2012年3月30日金曜日

トリプルアイ・高木賞

今年のトリプルアイ・高木賞の募集が始まりますね(4月1日から7月末日まで)。

平成17年、財団法人民事紛争処理研究基金内に「倒産・再生法制研究奨励金」が創設され、高木新二郎先生のお名前が冠された「トリプルアイ・高木賞」が平成19年から始まりました。今回が第6回となります。

私たちも平成21年の第3回の際に、『破産管財実践マニュアル』で選考委員会特別賞をいただきました。

当時、高木賞の存在は知っていましたが、無関係と思っていたところでの受賞でしたので、びっくりでした。

私たちの本は、全くの実務書でしたしね。ご褒美だと思って、ありがたくいただきました(当時、HPのお知らせ欄でご報告しました。)。

この賞の「一般個人」は、論文公表時に年齢40歳未満の若手研究者および実務家とされています。自薦・他薦を問いません。

自分が面倒を見た修習生やロースクールの教え子には、弁護士になって10年くらいの段階で、どの分野でもよいので、みんなの役に立つ論文か本を出すようにと言ってます。

倒産の分野については、この高木賞がありますよ。

みなさんもいかがでしょうか?

初めての法人破産申立

以前もブログで報告しましたが、全倒ネット関東地区の研修会が2月4日に甲府で行われました。
メインは「初めての法人破産申立」というテーマでのパネルディスカッションでした。
これから何回かに分けて、この研修会の内容をダイジェスト版として報告したいと思います。
研修会のコーディネーターが小野正毅先生、パネラーは私の他に伊藤尚先生、吉澤宏治先生、林正宏裁判官です。
私以外の発言は当時のメモに基づいて私個人が理解したことであり、発言したパネラーの方の真意と異なる点があるかもしれませんので、その点はご了解下さい。

法人の倒産処理について相談を受けた場合に相談に際して聴取すべき事項や持参させるべき資料としてどのような点に留意すべきでしょうか。
この点についてパネラーの先生から選択すべき手段が決まっていない場合は再生も視野に入れて破産、再生に関する共通事項となる点の聞き取りを優先して行うという話がありました。
まだ、営業を継続しており、再生も選択肢から排除されない場合は合理的な相談の仕方だと思います。資料として特に大切なのが決算書(貸借対照表と損益計算書)なると思います。

2012年3月29日木曜日

カレー

カレーとラーメンは我が業界にも一家言ある方が多いですが、私のカレーNo.1はインデアンカレーです。
関西には、最初甘口で後から辛さがじんわり来る系統のカレー群があるのですが、その筆頭といってもいいでしょう。
一口目は、何だこの甘いの?と思うのですが、これが侮れません。
なれない頃は、途中で気を抜いて水でも飲んでしまって、リフレッシュされた口がまた辛さをさそうというスパイラルに陥ってしまったものです。
でもうまい。

カレースパゲティもまた香ばしくていけます。

つけあわせのキャベツの酢漬けもいい味で、なんとかまねしたいのですが、できません。

残念なのは、事務所の近くにあった北浜店がなくなってしまったことです。
さて、淀屋橋店にいってこようかな…

2012年3月28日水曜日

土地と建物を一体で売却する場合の割付(法人)

破産管財実践マニュアル167頁で、「法人所有の建物や個人の事業用建物の場合には、建物消費税を計上する必要があります(土地は非課税です)。」「土地と建物の固定資産評価額での按分計算を行う方法がよく採られています。」「内税の場合は、土地代金+(建物代金×1.05)が売買代金となるよう配分します。」と記載しました。

では、具体的にどのように計算するのでしょうか。

具体例として、不動産全体の売買代金を1000万円(内税)、土地評価額を600万円、建物評価額を200万円とします。

個人の破産者であれば、消費税がかかりませんので、600:200の割合で割り付ければよく、
  • 土地の割付額
    1000万円 × 600万円 / (600万円 + 200万円) = 750万円
  • 建物の割付額
    1000万円 × 200万円 / (600万円 + 200万円) = 250万円
となります。

