために電動シャッターを動かすことができずに苦労しました。
その事件では東京電力と交渉して、スポット契約で1日だけ電気を通してもらうことで対応しました。

また、観光ホテルの破産管財人代理をした事件では電気の契約が解除されていませんでした。これはその方が良かったのですが、基本料金だけで月額100万円近い料金がかかることが判明して、びっくりしたことがあります。
その事件では基本料金を下げる契約に切り替えました。

このように経験を積むことで臨機応変な対応ができるようになりますし、管財事件の経験を申立にいかすことができます。皆さんも積極的に管財事件に取り組んで下さい。
(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月18日水曜日

初めての法人破産申立(8)

破産申立する会社には自己所有地上に本社屋と倉庫があります。本社や倉庫の電気、ガス、水道、電話、インターネットの契約はどうすべきでしょうか。
 継続的供給契約については無駄な費用や財産債権の発生を防ぐという観点から原則としては解除することを考えます。
 例外的に申立迄の残務処理に必要な場合、管財業務遂行に必要となる場合には解除しません。
管財業務に必要か否かは管財人の視点で考えることになります。
 管財人の経験がないと悩むところかもしれませんが、管財事件の申立では管財人の視点で考えることが不可欠です。この点は破産管財実践マニュアルを一読していただければと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月17日火曜日

「裁判所」と「破産裁判所」

破産法には、「裁判所」という表記と、「破産裁判所」という表記の2種類があらわれます。

「裁判所」は、当該破産事件を担当する裁判体を指すのに対し、「破産裁判所」は、当該破産事件が係属している地方裁判所を意味します(破産法2条3項。「条解破産法」27頁)。

一般的な用語法としては、「破産裁判所」を上記の意味での「裁判所」と同様に用いることが多いのですが、法律上は区別されています。

役員責任の査定や破産債権の査定決定を行うのは「裁判所」(同178条1項)です。
これに対し、否認請求や否認の訴え(同173条2項)、否認決定に対する異議の訴え(同175条2項)、役員責任査定決定に対する異議の訴え(同180条2項)、破産債権の査定決定に対する異議の訴え(同126条2項)の管轄は、「破産裁判所」とされています。

もっとも、後者のうち、否認請求については、「破産裁判所」内の事件分配として、当該破産事件を担当する裁判体に配点するという運用が通常だと思われます。

2012年4月16日月曜日

和解許可による簡易分配で公租公課庁と和解書を交わさない理由

優先的破産債権である公租公課や労働債権までで配当原資が尽きる場合に、大阪地裁では和解許可による簡易分配が可能です(「新版破産管財手続の運用と書式」273頁、「破産管財実践マニュアル」375頁)。

この方式による場合、公租公課庁とは口頭の合意で足り、和解書の取り交わしまでは必要がないとされています。
これは、公租公課庁は、按分弁済自体には応諾していても、これを内容とする書面の取り交わしには応じてくれないからです。

ですから、公租公課庁が和解書の取り交わしに応じる場合にまで、管財人として作成を拒む必要は当然ありません。

初めての法人破産申立(7)



 では申立日を決めたとして、それまでのスケジュールをどのように考えるのでしょうか。
 債務者からは約束したスケジュールで必要書類が上がってくることは少ないので、とにかくできる限り短いサイクルで打ち合わせの日程を入れ続けることが大切であるという話がありました。
 債務者としては時間的に余裕をもった打ち合わせ日程を希望するが、安易にそれに応じてはならないという趣旨だと思いますが、私はなるほどと感心しました。
 どうしても間に合わない場合は当初の申立予定日を気にして、中途半端な申立はしないようにしてているという話もありました。
 中途半端な申立では管財人が初期段階で効果的な活動ができないし、不正確な財産目録や債権者一覧表を提出しては管財人に無用な調査の負担を課すことになるからです。
 原則はその通りだと思いますし、私も基本的にはそうしています。
 但し、開始決定を早急にもらう必要性がある事件では、申立や開始決定後のフォロー(修正した下資料や書面を随時追完する)をすることを前提に申立をしてしまうことがやむ得ない事件もあるでしょう。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月15日日曜日

破産申立ての時期と受任通知

石川さんが連載されている全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションをまとめた「初めての法人破産申立」の第6回で、法人の破産申立ての時期について触れられています。

最近、法人の破産申立ては受任後直ちに行うべきであって、受任通知を送ることは不適切である、という議論が見られます。
このテーゼは、ときには正しく、ときには正しくない、と考えています。
つまり、このテーゼを絶対化はできず、事案の性質ごとにあてはまる場合もあてはまらない場合もあるということです。

そもそも、破産申立ての依頼者は、破産しようとする法人やその代表者です。
依頼を受けた申立代理人としては、依頼者の利益を第一義に考えるべきです。

では、破産申立てにおける依頼者の利益とは何でしょうか。
それは、混乱を引き起こさずに債務を整理し、個人であれば免責を得て経済生活を再生すること、法人であれば円滑な清算を行うことでしょう。

そのためには、依頼者が倒産秩序に反する行為を行って免責が得られなくなったり、破産犯罪に問われたり、役員責任を追及されたりないようにする必要があります。
つまり、申立代理人としては、この文脈で、債権者平等を図り、破産財団の保全を図ることが必要だということです。
また、破産申立てに当たっては、回収が不可能となる破産債権者らに対して衝撃をあたえることになるわけですが、不用意な行動によって混乱を生じさせ、依頼者に物理的または心理的な負担をかけさせないことも重要です。

まず、債権者平等を図り、破産財団の保全を図るためには、偏頗弁済や財産の散逸を防ぐ必要があります。
依頼を受けた時点で通常の営業を続けている会社では、回収未了の売掛金や、在庫商品などが残っていることが普通です。
これら売掛金や在庫商品は、時の経過とともに換価が困難となり、価値が劣化していきますので、速やかに破産を申し立て、破産管財人に引き継いでこれらの換価作業に早期に着手してもらうことが肝要です。
そのためには、受任通知を送って債権調査票の提出を待つなどということは、単に不要であるだけでなく、上記のような取付け騒ぎのきっかけとなり、後に否認対象行為となる個別の権利行使を促すという悪影響をあたえるものといえるでしょう。
速やかに申立てをし、受任通知を送らないことは、混乱を避け、依頼者の物理的・心理的な負担を回避するためにも有用です。

しかし、全ての法人で早期の申立てをしなければ財産の散逸が生じるわけではありません。
中小事業者では、依頼の時点で既に営業を停止しており、散逸したり劣化するような財産が存在しないことも多くあります。
それだけでなく、専門の経理担当者などもおらず、帳簿も調製されていないため、債務や財産の把握に時間を要することも多いでしょう。
このような場合に徒に早期の申立てを行ったとしても、正確性を欠き、却って破産管財人の管財業務を混乱させてしまう可能性もあります。ある程度時間をかけてでも状況を整理し、破産管財人に引き継ぐ方が有用な事案もあるといえます。
また、大阪地裁などでは申立前に賃借物件の明渡しを行うことで、予納金を低廉に抑えることが可能です。特に中小事業者では申立費用の捻出に苦労することも少なくありません。依頼者のためには、少し時間を要しても、明渡しを先行させることが有益でしょう(もっとも、この点については近時硬直的な運用も見られるところですので、いずれこのブログで触れたいと思います。)。
さらに、会社の保証人となっている代表者自身も破産申立てを行う場合、法人の申立てと同時に行えば、予納金を低く済ませることができる裁判所があります(いわゆる法人併存型。大阪地裁など。)。その準備期間を要する場合もあるでしょう。
こういった事案では、受任通知を送付したとしても、延滞状況下で取付け騒ぎには至っていないのですから弊害は少なく、むしろ債権者に情報提供することができるとともに、債権者が依頼者に接触することを牽制する利点があります。


なお、受任通知については、発送が当然であって必ず行わなければならないと誤解されていることがあります。これは、個人の同時廃止の破産申立てを主に行っている方が陥りやすい誤解でしょう。
同時廃止では債権調査票の提出を義務づけられている裁判所が多いことと、貸金業者の激烈な取立てを止めなければならなかったという歴史的経緯から、個人の同時廃止申立てでは受任通知を送ることが必須となっているだけです。
管財の申立てで、帳簿等から破産債権の存否・額を確認できるのであれば債権調査票は不要ですし、取立てを止めなければならない事情がなければ受任通知自体も必要ではありません。



もういちどまとめますと、申立代理人としては、早期の申立てを行うことや受任通知の発送の要否は、依頼者の利益の観点から考えなければならず、倒産秩序の維持もその文脈での考慮であって、それ自体が自己目的化するわけではない、といえます。

2012年4月13日金曜日

駅弁その2


 突然ですが、破産管財実践マニュアルは大阪で生まれた本です。
 執筆者の1人である私は千葉県生まれで千葉県弁護士会に所属していますが、編集や執筆のための会議は全て大阪で行っているからです。
 野村さんや新宅さんから「偶には千葉でやりましょう!」という提案もありましたが、大阪行きは私の楽しみの1つなので、最後まで大阪に通い詰めました。
 会議を終えて、夕方過ぎに新大阪で駅弁とビール、おつまみを買って、東京行きののぞみに乗るのが戻るときの日課です。
 そのため新大阪駅では何度も駅弁を買っていますが、ここでの私のおすすめは「じゅうじゅう亭」です。ワイン風味のちょっと甘めの味付け牛肉が絶品です。
 普段の食生活は和風、魚系が好みですが、何故か新大阪では「じゅうじゅう亭」を買ってしまいます。
 なお、この「じゅうじゅう亭」はダウンタウンさんの番組で紹介されて一時はかなり人気があり品薄だったこともあるようです。

2012年4月12日木曜日

初めての法人破産申立(6)


自己破産の申立てを行うことを決めた場合申立日の設定についてはどのように考えたら良いでしょうか。
パネラーの先生から破産申立は支払不能の認定の問題があるので、事業停止後3日後をめどとして申立日を設定しているという話もありました。
事業停止から申立まで時間が空くと混乱が生じる可能性がある一方で、事業停止とほぼ同時に申し立てると計画倒産だと騒がれることも避けたいという意図だということです。
まだ、手形不渡処分をうけていないで、事業を継続している段階で受任して、準備を進める場合は参考になると思います。

また、手形を振り出していない会社は買掛金の決済ができないと予想される日を事業停止日として、その場合にも概ね事業停止日から3日後を申立予定日とすることが多いという話もされていました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月9日月曜日

初めての法人破産申立(5)

パネルディスカッションでは「裁判所から見て、代理人がきちんと債務者に説明しておけば良かったと思われる事案がありましたか。」という質問がありました。
パネラーの裁判官からは破産手続は債務者が単に債務を整理するための手続きでは無く、債権者のための手続きであることについても代理人は目を配って欲しいという話がありました。
代表者の中には破産手続開始決定がなされると会社の財産の管理処分権は管財人が有することになるので、代表者は一切手を出せなくなることに対する理解が不十分な者もいるとのことです。
また、説明義務を果たそうとしない代表者が時々見受けられること、説明義務は単に説明すれば足りるのではなく、資料の提出等も含むこと、説明義務違反や虚偽説明については罰則があることも、代理人にはきちんと説明してもらいとの話もありました。
依頼者と代理人との間に信頼関係がないと事件処理が上手くいかないことも多いですから、ネガティヴな話ばかりもできませんが、やはり協力義務や説明義務がある点はきちんと説明しておくべきでしょう。

裁判官からはごく稀であるが、管財人の調査に協力しないばかりか、感情的な対立を引き起こす代理人もいるが、このような場合は進行についても大変苦慮するという話もありました。
こういう代理人は論外ですね。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月8日日曜日

そしてマウス

マウスはlogicool派です。
とっても使いやすいのですが、唯一の弱点がチャタリングが起こりやすいこと。

チャタリングとは、ボタンのスイッチが壊れて、意図しないところで複数回のクリックが発生してしまうことです。
普通は一番使う左クリック用のボタンで生じて、ドラッグドロップ中にファイルやフォルダを落っことしてしまったり(ファイル等が行方不明に…)、範囲選択がうまくできなくなったりします(キーボードでやればいいんですけれどもね)。

自宅のマウスがしばらく前から発症し、ChatteringCancelerというソフトで補正してきましたが、先週にはついにこれでも対応ができなくなりました。

保証期間(3年保証です)のはずなのですが、保証書が見つからないのと、行って帰ってで時間がかかることから、新しいマウスを買いました。

Performance Mouse M950Wireless Mouse G700で迷いましたが、多ボタンを捨てきれず、後者にしました。
amazonだと、昨日注文すると今日には到着するので、便利ですね。

いま、ポインタ移動速度やボタンの設定をほぼ終えました。
とても快適です。


あと、logicoolのマウスの設定ソフトであるSotPointの拡張といえば、uberOptionsでしたが、今回のには対応しているのかなぁ…

Excelの関数(曜日)

weekday関数
表示されるのは数字。
書式設定で、aaa

キーボード

文書を書くときにペンを使うのはメモ程度しかなく、ほぼ100%近くキーボードを通じてパソコンで起案しています。

そうすると、手に馴染むキーボードが欲しくなるわけですが、事務所では東プレのRealforceを使用しています。
いわずとしれた名機ですが、キーの重さや打鍵の感覚など、噂に違わぬ打ち心地です。

富士通のLibertouchも一時期使っていましたが、 Realforceの方が好みに合っています。


でも、自宅のキーボードは、初めてのDOS/V機のFM-V付属のキーボードを未だに使っています。
司法試験に合格する前の年に購入したので、15年は利用していることになります。

2012年4月7日土曜日

駅弁その1


東京駅の中に「銀の鈴」という待ち合わせスポットがありますが、そこには「GRANSTA」という駅ナカショップがあります。
色々な食材やお土産の他にお弁当も売っています。
私は東京駅でお弁当を買うときはたいていはここで購入しています。
おすすめは「eashion」のお弁当です。
なかでもおすすめはイベリコ豚を使ったお弁当です。
これはまいう~~~!です。
皆様も是非一度ご賞味ください。
なお、私が独断と偏見で選んでいますが、やらせは一切ありません。

2012年4月6日金曜日

破産者宛郵便物の転送(2)

破産者宛の郵便物が管財人に転送される期間はいつまででしょうか。

大阪地裁では、以前は開始決定から6か月として回送嘱託を行い、必要に応じて延長する扱いでした(「条解破産法」610頁)。
しかし、延長の通知が増加したこともあり、平成20年1月1日から、無期限の郵便回送嘱託を行い、事件終了時に回送取消の嘱託を行う運用に変更されました(「新版破産管財手続の運用と書式」99頁)。
このため、申立人が納付する郵券が80円分増えました。


これに対し、東京地裁では、法人については現在の大阪地裁の扱いと、個人については大阪地裁の過去の扱いと同様とされています(ただし、当初期間は財産状況報告集会まで。「破産管財の手引」125頁)。


なお、大阪地裁の運用では、事件終了後回送取消嘱託の到着までの間、郵便物の転送が続くことになります。
終了後も少しの間転送されることや、その転送された郵便物の引渡方法について、破産者と話をしておくことが必要です。
事件終了後は、転送郵便物を開披せず、破産者にそのまま引き渡します。

終了後かなりの期間が経っても転送が続く場合は、郵便局が間違っている可能性があります。
この場合、転送元の郵便局に確認し、以後誤った転送がなされないように注意を喚起します。
誤配された郵便物の扱いは、(1)で記載したとおりです。
特に、破産者宛の競売の特別送達などを受け取ってしまうと、手続上の問題が生じかねないので、注意が必要です。

初めての法人破産申立(4)


法人の自己破産の申立をする際に代表者から事情聴取することは誰でもすることですが、事案によっては事情聴取すべき対象者を広げる必要があります。
私は、会社の経理状況に通じた担当者にはできるだけ同席してもらうようにしています。
また、仕掛かり工事などがある場合は現場をよく知る担当者からの事情聴取も必要になってくると思います。

事件を受任する際には必ず委任契約書を作成してください。
たとえ、当該法人が顧問会社であっても委任契約書は作成すべきです。
着手金等の費用の説明をきちんとすることは当然ですが、予納金は裁判所が定めるものなので、代理人が想定していたよりも高くなる場合もありますので、そのような可能性も説明しておくと良いでしょう。
私は若い頃、個人の破産事件でしたが、同時廃止で申立をしたころ、免責調査型として管財事件とされたことがあります。管財事件になる可能性は説明していましたが、管財事件となった場合の予納金の金額を説明し忘れていて「予納金として20万円必要になりました。」と言って気まずい思いをした経験があります。
皆さんは私と同じような失敗をしないでください。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月5日木曜日

破産者宛郵便物の転送(1)

現行破産法81条1項は、郵便物の転送を任意化していますが、裁判所は例外なく転送嘱託をすることが通例です。

もっとも、破産裁判所や破産管財人からの郵便物は、転送対象から除外されています(「新版破産管財手続の運用と書式」402頁、「条解破産法」611頁)。

破産裁判所が破産者本人宛に書類を送付・送達することがありますが(破産法32条3項1号、136条1項など)、それが破産管財人に届いてしまうことがあります。これは、上記の除外にもかかわらず間違って転送されたものです。
破産者に代理人が就いていれば代理人に送付等されるのでこのような事象が発生することは少ないのですが、純粋な本人申立てや、債権者申立ての場合に起こりやすいといえるでしょう。

誤った転送がなされた場合、管財人は、送付等をやり直してもらうため、担当書記官に速やかに連絡する必要があります。


また、家族宛の郵便物が誤って管財人に転送されてくる場合もあります。
この場合は、郵便局に連絡し、間違った転送なので家族に配達するように伝え、郵便物を引き渡します。

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初めての法人破産申立(3)


では、再建型手続を諦めて、破産申立やむなしとなった場合に依頼者に予め説明しておくべきこととしてどのようなことがあるでしょうか。 


財産の隠匿や否認対象行為などをしないように注意しておくことは当然ですが、破産手続の流れや管財人が選任されること、管財人がどのようなことをするのか、それに対する協力が必要になることはきちんと説明しておくべきでしょう。