これに対して、法人の破産者の場合は、売買代金を、土地部分、建物部分と建物消費税部分に割り付けることになります。
その割合は、上記の例では、600万:200万円:10万円(建物評価額の5%)です。
とすると、
  • 土地の割付額
    1000万円 × 600万円 / (600万円 + 200万円 + 10万円) ≒ 741万円
  • 建物の割付額
    1000万円 × 200万円 / (600万円 + 200万円 + 10万円) ≒ 247万円
  • 建物消費税の割付額
    1000万円 × 10万円 / (600万円 + 200万円 + 10万円) ≒ 12万円


となります。
約12万円は預り消費税となりますから、担保権者への配分原資からは控除します。

もっとも、不合理な割付であれば、税務署に否認される可能性はありますが、土地代金と建物代金の割合は、売主と買主の合意で定められるべき事項であり、固定資産評価額割合に「よらなければならない」というものではありません。

2012年3月27日火曜日

パンチ穴

通常の記録を綴じるときのパンチ穴は、穴の奥行き(のどから穴の中心までの距離)を12mmに設定しています。

裁判所は、届け出られた債権届出書にパンチ穴をあけてから管財人に渡してくれるのですが、どうも普通のパンチではないようで、とても奥行きの深い穴があけられています。

事務所では、穴の奥行き変えられるパンチを使っています。
これだと、10mmから14mmまでの設定ができるのですが、14mmに設定してもまだ浅すぎます。

結果、追完された資料などと、もともと提出された債権届出書などとがでこぼこして、とてもめくりにくくなってしまっています。

深めのパンチも用意しておいた方がいいんでしょうね…

2012年3月26日月曜日

以下「○○」という

書面を書くときに、長い単語は適宜略称を定義して用います。
例えば、「別紙物件目録1記載の不動産(以下「本件不動産」という。)」というふうにです。

ところが、最初に、後で使うだろうと「以下「○○」という」と書いてみたものの、実際には出てこないこともちょくちょくあります。
また、例えば「本件不動産」を「本件土地」とするなど、途中から微妙に違う短縮形にしてしまったりというのもあります。特に、複数の書面を跨ぐときに起こりやすいかと。このバリエーションとしては、先行する書面で定義しているのに、改めて後行の書面で違う定義をしてしまうというのもありますね。
甲野太郎(以下「原告甲野」という。)、乙野次郎(以下「原告乙野」という。)といっておきながら、「原告」とだけ書いたり、「原告甲野太郎」と書いてみたり。

きちんと校正のときに見つけないといけないのですが、見落としたまま裁判所に提出してしまい、後で赤面することも…

そもそも、「本件○○」というのが多いのも、最初の方で、「…(以下「○○」という。)…以下「△△」という。)…」とブチブチと切れる文章が出現するので、見にくいのではないかと思っています。
直後に1回しか出てこないなら、「上記不動産」などで十分なんでしょうね。


また、評価を伴う場合、当事者同士で略称のせめぎ合いが生じることもしばしばあります。
たとえば、損賠請求訴訟で、詐欺を主張する原告は「本件欺罔行為」とし、被告は「本件勧誘行為」とする、過払金請求訴訟で、分断を主張する被告は、「本件第1取引」「本件第2取引」とし、一連を主張する原告は、「平成○年○月○日までの取引」「平成○年○月○日以降の取引」とする、などです。

裁判所から見ると、どちらかに統一してよ…と思うのかもしれないですが、当事者としては、略称1つとっても、相手方の評価に乗っかるわけにはいかないものですよね。

2012年3月24日土曜日

大阪地裁の同時廃止基準

大阪地裁における管財手続と同時廃止手続の振分基準・同時廃止の按分弁済基準は、いろんなところに散りばめられています(過去のいろんな経緯があって)。
先ほど紹介した『個人の破産・再生手続~実務の到達点と課題~』299頁以下に、情報をまとめてあります。
参考にしていただけたらと思います。