私が管財人をした事件で、債権者集会前に代表者から「債権者集会には出席しないといけないのですか?債権者集会ではどんなことを話せば良いのですか?債権者から質問されたら私が答えるのですか?」と言った質問を受けることがときどきあります。
これらは当然代理人が説明しておくべきことです。

申立代理人としては申立をすることに集中して、申立が終われば、役割が終わったかのように考えがちですが、代理人の役割はそこで終わるわけではありません。

たまに管財人として代理人に問合せをすると「そんなことは代表者に聞いてくれ」などと言われることがありますが、破産法40条1項2号には代理人にも管財人に対する説明義務があることを規定していますので、このような代理人の対応は適切でないことになります。


(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年4月4日水曜日

訂正

固定資産税・都市計画税に関するエントリー2題を昨日、一昨日と書いて自宅に帰ってみると、今年度分の納付書が…

大阪市の第1期の納期限は、5月1日と早いんですね。

東京都は7月2日(7月1日が日曜日のため)ですが、他の自治体では5月中のところが多いようです。

ということで、6月にならないと…という記事は誤りですので、訂正しました。
記憶だけで書くとダメだなぁ、と反省です。

2012年4月3日火曜日

近弁連の意見交換会

全倒ネットのMLでいつも案内している近弁連の意見交換会、正式名称は、「破産法等に関する近畿弁護士連合会管内各単位会との意見交換会」と長いので、いつもは略称で呼んでいます。

倒産事件激増期の平成15年1月30日に開催した「小規模管財事件等に関する近弁連管内各単位会との意見交換会」が第1回で、その後、2度名称を変え、今の意見交換会となっています。2か月に1回のペースで開催しています。

もう10年目に入ってますね。

私がずっと司会をしているのですが、運用が落ち着いたころには、数名と寂しい時期もありました。

再度テコ入れをし、最近は、福井も含め7単位会、ベテランから中堅、若手まで幅広く20名ほど集まる会になりました(前回は26名も集まっていただきました。ありがたいです。)。配付資料も充実させました。

破産、個人再生、通常再生、会社更生、私的整理と幅広い話題で、ざっくばらんに情報交換や意見交換をしています。

みんなが発言しやすい雰囲気になってきたようで、今後もこのまま続けて行きたいと思います。

弁護士であれば参加資格は特にありませんので、是非ご参加ください。

固定資産税・都市計画税の日割精算


1月から4月初旬ころまでに不動産の決済を行う場合、本年度の固定資産税額がまだわからず、納付もできないのが通常です。

前者については、固定資産評価額の評価替え以外の年であれば、前年度の税額を基準にして日割精算の基礎とすれば足ります。

しかし、評価替えは原則として3年に1度で、平成だと3で割り切れる年に評価替えがあります。
今年(平成24年)はちょうど固定資産評価額の評価替えの年ですので、納付時期だけでなく、日割精算の基準額についても気を配る必要があります。



前者の日割精算の基準となる税額をいくらとするかについては、

  1. 前年度の税額をもとに仮精算をしておき、今年度の税額がわかる時期以降に、改めて差額の精算をする
  2. 差額は無視して、前年度の税額を基準とする
という2つの方法があります。

1.は、厳密な金額で精算できるという利点があります。しかし、自治体によって時期が異なりますが、納付書や交付要求が来るまで換価が終了しないことになります。大阪市の場合、第1期の納期限が5月1日ですから、4月の上旬には納付書が届きますが、東京都のように7月1日が第1期の納期限のような自治体の場合には、納付書の到着はさらに遅くなります。
この方法による場合、買主との間で、売買契約書とは別に何らかの覚書を交わしておいた方がいいでしょう。
2.は、これと反対に金額の厳密性は失われますが、簡易・迅速に決済を完全に終えることができるという利点があります。


次に、後者の納付時期(付随して誰が納付するか)については、

  1. 交付要求が来るまで待って、管財人が納付する
  2. 売主負担分を買主に渡しておき、納付書が届いたら買主に交付して納付してもらう
という方法があります。

1.は、管財人が行うので確実なのですが、事件を早期に終結できないというデメリットがあります。
買主が信用できるのであれば、2.の方法でもいいでしょう。この場合の覚書の書式が、破産管財実践マニュアルの498頁にあります(書式集のページのNo.23にも掲載しています。)。
なお、2.の方法による場合、市役所等と相談して、納付書の送付先を買主とすることも可能です。



ところで、固定資産税の日割精算は、関西と関東で基準日が異なります。
関西方式は、基準日が4月1日ですので、3月31日までは前年度となります。金額が不明な日割精算が必要となるのは、4月1日から納付書が届くまでの間です。
これに対し、関東方式は、基準日が1月1日です。このため、1月1日以降納付書が届くまでの決済について、決済時には当該年度の固定資産税・都市計画税額がわからないということになります。

もっとも、4月1日を過ぎれば、固定資産評価額は確定し、固定資産税・都市計画税の額も決まります。
市町村等に電話すれば、固定資産税・都市計画税の額を教えてくれますし、交付要求や納付書も早めに受けることができます。

2012年4月2日月曜日

倒産処理と弁護士倫理

金融法務事情1942号(2012年3月25日号)1頁の巻頭OPINIONに、「倒産処理と弁護士倫理」と題して、日頃思っているところを書きました。

いつも言っていることを書いただけですが、ご一読いただけますと幸いです。何を思っているかわかっていただけると思いますので。

これを掲載していただいたのは弁護士14年目が終わろうとしていたときでしたが、この4月で弁護士15年目に入りました。

気が付けば15年目です。大阪地裁で小規模管財が導入されたのがちょうど10年前の平成14年で、最初の本となる『小規模管財の実務』(大阪弁護士協同組合)を作りました。弁護士5年目のときでした。私の原点ですね。

いろいろと思うところはありますが、まずは次の一歩!

今年度の固定資産税・都市計画税に要注意

開始決定後に今年の1月1日を迎え、その時点で財団に不動産がある場合、今年度の固定資産税・都市計画税は、破産法148条1項2号の優先性を有する財団債権となります。

ところが、この時期(4月上旬)にはまだ交付要求はきていません。
税額が確定して交付要求がなされるまでに、異時廃止としたり、配当手続に入る場合、今年度分の固定資産税・都市計画税を忘れないよう注意が必要です。

特に、前年度までは滞納がなく、交付要求がない場合には失念しやすいといえます。

初めての法人破産申立(2)


破産か、再生か、任意整理か、法的整理かの判断に際して考慮すべき事情としてはどのようなものがあるでしょうか。
まず、再建型でいけるのか、清算型にせざる得ないかの見極めが必要です。
本業での再建が可能か否かは、再建計画を描けるのかにかかってくると思います。
特に、免除益を消せるのか?資金繰りが維持できるか?あたりは重要な検討要素になるという発言がパネラーからありました。
免除益というのは、法人が有効な債務免除を受けると、会計上債務免除益を計上することとなり、これが法人税法上の益金となることです。
そのままでは法人税が発生してしまいます。
当然のことながら事業再生を行うような会社に法人税を支払う資金的な余裕はありません。
免除益の発生を防ぐためには損金の確保が重要となります。
この免除益は民事再生では特に大きな問題となります。詳しくは民事再生実践マニュアルの253頁以下を参照して下さい。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年3月30日金曜日

トリプルアイ・高木賞

今年のトリプルアイ・高木賞の募集が始まりますね(4月1日から7月末日まで)。

平成17年、財団法人民事紛争処理研究基金内に「倒産・再生法制研究奨励金」が創設され、高木新二郎先生のお名前が冠された「トリプルアイ・高木賞」が平成19年から始まりました。今回が第6回となります。

私たちも平成21年の第3回の際に、『破産管財実践マニュアル』で選考委員会特別賞をいただきました。

当時、高木賞の存在は知っていましたが、無関係と思っていたところでの受賞でしたので、びっくりでした。

私たちの本は、全くの実務書でしたしね。ご褒美だと思って、ありがたくいただきました(当時、HPのお知らせ欄でご報告しました。)。

この賞の「一般個人」は、論文公表時に年齢40歳未満の若手研究者および実務家とされています。自薦・他薦を問いません。

自分が面倒を見た修習生やロースクールの教え子には、弁護士になって10年くらいの段階で、どの分野でもよいので、みんなの役に立つ論文か本を出すようにと言ってます。

倒産の分野については、この高木賞がありますよ。

みなさんもいかがでしょうか?

初めての法人破産申立

以前もブログで報告しましたが、全倒ネット関東地区の研修会が2月4日に甲府で行われました。
メインは「初めての法人破産申立」というテーマでのパネルディスカッションでした。
これから何回かに分けて、この研修会の内容をダイジェスト版として報告したいと思います。
研修会のコーディネーターが小野正毅先生、パネラーは私の他に伊藤尚先生、吉澤宏治先生、林正宏裁判官です。
私以外の発言は当時のメモに基づいて私個人が理解したことであり、発言したパネラーの方の真意と異なる点があるかもしれませんので、その点はご了解下さい。

法人の倒産処理について相談を受けた場合に相談に際して聴取すべき事項や持参させるべき資料としてどのような点に留意すべきでしょうか。
この点についてパネラーの先生から選択すべき手段が決まっていない場合は再生も視野に入れて破産、再生に関する共通事項となる点の聞き取りを優先して行うという話がありました。
まだ、営業を継続しており、再生も選択肢から排除されない場合は合理的な相談の仕方だと思います。資料として特に大切なのが決算書(貸借対照表と損益計算書)なると思います。

2012年3月29日木曜日

カレー

カレーとラーメンは我が業界にも一家言ある方が多いですが、私のカレーNo.1はインデアンカレーです。
関西には、最初甘口で後から辛さがじんわり来る系統のカレー群があるのですが、その筆頭といってもいいでしょう。
一口目は、何だこの甘いの?と思うのですが、これが侮れません。
なれない頃は、途中で気を抜いて水でも飲んでしまって、リフレッシュされた口がまた辛さをさそうというスパイラルに陥ってしまったものです。
でもうまい。

カレースパゲティもまた香ばしくていけます。

つけあわせのキャベツの酢漬けもいい味で、なんとかまねしたいのですが、できません。

残念なのは、事務所の近くにあった北浜店がなくなってしまったことです。
さて、淀屋橋店にいってこようかな…

2012年3月28日水曜日

土地と建物を一体で売却する場合の割付(法人)

破産管財実践マニュアル167頁で、「法人所有の建物や個人の事業用建物の場合には、建物消費税を計上する必要があります(土地は非課税です)。」「土地と建物の固定資産評価額での按分計算を行う方法がよく採られています。」「内税の場合は、土地代金+(建物代金×1.05)が売買代金となるよう配分します。」と記載しました。

では、具体的にどのように計算するのでしょうか。

具体例として、不動産全体の売買代金を1000万円(内税)、土地評価額を600万円、建物評価額を200万円とします。

個人の破産者であれば、消費税がかかりませんので、600:200の割合で割り付ければよく、
  • 土地の割付額
    1000万円 × 600万円 / (600万円 + 200万円) = 750万円
  • 建物の割付額
    1000万円 × 200万円 / (600万円 + 200万円) = 250万円
となります。

これに対して、法人の破産者の場合は、売買代金を、土地部分、建物部分と建物消費税部分に割り付けることになります。
その割合は、上記の例では、600万:200万円:10万円(建物評価額の5%)です。
とすると、
  • 土地の割付額
    1000万円 × 600万円 / (600万円 + 200万円 + 10万円) ≒ 741万円
  • 建物の割付額
    1000万円 × 200万円 / (600万円 + 200万円 + 10万円) ≒ 247万円
  • 建物消費税の割付額
    1000万円 × 10万円 / (600万円 + 200万円 + 10万円) ≒ 12万円


となります。
約12万円は預り消費税となりますから、担保権者への配分原資からは控除します。

もっとも、不合理な割付であれば、税務署に否認される可能性はありますが、土地代金と建物代金の割合は、売主と買主の合意で定められるべき事項であり、固定資産評価額割合に「よらなければならない」というものではありません。

2012年3月27日火曜日

パンチ穴

通常の記録を綴じるときのパンチ穴は、穴の奥行き(のどから穴の中心までの距離)を12mmに設定しています。

裁判所は、届け出られた債権届出書にパンチ穴をあけてから管財人に渡してくれるのですが、どうも普通のパンチではないようで、とても奥行きの深い穴があけられています。

事務所では、穴の奥行き変えられるパンチを使っています。
これだと、10mmから14mmまでの設定ができるのですが、14mmに設定してもまだ浅すぎます。

結果、追完された資料などと、もともと提出された債権届出書などとがでこぼこして、とてもめくりにくくなってしまっています。

深めのパンチも用意しておいた方がいいんでしょうね…

2012年3月26日月曜日

以下「○○」という

書面を書くときに、長い単語は適宜略称を定義して用います。
例えば、「別紙物件目録1記載の不動産(以下「本件不動産」という。)」というふうにです。

ところが、最初に、後で使うだろうと「以下「○○」という」と書いてみたものの、実際には出てこないこともちょくちょくあります。
また、例えば「本件不動産」を「本件土地」とするなど、途中から微妙に違う短縮形にしてしまったりというのもあります。特に、複数の書面を跨ぐときに起こりやすいかと。このバリエーションとしては、先行する書面で定義しているのに、改めて後行の書面で違う定義をしてしまうというのもありますね。
甲野太郎(以下「原告甲野」という。)、乙野次郎(以下「原告乙野」という。)といっておきながら、「原告」とだけ書いたり、「原告甲野太郎」と書いてみたり。

きちんと校正のときに見つけないといけないのですが、見落としたまま裁判所に提出してしまい、後で赤面することも…

そもそも、「本件○○」というのが多いのも、最初の方で、「…(以下「○○」という。)…以下「△△」という。)…」とブチブチと切れる文章が出現するので、見にくいのではないかと思っています。
直後に1回しか出てこないなら、「上記不動産」などで十分なんでしょうね。


また、評価を伴う場合、当事者同士で略称のせめぎ合いが生じることもしばしばあります。
たとえば、損賠請求訴訟で、詐欺を主張する原告は「本件欺罔行為」とし、被告は「本件勧誘行為」とする、過払金請求訴訟で、分断を主張する被告は、「本件第1取引」「本件第2取引」とし、一連を主張する原告は、「平成○年○月○日までの取引」「平成○年○月○日以降の取引」とする、などです。

裁判所から見ると、どちらかに統一してよ…と思うのかもしれないですが、当事者としては、略称1つとっても、相手方の評価に乗っかるわけにはいかないものですよね。

2012年3月24日土曜日

大阪地裁の同時廃止基準

大阪地裁における管財手続と同時廃止手続の振分基準・同時廃止の按分弁済基準は、いろんなところに散りばめられています(過去のいろんな経緯があって)。
先ほど紹介した『個人の破産・再生手続~実務の到達点と課題~』299頁以下に、情報をまとめてあります。
参考にしていただけたらと思います。

『個人の破産・再生手続〜実務の到達点と課題〜』

『個人の破産・再生手続~実務の到達点と課題~』は、昨年(平成23年)6月に日弁連倒産法制等検討委員会で出版した個人破産、個人再生に特化した本です。
平成21年2月に開催した「個人再生シンポジウム〜個人再生の理論と実務〜」をきっかけに、個人の破産と再生のさらなる運用改善を目指し、各地の運用のよいところを紹介し、どんどん採り入れてもらおうということで始めた企画でした。
書き下ろしの論文16本、前述の個人再生シンポと平成20年6月に開催した「破産・個人再生における手続選択と実務上の留意点」の反訳、31点の資料と満載の内容となっています。
是非ご一読いただきたいと思います。
近年、事件数が減少していますが、中でも個人再生が激減しています。
個人再生の運用改善をしておかないと、必要となったときにうまく対応できず、個人再生が敬遠されてしまいかねません。
そのためには、これからもみんなで知恵を出し合っていきたいですね。

租税債権と偏頗行為否認

意外と知られていない規定として、破産法163条3項がありますね。
表題が「手形債務支払の場合等の例外」とあり、見落としてしまうのだと思います。「等」に意味があるのですね。
そこには、「前条第1項の規定は、破産者が租税等の請求権又は罰金等の請求権につき、その徴収の権限を有する者に対してした担保の供与又は債務の消滅に関する行為には、適用しない。」とあり、162条1項の偏頗行為否認が適用されないのです。
一度確認しておくとよいと思います。

2012年3月22日木曜日

倒産法改正のシンポ


3月19日にクレオで倒産法改正のシンポジウムがありました。
このシンポジウムは東京弁護士会倒産法部と大阪弁護士会の倒産法改正研究会の共催でした。
東京と大阪という離れた場所でそれぞれ活躍している一流の倒産弁護士達が時期をほぼ同じくして、倒産法の改正の必要性を認識して、研究会を立ち上げたという事実が、まさに倒産法改正の必要性を裏付けていると思います。
現在、民法改正が進んでいますが、個人的には民法(債権法)を今の時点で改正する立法事実があるのか、若干疑問に思うことがありますが、倒産法については改正の立法事実は明確にあると思います。
倒産事件も多数の利害関係人が存在するので、それらの利益を調整して改正を実現するには高い壁がありますが、パネリストの先生方の熱意を見て、近い将来実現できると思いました。
日頃担当している倒産事件でも解釈の限界を超えていると、諦めて終わりにしていたことが沢山ありましたが、それでは駄目で、その点を改正の必要性として発信していくべきであると私自身は反省した次第です。
皆様も改正の必要性について感じられることがありましたら、全倒ネットのMLを含めて、色々な場面で意見を言っていただければと思います。

『破産実務Q&A150問』の改訂作業

平成19年にできた全倒ネットQ&Aシリーズの第1弾が『破産実務Q&A150問』でした。
今年は、この本を5年ぶりに改訂し、『破産実務Q&A200問』(仮称)にしようと作業を始めています。
前回は、MLの投稿を全部チェックして、テーマごとに仕分けし(夜中に画面とにらめっこして、ちまちまとエクセルに入力していました。)、それを基にQを作っていきました。
勢いで作った本でしたが(編集会議も必ず1泊2日コースでしたね。)、それがよかったのか、今見てもいい本ですね。業界大ベストセラー!
今回の改訂で、さらによい本になると思いますよ。乞うご期待!