『個人の破産・再生手続〜実務の到達点と課題〜』

『個人の破産・再生手続~実務の到達点と課題~』は、昨年(平成23年)6月に日弁連倒産法制等検討委員会で出版した個人破産、個人再生に特化した本です。
平成21年2月に開催した「個人再生シンポジウム〜個人再生の理論と実務〜」をきっかけに、個人の破産と再生のさらなる運用改善を目指し、各地の運用のよいところを紹介し、どんどん採り入れてもらおうということで始めた企画でした。
書き下ろしの論文16本、前述の個人再生シンポと平成20年6月に開催した「破産・個人再生における手続選択と実務上の留意点」の反訳、31点の資料と満載の内容となっています。
是非ご一読いただきたいと思います。
近年、事件数が減少していますが、中でも個人再生が激減しています。
個人再生の運用改善をしておかないと、必要となったときにうまく対応できず、個人再生が敬遠されてしまいかねません。
そのためには、これからもみんなで知恵を出し合っていきたいですね。

租税債権と偏頗行為否認

意外と知られていない規定として、破産法163条3項がありますね。
表題が「手形債務支払の場合等の例外」とあり、見落としてしまうのだと思います。「等」に意味があるのですね。
そこには、「前条第1項の規定は、破産者が租税等の請求権又は罰金等の請求権につき、その徴収の権限を有する者に対してした担保の供与又は債務の消滅に関する行為には、適用しない。」とあり、162条1項の偏頗行為否認が適用されないのです。
一度確認しておくとよいと思います。

2012年3月22日木曜日

倒産法改正のシンポ


3月19日にクレオで倒産法改正のシンポジウムがありました。
このシンポジウムは東京弁護士会倒産法部と大阪弁護士会の倒産法改正研究会の共催でした。
東京と大阪という離れた場所でそれぞれ活躍している一流の倒産弁護士達が時期をほぼ同じくして、倒産法の改正の必要性を認識して、研究会を立ち上げたという事実が、まさに倒産法改正の必要性を裏付けていると思います。
現在、民法改正が進んでいますが、個人的には民法(債権法)を今の時点で改正する立法事実があるのか、若干疑問に思うことがありますが、倒産法については改正の立法事実は明確にあると思います。
倒産事件も多数の利害関係人が存在するので、それらの利益を調整して改正を実現するには高い壁がありますが、パネリストの先生方の熱意を見て、近い将来実現できると思いました。
日頃担当している倒産事件でも解釈の限界を超えていると、諦めて終わりにしていたことが沢山ありましたが、それでは駄目で、その点を改正の必要性として発信していくべきであると私自身は反省した次第です。
皆様も改正の必要性について感じられることがありましたら、全倒ネットのMLを含めて、色々な場面で意見を言っていただければと思います。

『破産実務Q&A150問』の改訂作業

平成19年にできた全倒ネットQ&Aシリーズの第1弾が『破産実務Q&A150問』でした。
今年は、この本を5年ぶりに改訂し、『破産実務Q&A200問』(仮称)にしようと作業を始めています。
前回は、MLの投稿を全部チェックして、テーマごとに仕分けし(夜中に画面とにらめっこして、ちまちまとエクセルに入力していました。)、それを基にQを作っていきました。
勢いで作った本でしたが(編集会議も必ず1泊2日コースでしたね。)、それがよかったのか、今見てもいい本ですね。業界大ベストセラー!
今回の改訂で、さらによい本になると思いますよ。乞うご期待!

債権届出綴り

債権届出綴りは、大阪地裁では紐で綴じられた状態で預かっています。

このまま債権調査の準備を進めてもいいのですが、その後に追完資料や(一部)取下書を編綴することを考えると、作業中はパイプファイルに綴じておくことが便利です。

2012年3月21日水曜日

競売における別除権の消滅時期

別除権目的物の競売手続が進んだ場合、別除権者はどの時点で配当に加わることができるのでしょうか。
競売手続における代金納付(A)
破産手続上の配当除斥期間満了(B)
競売手続における配当・弁済金交付 (C)

というケースで考えてみます。


競売手続上、不動産上の抵当権等は、売却によって消滅するとされています(消除主義。民事執行法59条1項)。そして、これは代金納付の効果とされており、代金が納付されると、抵当権設定登記が職権で抹消されます(同法82条1項)。

とすると、買受人による代金納付の時点(A)で、「担保権によって担保される債権…が…担保権によって担保されないことになった」(破産法198条3項)と考えられなくもありません。
他方、競売手続上の配当等(C)に至らないと、不足額は確定しません。

結局、競売手続中は、Aを経由してもいまだ配当・弁済金を受けることができるという意味で、いまだ「担保権によって担保されなくなった」ということはできず、Cの時点でようやく不足額が確定することになると考えられます。

つまり、上記のケースでは、Bの時点ではいまだ別除権付破産債権のままですので、不足額責任主義によって、配当には加われないということになりそうです。

2012年3月19日月曜日

Excel コピペのためのショートカット(1)

起案をしているとき、できるだけキーボードからマウスへの移動を少なくした方が、時間短縮となるだけでなく、思考が中断しなくて済みます。
そこで、ショートカットキーを活用することになります。

まずは、コピペのためのショートカットキーを紹介します。

たいていのWindowsのソフトでは、コピーが"Ctrl+C"、切取りが"Ctrl+X"、ペースト(貼付け)が"Ctrl+V"で、Excelもご他聞に漏れません。
"C"は"Copy"の頭文字、"X"はバツ印として、なんでペーストが"V"なの?という疑問が浮かびますが、たぶん、キーボード上で"X","C"のならびで"V"になったのではないか…と思っています。


"Ctrl+C" でコピーして…


"Ctrl+V" で貼付け 


これだと2ステップ必要になりますが、隣接セルであれば、1ステップでコピペが可能です。
右側のセルにコピーする場合、コピー先のセルを選択して、"Ctrl+R"で、下側であれば、同様に "Ctrl+D"です。"R"は"Right"の頭文字、"D"は"Down"の頭文字でしょうね。

"Ctrl+R"で左のセルの内容を右側のセルにコピー


"Ctrl+D"で上のセルの内容を下側のセルにコピー


次回は、行や列のコピー、移動のショートカットキーを取り上げてみたいと思います。


さて、今日はこれから日弁連のクレオで「倒産法改正の展望と課題」のシンポジウムです。

2012年3月18日日曜日

提言倒産法改正とシンポジウム


野村さんと新宅さんも執筆に参加している「提言倒産法改正」を読んでみました。

私は、近年倒産実務で問題となっている租税債権や労働債権の代位弁済の問題について注目していることから、杉本純子先生が執筆している倒産手続におけるプライオリティー体系については興味深く読ませてもらいました。
杉本先生が、この問題のパイオニアとして今後も研究を続けて、理想的なプライオリティ体系を完成させる日を楽しみにしています。
また、実際には配当事案となることは少ないため、大きな問題にはなりませんが、私個人としてはときどき「この破産債権を一般の破産債権として処遇するのはいいのだろうか?」と疑問をいだくことがあります。
破産債権の中で劣後的に扱うべき債権があるのでは、という問題意識を持っているのですが、体系を構築できるだけの能力は私にはないので、この点も杉本先生にお願いしたいと思っています。

管財人として倒産業務に関わると担保権者との調整が一番難しいと思います。
この点については野村さんが執筆していますが、管財人の立場からはどれも頷けるものばかりです。
あと、赫先生の集合動産、将来譲渡担保の問題、堀野先生の倒産手続とリースの問題も参考になります。

債務者が自宅(住宅)を保持することを強く希望しているため、個人再生を最優先で検討する事案も多いのですが、「住宅資金特別条項」の適用に問題が生じる事案が少なくありません。
この問題については新宅さんが執筆されています。
一般化はできませんが、東京や大阪の柔軟な運用例も紹介されており、参考になります。
私は千葉で弁護士をしているので、会社更生事件や大型の民事再生事件は皆無ですが、他方で、個人の破産や個人再生事件は多く担当しているので、この「住宅資金特別条項」の見直しだけは倒産法全体の改正とは切り離して、今すぐにでもやって欲しいと強く思います。