債権届出綴り

債権届出綴りは、大阪地裁では紐で綴じられた状態で預かっています。

このまま債権調査の準備を進めてもいいのですが、その後に追完資料や(一部)取下書を編綴することを考えると、作業中はパイプファイルに綴じておくことが便利です。

2012年3月21日水曜日

競売における別除権の消滅時期

別除権目的物の競売手続が進んだ場合、別除権者はどの時点で配当に加わることができるのでしょうか。
競売手続における代金納付(A)
破産手続上の配当除斥期間満了(B)
競売手続における配当・弁済金交付 (C)

というケースで考えてみます。


競売手続上、不動産上の抵当権等は、売却によって消滅するとされています(消除主義。民事執行法59条1項)。そして、これは代金納付の効果とされており、代金が納付されると、抵当権設定登記が職権で抹消されます(同法82条1項)。

とすると、買受人による代金納付の時点(A)で、「担保権によって担保される債権…が…担保権によって担保されないことになった」(破産法198条3項)と考えられなくもありません。
他方、競売手続上の配当等(C)に至らないと、不足額は確定しません。

結局、競売手続中は、Aを経由してもいまだ配当・弁済金を受けることができるという意味で、いまだ「担保権によって担保されなくなった」ということはできず、Cの時点でようやく不足額が確定することになると考えられます。

つまり、上記のケースでは、Bの時点ではいまだ別除権付破産債権のままですので、不足額責任主義によって、配当には加われないということになりそうです。

2012年3月19日月曜日

Excel コピペのためのショートカット(1)

起案をしているとき、できるだけキーボードからマウスへの移動を少なくした方が、時間短縮となるだけでなく、思考が中断しなくて済みます。
そこで、ショートカットキーを活用することになります。

まずは、コピペのためのショートカットキーを紹介します。

たいていのWindowsのソフトでは、コピーが"Ctrl+C"、切取りが"Ctrl+X"、ペースト(貼付け)が"Ctrl+V"で、Excelもご他聞に漏れません。
"C"は"Copy"の頭文字、"X"はバツ印として、なんでペーストが"V"なの?という疑問が浮かびますが、たぶん、キーボード上で"X","C"のならびで"V"になったのではないか…と思っています。


"Ctrl+C" でコピーして…


"Ctrl+V" で貼付け 


これだと2ステップ必要になりますが、隣接セルであれば、1ステップでコピペが可能です。
右側のセルにコピーする場合、コピー先のセルを選択して、"Ctrl+R"で、下側であれば、同様に "Ctrl+D"です。"R"は"Right"の頭文字、"D"は"Down"の頭文字でしょうね。

"Ctrl+R"で左のセルの内容を右側のセルにコピー


"Ctrl+D"で上のセルの内容を下側のセルにコピー


次回は、行や列のコピー、移動のショートカットキーを取り上げてみたいと思います。


さて、今日はこれから日弁連のクレオで「倒産法改正の展望と課題」のシンポジウムです。

2012年3月18日日曜日

提言倒産法改正とシンポジウム


野村さんと新宅さんも執筆に参加している「提言倒産法改正」を読んでみました。

私は、近年倒産実務で問題となっている租税債権や労働債権の代位弁済の問題について注目していることから、杉本純子先生が執筆している倒産手続におけるプライオリティー体系については興味深く読ませてもらいました。
杉本先生が、この問題のパイオニアとして今後も研究を続けて、理想的なプライオリティ体系を完成させる日を楽しみにしています。
また、実際には配当事案となることは少ないため、大きな問題にはなりませんが、私個人としてはときどき「この破産債権を一般の破産債権として処遇するのはいいのだろうか?」と疑問をいだくことがあります。
破産債権の中で劣後的に扱うべき債権があるのでは、という問題意識を持っているのですが、体系を構築できるだけの能力は私にはないので、この点も杉本先生にお願いしたいと思っています。

管財人として倒産業務に関わると担保権者との調整が一番難しいと思います。
この点については野村さんが執筆していますが、管財人の立場からはどれも頷けるものばかりです。
あと、赫先生の集合動産、将来譲渡担保の問題、堀野先生の倒産手続とリースの問題も参考になります。

債務者が自宅(住宅)を保持することを強く希望しているため、個人再生を最優先で検討する事案も多いのですが、「住宅資金特別条項」の適用に問題が生じる事案が少なくありません。
この問題については新宅さんが執筆されています。
一般化はできませんが、東京や大阪の柔軟な運用例も紹介されており、参考になります。
私は千葉で弁護士をしているので、会社更生事件や大型の民事再生事件は皆無ですが、他方で、個人の破産や個人再生事件は多く担当しているので、この「住宅資金特別条項」の見直しだけは倒産法全体の改正とは切り離して、今すぐにでもやって欲しいと強く思います。

さて、倒産法改正については東京弁護士会の倒産法部からも「倒産法改正展望」という本が出版されています。大阪の本と比べると少し高いですが、是非とも購入することをお薦めします。私も買って読んでいますが、十分元が取れるだけの価値があります。

最後になりますが、この倒産法改正のシンポジウムが3月19日(月)午後6時からクレオで行われます。私も参加するつもりですが、皆様も参加してください(申し込み不要で先着順、かつ無料!)。
特にこれから倒産事件を沢山やっていきたい(専門的に扱いたい)と考えている若い先生方にこそ是非とも参加して欲しいと思います。
時期は分かりませんが、倒産法がいずれ改正されることはほぼ間違いありません。
よく言われることですが、法律が改正されるときこそ若手がその業務に参入していくチャンスだからです。今回のシンポはあとからふりかえって、倒産法改正のスタートだったと評されることになると思われますが、その時点から改正の流れをフォローしていたことは大きなアドバンテージになるでしょう。

また、今倒産法の改正を勉強することは現行法の制定時にどのような考えで立法がなされたかを知ることになります。そして、現在の実務でどのような問題が生じているかを知ることもできますし、さらには現行法の解釈の限界も知ることができます。これらは最先端の論点が多く含まれています。

東京を筆頭に大都市では管財人等の希望者も多く、倒産事件も専門化が進んでおり、ある程度の規模の倒産事件を扱うには平均的な弁護士の倒産法の知識では、担当することが難しくなっていくと思います。
現行法(現行の倒産実務)もまだ十分に理解していないのに、改正の話なんて・・・と言っているとチャンスはなかなか来ないと思います。
次世代の倒産実務を担うであろう若い先生方にこそ積極的に最先端の議論をする場所に参加して欲しいと思っています。
では、クレオで会いましょう。

MLとcc

某MLシステムの初期設定が公開であるため、誰でも見られる状態になってしまっている…という報道が少し前にありました。

これは論外としても、MLでときどき複数のMLのアドレスをccに入れてクロスポストされている方がいます。
MLではsmtpサーバーまで判定しない、つまり、送信者(from行)の偽装を見抜けません。

情報漏洩が生じるわけではありませんが、なりすましによるMLの信頼性の低下が起こりえますので、絶対に避けるべきです。

2012年3月15日木曜日

四捨五入

債権を支払う場合で、その額に小数点以下の数字が生じるとき、考え得る方法としては、
  1. 切り捨て
  2. 切り上げ
  3. 四捨五入
の3通りがあります。

実は、この点も法律の定めがあります。
通常の債権は、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律3条1項により、四捨五入とされています。
国と公庫の債権債務は、同条2項により国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律が特則となり、2条1項が切り捨てを定めています。
通常の債権と国などの債権で取扱いが異なるのですね。


では、債権執行や破産手続での配当の場面ではどう取り扱われているでしょうか。
この場合は、有限の配当原資を平等に分配するために、債権者間でどのように調整するかという問題であるからか、必ずしも上記のような取扱いになっていません。

そもそも、配当原資を按分する際の小数点以下の取扱いの方法としては、上記の1~3に加えて、
  1. 小数点以下の数字の大きな債権から切り上げ、残りは切り下げ
という方法も考えられます。これだと、1円単位の残りも生じず、配当原資を完全に分配してしまうことができます。
債権執行の場面では、このような方法によるようです(実務債権配当の基本問題」(民事法研究会)179頁)。

破産の配当でも、大阪地裁では以前4.の方法によっていましたが、現在は1~3のどれかによればよく(「新版破産管財手続の運用と書式」(新日本法規)287頁)、東京地裁でも同様なようです(「破産管財の手引」(きんざい)317頁)。
きれいに配当しきる必要性が高い債権執行と異なり、その後の事務費などで誤差を吸収しうる破産管財手続では、計算の簡易性を優先しているのですね。
Excelで配当表をつくるときに、どのような関数でこの計算を実現するかは、いずれまた。

2012年3月14日水曜日

交付要求書と交付要求通知書

財団債権や優先的破産債権である公租公課の有無や金額の把握は、交付要求庁からの交付要求によって行います。

ところで、公租公課庁から送付要求書といっしょに、または前後して送られてくる交付要求通知書は何で、どう取り扱えばいいのでしょう。

公租公課庁から見ると、破産管財人は、裁判所と同じく執行機関です。また、破産という強制換価手続が先行していることになります。
公租公課庁による執行機関である破産管財人に対する強制換価手続参加の手続が、交付要求です(国税徴収法82条1項)。

その際、公租公課庁は、滞納者に交付要求を通知しなければなりません(同条2項)。これが、交付要求通知書です。

破産の場合、滞納者である破産者の財産の管理処分権限を有しているのは破産管財人であるという理解の下に、交付要求書に交付要求通知書を同封してくる公租公課庁もあります。
また、交付要求通知書は破産者本人に郵送するところもあります。もっとも、転送されて破産管財人の下に届くわけですが。

さらに、なぜか交付要求通知書が届かない場合もあります。

いずれにせよ、破産管財人としては、直接または転送されてきた交付要求通知書は、受け取っておけば足ります。

2012年3月13日火曜日

新破産法の基本構造と実務

一問一答の他に破産法でお薦めしたい本がジュリストの増刊号である「新破産法の基本構造と実務」という本です。ジュリストで連載していた記事をまとめたものです。
出席者(発言者)が超一流の学者の先生と超一流の実務家であり、参考になる発言が随所にあります。

私が読んでいて一番感銘を受けたのは松下淳一教授の直前現金化の話で(492頁以下)「99万円までの現金が自由財産とされたのは、先ほど述べたアメリカの法律のように、現金以外の財産の属性と上限額を組み合わせる規律あるいはワイルドカードの規律を設けることが日本法では困難だからということで、破産財団からの除外を上限額で画することが容易な現金を、日常的に保持する額よりも相当多めの上限額で自由財産にしたと考えられます。したがって、債務者によって財産が換価され、その代金が99万円の範囲内で自由財産となってしまうという事態を、自然人の債権者は覚悟すべきであって、換価前の財産の交換価値も、潜在的には換価行為を通じて破産財団から外れる可能性を有していたいと考えられないでしょうか。」という発言です。
現在のほとんどの裁判所では自由財産の拡張の判断において、直前に現金化されたものはその換価前の財産の性質に基づいて判断されるので、それが拡張適格財産で無い場合は99万円の枠内であっても自由財産の拡張が原則として認められないことになります(必要不可欠性が求められる)。

松下教授は99万円の枠内では破産者に財産のプランニングと認めるべきだと主張されていますが、私は個人的には松下教授の意見に賛成です。
裁判所には運用を改めて欲しいのですが、牙城はかたそうです。
でも、諦めずに主張していこうと思っています。

論文検索

準備書面や原稿を書くときに、論文を引用することがよくあります。
すぐに見つかればいいのですが、「えーっと、どこかで読んだ覚えがあるんだけれど、どの法律雑誌だったかなぁ…」ということもまたよく起こることです。

事務所で導入している判例検索システムで引っかかればいいのですが、対象となる法律雑誌は限られています。
例えば、判例時報についてみると、どの判例検索システムでも、論文に関しては本文だけでなく見出し等も電子化の対象とはなっていないのではないでしょうか。

こんなときに重宝するのが、国立情報学研究所の論文情報ナビゲータCiNiiです。

本文は原典に当たらなければなりませんが、書棚の雑誌を片っ端から繰っていく必要がなくなり、とても便利です。

2012年3月12日月曜日

一問一答

全倒ネットのMLでも話題になり、当ブログでも3月9日の記事で新宅さんが書いていましたが、一部の裁判官には安易な同時廃止、免責はモラルハザードをまねくと言うことで、個人再生を選択するように指示されることがあります。私も過去に経験したことがあります。
私はこれを「個人再生前置主義」と呼んでいるのですが、これが、これが誤りであることは、新宅さんが既に述べたとおりです。
債務者が破産手続を選択するのか、個人再生を選択するのかは、いずれの要件も充たす限りは債務者(及び代理人)の自由な選択に委ねられています。これは立法担当者が書かれている「一問一答個人再生手続」にも記載されています。
ところで、新しい法律ができると大体立法担当者が当該法律を解説した「一問一答」シリーズが出版されます。このような本は新法が成立・施行して間もない時期は購入するモチベーションがありますが、時期を逸してしまうと、売り切れてしまったり他に当該法律を解説した本(Q&Aやマニュアル類を含む)が、いくつも出てきますので、敢えて購入しない方も多いと思います。
しかし、未知の問題に遭遇したときに当該法律の立法担当者の意見がとても参考になることが少なくありません。加えて、一問一答を執筆している立法担当者は裁判官であることが多いことから、裁判所を説得する際に大きな力となります。
逆に立法担当者の意見に明確に反する見解は実務上はとりにくいでしょう。
倒産法関係で言えば一問一答は「新しい破産法」「民事再生法」「個人再生手続」「新会社更生法」「逐条解説新しい特別清算」が商事法務から出版されています。
これらの本は手元に置いておき、疑問が生じた場合は常に参照できるようにしておくと良いでしょう。ちなみに私は、未知の問題を調べる場合は大体①一問一答②条解やコンメンタール類③弁護士が書いたQAやマニュアル類④学者の先生の本という順番で調べています。

私は(倒産法以外で)普段はまず扱わないと思われる法律でも一問一答シリーズは購入するようにしています。

2012年3月11日日曜日

印税

確定申告の期限も迫ってきましたが、おかげさまで「破産管財実践マニュアル」の著者3名にも印税がありました。

ところで、執筆者が受け取る「印税」ってなんでしょう。著作権者は徴税機関ではないわけですし。

と思って調べてみると、昔、書籍に貼られていた「検印紙」と、印紙税の納付方法である収入印紙のアナロジーからきていたのですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B0%E7%A8%8E

確かに、古い本には検印紙が貼ってありますし、少し前までは検印紙はなくとも奥書に「検印廃止」と書いてありました。
制度自体は廃れ、言葉だけが残ったのですね。

2012年3月9日金曜日

個人再生に対する誤解

個人再生でよく誤解されるのが、サラリーマンは給与所得を得ているから、給与所得者等再生しか使うことができず、小規模個人再生は利用できない、というものがあります。
しかし、これは誤解で、いずれの手続も選択できます(「一問一答個人再生手続」(商事法務)40頁)。
ネーミングによって誤解が生じている面も大きいのですが、 特に制度導入当初は、再生債権者から消極同意が得られるか不明であったこともあいまって、給与所得者等再生の利用率が高かったものです。

しかし、その後、ほとんどの再生債権者が再生計画案に反対しないという実績が積み重なったことから、小規模個人再生の利用率が高まっています。
大阪地裁、東京地裁ともに約9割が小規模個人再生です。
給与所得者等再生では、最低弁済額の基準の1つに可処分所得基準が加わりますが、生活保護の基準を参考にしています。このため、どうしても最低弁済額が跳ね上がる傾向にあります。このため、再生債務者にとっては、小規模個人再生の方が経済的には有利なので、消極同意が得られるのであれば、そちらを選択することになります。


次に、個人が利用できるのは個人再生だけで、通常再生は利用できない、という誤解があります。
しかし、個人であっても通常再生の利用は可能です(前掲38頁、40頁)。
5000万円要件を満たさない場合や、再生計画案で5年を超える弁済期間を定めたい場合に、通常再生を利用するメリットがあります。
ただし、再生計画案に対する消極同意ではなく積極同意が必要となることや、債権調査などの手続が簡略化されないこと、監督委員の費用が必要となることなどに注意が必要です。


また、破産の申立てをしたところ、将来の収入から返せるのだから、破産ではなく個人再生を選択すべきだという示唆を、裁判所から受けることがあります。
しかし、これは全くの誤解で、現行法は、破産と個人再生について自由選択制を取っています(前掲46頁)。
支払不能に陥っていれば、将来の収入があるからといって、破産の利用が妨げられることはありません。

2012年3月8日木曜日

自由財産拡張と相続

破産者が開始決定後に死亡した場合、相続財産について破産手続が続行されます(破産法227条)。

しかし、相続財産破産には自由財産拡張の適用はないと解されており(「条解破産法」1436頁)、自由財産拡張の申立てがされていた財産や本来的自由財産も、全て破産財団に属することになります。

2012年3月7日水曜日

テキストエディタ

通常の文書は、MicrosoftのWordで書いていますが、大量のテキスト処理をする場合は、テキストエディタの出番です。

いろいろと定番のソフトがありますが、私は秀丸エディタを使用しています。

法務省の法令検索は、条文に忠実に漢数字で表示されるのですが、引用したりするときには使い勝手が悪いです。
そんなとき、自分で正規表現を使って何段階かで置換していってもいいのですが、「秀丸用 漢数字 <-> 算数字相互変換マクロ」という強力なマクロがあります。
「無条件に変換」の設定に、「章」「節」「款」を追加するとちょうどいい感じです。