さて、倒産法改正については東京弁護士会の倒産法部からも「倒産法改正展望」という本が出版されています。大阪の本と比べると少し高いですが、是非とも購入することをお薦めします。私も買って読んでいますが、十分元が取れるだけの価値があります。

最後になりますが、この倒産法改正のシンポジウムが3月19日(月)午後6時からクレオで行われます。私も参加するつもりですが、皆様も参加してください(申し込み不要で先着順、かつ無料!)。
特にこれから倒産事件を沢山やっていきたい(専門的に扱いたい)と考えている若い先生方にこそ是非とも参加して欲しいと思います。
時期は分かりませんが、倒産法がいずれ改正されることはほぼ間違いありません。
よく言われることですが、法律が改正されるときこそ若手がその業務に参入していくチャンスだからです。今回のシンポはあとからふりかえって、倒産法改正のスタートだったと評されることになると思われますが、その時点から改正の流れをフォローしていたことは大きなアドバンテージになるでしょう。

また、今倒産法の改正を勉強することは現行法の制定時にどのような考えで立法がなされたかを知ることになります。そして、現在の実務でどのような問題が生じているかを知ることもできますし、さらには現行法の解釈の限界も知ることができます。これらは最先端の論点が多く含まれています。

東京を筆頭に大都市では管財人等の希望者も多く、倒産事件も専門化が進んでおり、ある程度の規模の倒産事件を扱うには平均的な弁護士の倒産法の知識では、担当することが難しくなっていくと思います。
現行法(現行の倒産実務)もまだ十分に理解していないのに、改正の話なんて・・・と言っているとチャンスはなかなか来ないと思います。
次世代の倒産実務を担うであろう若い先生方にこそ積極的に最先端の議論をする場所に参加して欲しいと思っています。
では、クレオで会いましょう。

MLとcc

某MLシステムの初期設定が公開であるため、誰でも見られる状態になってしまっている…という報道が少し前にありました。

これは論外としても、MLでときどき複数のMLのアドレスをccに入れてクロスポストされている方がいます。
MLではsmtpサーバーまで判定しない、つまり、送信者(from行)の偽装を見抜けません。

情報漏洩が生じるわけではありませんが、なりすましによるMLの信頼性の低下が起こりえますので、絶対に避けるべきです。

2012年3月15日木曜日

四捨五入

債権を支払う場合で、その額に小数点以下の数字が生じるとき、考え得る方法としては、
  1. 切り捨て
  2. 切り上げ
  3. 四捨五入
の3通りがあります。

実は、この点も法律の定めがあります。
通常の債権は、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律3条1項により、四捨五入とされています。
国と公庫の債権債務は、同条2項により国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律が特則となり、2条1項が切り捨てを定めています。
通常の債権と国などの債権で取扱いが異なるのですね。


では、債権執行や破産手続での配当の場面ではどう取り扱われているでしょうか。
この場合は、有限の配当原資を平等に分配するために、債権者間でどのように調整するかという問題であるからか、必ずしも上記のような取扱いになっていません。

そもそも、配当原資を按分する際の小数点以下の取扱いの方法としては、上記の1~3に加えて、
  1. 小数点以下の数字の大きな債権から切り上げ、残りは切り下げ
という方法も考えられます。これだと、1円単位の残りも生じず、配当原資を完全に分配してしまうことができます。
債権執行の場面では、このような方法によるようです(実務債権配当の基本問題」(民事法研究会)179頁)。

破産の配当でも、大阪地裁では以前4.の方法によっていましたが、現在は1~3のどれかによればよく(「新版破産管財手続の運用と書式」(新日本法規)287頁)、東京地裁でも同様なようです(「破産管財の手引」(きんざい)317頁)。
きれいに配当しきる必要性が高い債権執行と異なり、その後の事務費などで誤差を吸収しうる破産管財手続では、計算の簡易性を優先しているのですね。
Excelで配当表をつくるときに、どのような関数でこの計算を実現するかは、いずれまた。