正規表現はいきあたりばったりでやってますが、ちゃんとオライリーのフクロウ本で勉強した方がいいのでしょうね。

2012年3月6日火曜日

個人再生の適用除外条項

個人再生で、適用が除外される通常再生の規定の一覧表を、本体のHPのデータベースのページにまとめてみました。

個人再生における少額債権の例外

個人再生では、通常再生が実質的平等主義をとっている(民事再生法155条1項)と異なり、再生計画上、形式的平等が貫かれています(同法229条1項、244条)。
例外は、
  1. 不利益を受ける債権者の同意がある場合
  2. 少額債権の弁済時期
  3. 開始決定後の利息・遅延損害金
だけです。


2.について、例えば大阪地裁では、1か月あたりの弁済額が1,000円未満の場合がこれにあたるとされています(「事例解説個人再生 大阪再生物語」244頁)。
つまり、弁済期間3年なら権利変更後の弁済総額が36,000円未満、5年なら60,000円未満なら、少額債権として、他の再生債権よりも早期の弁済を定める再生計画案が策定できます。再生計画に基づく弁済が1か月ごとか、3か月ごとかは影響しません。

東京地裁では、特に基準はないようです(「個人再生の手引」273頁)。


もっとも、2.の例外は、「時期」についてだけであり、少額債権者の弁済率を不利益にすることはできません。


では、通常の再生債権者には、再生計画認可確定の翌月を第1回とし、3年間にわたって1か月ごとに弁済する(36回)ものの、少額債権者には、確定の1年後を第1回、2年後を第2回、3年後を第3回とするような再生計画案は認められるでしょうか。

そもそも、少額債権の例外の趣旨は、形式的平等を貫いた場合の再生債務者の過剰な費用負担(具体的には、振込手数料ですね。)を回避するために、少額債権者に対する弁済を早期に終えることができるようにするものです(「一問一答個人再生手続」206頁参照)。
このような例外を法が許容するのは、非少額債権者との関係で実質的な平等を害するとは類型的にいえないからです。

そうすると、上記のような再生計画案は、少額債権者を通常の再生債権者より不利益に扱っているものですので、少額債権の例額の要件を満たさず、不適法となります(「事例解説個人再生 大阪再生物語」245頁、「個人再生の手引」273頁)。
このため、小規模個人再生であれば、再生計画案は付議されず(同法230条2項、174条2項1号)、給与所得者等再生であれば、意見聴取がされません(同法240条1項1号、241条2項1号、174条2項1号)。

2012年3月5日月曜日

求償権と抵当権付の原債権

銀行が貸付けを行い、保証会社が保証している場合に、債務者が弁済できなくなると、保証会社が代位弁済します。
これにより、保証会社は、債務者に対する求償権と、銀行が有していた原債権(貸金債権)を取得します。債務者の所有する不動産に原債権を被担保債権とする抵当権が設定されていれば、保証会社は、原債権とともに抵当権も取得します。

そして、債務者が破産や民事再生に至った場合、求償権・原債権は、ともに破産債権(再生債権)となります。もっとも、原債権については、抵当権の被担保債権ですから、別除権付債権となります。

原債権が再生計画によって権利変更され、これに基づく弁済が完了した場合に、原債権に基づく競売が許されるのか、という点について、千葉地裁平成23年12月14日決定が判断しています(判例時報2136号91頁)。

問題点は、
  1. 求償権は再生計画の履行によって消滅しているのであるから、原債権も附従性によって消滅し、抵当権の実行は許されないのではないか
  2. 抵当権の実行を許すと、保証会社は、原債権の実行による回収と、求償権全額を基礎とした弁済の両方を受けることになり、不足額責任主義に反するのではないか
という点にあります。

上記判決例は、1.について、最高裁平成23年11月24日判決(金融法務事情1935号50頁)を引用しつつ、担保権行使の限度では原債権に対して再生計画による求償権の権利の変更の効力は及ばないとして否定し、2.についても、求償権と原債権は別個の債権であるからをやむを得ないとして、抵当権の実行を認めています。

2.についてですが、確かにこのような求償権は別除権付債権ではないのですが、大阪地裁では、別除権付債権である原債権と同様の制約を受ける取扱いとしています(「新版破産管財手続の運用と書式」255頁)。
このような運用であれば、不足額責任主義上の問題は回避できます。

なお、本件では、保証会社は別除権付債権として届け出ていましたが、再生債務者は、別除権なしの再生債権として取り扱っていたようです。

2012年3月4日日曜日

Excelで全角数字を入力

ときどきですが、Excelで数字を全角で表示したい場合があります。
Excelのセルに全角数字を入力しても、半角数字に変換されてしまいます。



















文字列として全角数字を表示することも考えられますが、これだと数字を計算に用いることができません。


そこで、セルの書式設定で、表示形式を全角に設定します。

まず、セルを右クリックし、「セルの書式設定(F)」をクリックします。










































表示された「セルの書式設定」ダイアログの「表示形式」タブで、「ユーザー定義」を選択し、「種類(T)」に「[DBNum3]#,##0]」と入力し、「OK」をクリックします。

「[DBNum3]」は、数字を全角で表示せよ、「#,##0」は、数字を3桁ごとにコンマで区切って表示せよ、という指示です。



























これで、設定したセルの数字が全角で表示されます。


2012年3月2日金曜日

個人再生における繰上弁済

個人再生の再生計画案の弁済期間は、3年を切ることができません(民事再生法229条2項2号、244条)。
しかし、処分可能な財産があるなど、3年未満で払いきってしまいたい場合もあります。

このようなときには、再生計画案の策定にあたり、初回の弁済額を大きく取り、残りを極少額に留めて、実質的に一括弁済に近い計画案にすることもできますが、繰上弁済でも対応が可能です。

つまり、再生計画上は通常の3年の弁済期間を定めておいて、再生計画の履行段階でこれを繰り上げて一括で支払ってしまう方法です。
繰上弁済自体は、何ら法律上の問題があるものではありません。

もっとも、債権間で不平等とならないよう、特定の債権者だけに繰上弁済を行う(または行わない)ということがないようにする必要は当然にあります。

2012年3月1日木曜日

放棄後の不動産

破産管財人が換価できない不動産を破産財団から放棄することがあります。
これは、実体的な権利の放棄ではなく、破産者が所有者でなくなるものではありません。
あくまでも、管理処分権が破産管財人から破産者に復帰するにとどまるものです。


自然人の場合であれば、不動産をめぐる権利関係は破産前の状態に戻ります。つまり、抵当権者がいつでも競売を申し立てられる状態です。
抵当権者は、競売を希望するのであれば、破産者を相手方として申立てを行えばよく、任意売却を望むのであれば、破産者と交渉すれば足ります。


これに対し、複雑なのが法人の場合です。特別代理人または清算人の選任が必要となります。
破産手続開始決定によって、代表者がいない状態になるからです(会社法330条、民法653項)。

まず、民事訴訟法が準用される競売手続では、特別代理人が選任されます(民事執行法20条、民事訴訟法35条1項)。
通常、特別代理人の職務は、送達される書類を受領することに尽きます。
そこで、適宜廉価で受ける弁護士を探し出してきて、執行裁判所に推薦することが行われています。

次に、抵当権者が不動産の買受希望者を見つけてきた場合ですが、任意売却のためには清算人を選任することが必要です。
このようなケースでは、いわゆるスポット清算人が選任されています。
本来の清算人と異なり、清算業務全般を行うのではなく、任意売却とこれに付随する業務のみを遂行し、完了次第解任されるものです。
元破産管財人が選任されることが多いようですが、不動産を破産財団から放棄したものの、破産手続自体は終了していない間に任意売却が可能となったときなどは、別の清算人が選任されます。

2012年2月29日水曜日

給与の差押えと破産・個人再生

債務整理受任時に、債権者から給与が差し押さえられている場合があります。
破産や個人再生を予定しているのであれば、給与を差押えから解放するために、とにかく早く申立てて開始決定を得る必要があります。
以下、それぞれの手続で給与の差押えがどのようになるかを見てみます。


破産管財手続の場合は、開始決定によって差押えは失効します(破産法42条2項本文。「破産管財実践マニュアル」82頁)。
それ以後の給与については、破産者が全額を受け取ることができます。


これに対して、同じ破産でも同時廃止の場合は、開始決定時には差押えは中止となるだけで(同法249条1項)、失効するのは免責決定確定した時です(同条2項)。
このため、開始決定がでれば、差し押さえられている給与の部分について、差押債権者が勤務先から回収することはできなくなりますが、破産者がすぐに差押相当額を受け取れるわけではなく、勤務先がプールし続けることになります。
そして、免責決定が確定した時点で、破産者は勤務先からプールされていた部分を受け取ることができるようになり、以後は差押えがない状態に戻って給与全額を受け取れます。

これは、開始決定によって生じた失効の効力が同時に消滅するので、結局、開始決定だけでは差押えが効力を失わないからです。
このため、旧法下では、同時廃止から免責決定の確定までの間の強制執行が許されるとされていました(最判平成2年3月20日最高裁判所民事判例集44巻2号416頁)。
破産法249条1項は、このような不都合を回避するために設けられた規定です。


次に、個人再生の場合ですが、これも同時廃止と同じような推移をたどります。
まず、開始決定で差押えは中止となり(民事再生法39条1項)、再生計画認可決定確定失効します(同法184条)。
つまり、開始決定がでても、(あとでまとめてもらえるとはいえ)認可決定の確定までは給与全額を受け取れないということですね。
ただし、給与全額の支払いがなければ再生に支障を来す場合は、裁判所に申し立てることで、強制執行の取消しも可能です(同法39条2項)。無担保で発令されることが通常のようです。

なお、破産、個人再生とも、申立後開始決定前の中止命令の制度があります(破産法24条1項1号、民事再生法31条1項)。
特に個人再生では、申し立ててから開始決定までに時間がかかることもありますので、これらの申立てをしたくなるところですが、むしろ裁判所に早期の開始決定を促す方が実用的でしょう。

2012年2月26日日曜日

『提言 倒産法改正』ができるまで

新宅さん紹介の倒産法改正研究会編『提言 倒産法改正』(金融財政事情研究会)ができるまでを少し書いておきます。
倒産法制の立法が終わり、落ち着いたかに見えてはいますが、実際の現場では、不都合な点が多々あり、解釈や運用による対処だけでなく、見直しが必要と感じていました。
また、債権法改正の議論が進む中、倒産の場面の検討は別途倒産法でやってください、といった話が多く出てきました(すごく疑問ですね。)。
そんな中、昨年4月、やはり倒産処理弁護士から発信すべきと思いたち、友人に呼びかけ、5月の準備会を経て、6月には出版社にもご理解いただき、研究の成果を出版していただけることになりました。特に、7月、8月に集中して研究会を開催し、9月末の初稿締切りを厳守し(私の原稿の取立ては特に厳しい・・・)、その後も論文の検討会を行い、めでたくこの度の出版となりました。
発案したものが具体的な成果物(本)となるのはうれしいですね!
3月19日には、東弁倒産法部と共催で倒産法改正シンポを行います。
実際の倒産法改正までは長い道のりになるとは思いますが、まずは、第2弾を考えています。

2012年2月25日土曜日

リゾートマンションの売却


破産財団にリゾートマンションがあり、管財人として任意売却を試みるケースがあります。
私が昨年の夏に受任した管財事件でも、新潟県のスキー場の近くにあるリゾートマンションがありました。
いつも声をかけている東京や千葉の不動産会社に情報提供しましたが、遠方なので動きが良くありません。
そこで、管理組合に連絡して、当該物件を良く扱っている地元の不動産会社を教えてもらい、仲介の依頼をしました。
しかし、仲介業者からは「スキー場に雪が降り始めないと物件は動かないと思いますよ」と言われました。確かに、雪が降るまで全く打診がありませんでした。
ところで、リゾートマンションは管理費が滞納していることが多く、しかも、この管理費は通常の居住用マンションと比較して高額であることが普通です。
そのため物件を売却するために滞納管理費を減免しないと買受人を探すことが困難なケースがあります。
この場合、滞納管理費を減免するには総会の決議が必要となります。
そして、管理組合の定期総会は年に1回です。リゾートマンションの組合員は外部居住者であることが多く臨時総会を開くことは困難です。
そこで、滞納管理費を減免する必要がある場合は、定期総会の時期も念頭に置いて売却を進める必要があります。
売買の時期や条件が未定であれば、減免の時期や金額等を判断する権限を理事長(理事会)に委任することを決議しておけば良いと思います。
余談ですが、リゾートマンションは施設に温泉が引いてあるか否かで、売れ行きに違いが生じると仲介業者の方が言っていました。スキーをしたい若者が買うのだから、温泉なんて関係のではと思ったのですが、スキー場近くのリゾートマンションは若い人よりも、会社をリタイアして、時間的にも経済的にも余裕のある高齢者の方が買うことが多いからだということです。

2012年2月24日金曜日

「提言 倒産法改正」出版

野村、新宅が執筆にかかわった「提言 倒産法改正」がきんざいから出版されました。
東京弁護士会も「倒産法改正展望」を出版します。

3月にはシンポジウムが開催される予定です。

2012年2月23日木曜日

宛名ラベル

通常の弁護士業務でもそうですが、管財事件では宛名ラベルを作成することが輪をかけて多いといえます。

我が事務所では、BrotherのPL-550が活躍中です。
SDKも公開されていますので、Excelでマクロを組んで利用しています。

と、この記事を書くためにBrotherのHPをみると、いろいろ新機種が出てるんですね。
欲しくなってしまいそうですので、深入りせずにさっさと筆を置きます。

2012年2月22日水曜日

財団から放棄された不動産の滞納管理費

管財事件では不動産の任意売却に努めますが、いろいろな事情により売却できず、最終的に財団から放棄することがあります。

この場合、不動産の管理処分権は、破産者に復帰します。
そして、抵当権者は、破産者を相手方として競売手続を行います(自然人であれば破産者本人が相手方。法人であれば特別代理人を選任。)。

不動産がマンションの場合、財団から放棄後も滞納管理費が生じ続けます。
競落人は、財団放棄後の滞納管理費を含む一切の滞納管理費の支払義務を承継し(区分所有法8条)、これを支払うことになります。

滞納管理費を支払った競落人が破産者(自然人)に求償できるか、という点について判断した東京高裁平成23年11月16日判決(上告審)が、判例時報2135号に掲載されていました。

  1. 破産手続開始決定前の滞納管理費についての求償権は、破産債権なので免責求償できない
  2. 破産手続開始決定後財団放棄までの滞納管理費についての求償権は、破産法148条1項2号の財団債権であり、破産者は弁済義務を負わない。求償できない
  3. 財団放棄後の滞納管理費についての求償権は、破産者が責任を負わないとする法律上の根拠がない。また、信義則違反または権利濫用にもあたらない。求償できる
1,2は当然として、3は厳しいですね。

早期に売却すればそれだけ管理費の負担は減ります。
しかし、管財人が売却できずに競売になっている物件を早期売却することは容易ではないでしょう。
また、そもそもこの事案がそうであったように、破産者は、任意売却に協力するために退去していることがほとんどで、実際にマンションを利用しているわけではありません。
にもかかわらず、管理費だけは負担し続けなければならなくなります。
せっかく免責を得てリフレッシュスタートを切ったというのに、不要な支出を強いられるといえます。

判決も指摘するように、立法による解決が必要なところかもしれません。
同様の問題は、放棄された不動産の固定資産税についても指摘することができます。

2012年2月21日火曜日

ファイル名変換

業務をしていると、大量のファイル名を変換する必要が生じる場合があります。
私は、そんなとき、Flexible Renamerというソフトを利用しています。

正規表現はもちろん、さらに複雑なスクリプトも利用できるので、重宝しています。

2012年2月20日月曜日

破産管財人等協議会


2月17日に前橋地方裁判所で行われた管財人等協議会に外部講師として参加してきました。
申立代理人と破産管財人の連携というテーマで90分ほど講演をして、その後、裁判所と弁護士会の協議にもオブザーバーとして参加させていただきました。
このテーマを取り上げたのは、申立代理人と破産管財人との連携が上手くいかずに手続の進行に支障が生じているケースがあることを聞き、また、私自身も体験したことがあるからです。
申立代理人は破産管財人の視点を忘れずに、破産管財人も申立代理人の立場を理解して業務を行うことの重要性と申立代理人と管財人との間で齟齬が生じやすい点を説明させてもらいました。
協議会の議題も盛りだくさんでした。中でも、倒産処理にかかわる税務の問題と管財人の(質も含めた)給源確保は千葉でも前橋でも共通する関心事のようです。
管財業務のマニュアルを裁判所と弁護士会の共同で作成したらどうかという提案もされていました。是非とも裁判所と群馬弁護士会で積極的な議論をして、より良いマニュアルが完成することを祈っております。
協議会の後には懇親会の場も設けていただき、裁判官、書記官の方、群馬弁護士会の先生方と楽しい時間を過ごさせてもらいました。
若い書記官の方から「最近初めて破産事件を担当するようになったが、先生方が書かれた破産管財実践マニュアルはよく参考にさせてもらっています。」と言ってもらいました。
管財事件を担当している若手の先生からは「参考にさせてもらっています」との声をかけられることが多いのですが、裁判所の書記官方にも使っていただいていることを聞き嬉しく思いました。
前橋地裁で倒産事件を担当してる裁判官と主任書記官の方は以前、千葉地裁の民事4部(破産再生係)で管財事件を一緒に担当してことがあり、久しぶりの再会となりました。
裁判官からは「石川先生、経験を積まれてかなり力をつけられましたね。」と大変嬉しい言葉もかけていただきましたが、経験も実力も無く、勢いだけで管財事件を担当していたあの頃を思い出してちょっと恥ずかしい気もしました。
今後も精進して、少しでも多くの経験をこのブログや破産管財実践マニュアルの改訂版で提供していきたいと思います。