2012年3月14日水曜日

交付要求書と交付要求通知書

財団債権や優先的破産債権である公租公課の有無や金額の把握は、交付要求庁からの交付要求によって行います。

ところで、公租公課庁から送付要求書といっしょに、または前後して送られてくる交付要求通知書は何で、どう取り扱えばいいのでしょう。

公租公課庁から見ると、破産管財人は、裁判所と同じく執行機関です。また、破産という強制換価手続が先行していることになります。
公租公課庁による執行機関である破産管財人に対する強制換価手続参加の手続が、交付要求です(国税徴収法82条1項)。

その際、公租公課庁は、滞納者に交付要求を通知しなければなりません(同条2項)。これが、交付要求通知書です。

破産の場合、滞納者である破産者の財産の管理処分権限を有しているのは破産管財人であるという理解の下に、交付要求書に交付要求通知書を同封してくる公租公課庁もあります。
また、交付要求通知書は破産者本人に郵送するところもあります。もっとも、転送されて破産管財人の下に届くわけですが。

さらに、なぜか交付要求通知書が届かない場合もあります。

いずれにせよ、破産管財人としては、直接または転送されてきた交付要求通知書は、受け取っておけば足ります。

2012年3月13日火曜日

新破産法の基本構造と実務

一問一答の他に破産法でお薦めしたい本がジュリストの増刊号である「新破産法の基本構造と実務」という本です。ジュリストで連載していた記事をまとめたものです。
出席者(発言者)が超一流の学者の先生と超一流の実務家であり、参考になる発言が随所にあります。

私が読んでいて一番感銘を受けたのは松下淳一教授の直前現金化の話で(492頁以下)「99万円までの現金が自由財産とされたのは、先ほど述べたアメリカの法律のように、現金以外の財産の属性と上限額を組み合わせる規律あるいはワイルドカードの規律を設けることが日本法では困難だからということで、破産財団からの除外を上限額で画することが容易な現金を、日常的に保持する額よりも相当多めの上限額で自由財産にしたと考えられます。したがって、債務者によって財産が換価され、その代金が99万円の範囲内で自由財産となってしまうという事態を、自然人の債権者は覚悟すべきであって、換価前の財産の交換価値も、潜在的には換価行為を通じて破産財団から外れる可能性を有していたいと考えられないでしょうか。」という発言です。
現在のほとんどの裁判所では自由財産の拡張の判断において、直前に現金化されたものはその換価前の財産の性質に基づいて判断されるので、それが拡張適格財産で無い場合は99万円の枠内であっても自由財産の拡張が原則として認められないことになります(必要不可欠性が求められる)。

松下教授は99万円の枠内では破産者に財産のプランニングと認めるべきだと主張されていますが、私は個人的には松下教授の意見に賛成です。
裁判所には運用を改めて欲しいのですが、牙城はかたそうです。
でも、諦めずに主張していこうと思っています。

論文検索

準備書面や原稿を書くときに、論文を引用することがよくあります。
すぐに見つかればいいのですが、「えーっと、どこかで読んだ覚えがあるんだけれど、どの法律雑誌だったかなぁ…」ということもまたよく起こることです。

事務所で導入している判例検索システムで引っかかればいいのですが、対象となる法律雑誌は限られています。
例えば、判例時報についてみると、どの判例検索システムでも、論文に関しては本文だけでなく見出し等も電子化の対象とはなっていないのではないでしょうか。

こんなときに重宝するのが、国立情報学研究所の論文情報ナビゲータCiNiiです。

本文は原典に当たらなければなりませんが、書棚の雑誌を片っ端から繰っていく必要がなくなり、とても便利です。

2012年3月12日月曜日

一問一答

全倒ネットのMLでも話題になり、当ブログでも3月9日の記事で新宅さんが書いていましたが、一部の裁判官には安易な同時廃止、免責はモラルハザードをまねくと言うことで、個人再生を選択するように指示されることがあります。私も過去に経験したことがあります。
私はこれを「個人再生前置主義」と呼んでいるのですが、これが、これが誤りであることは、新宅さんが既に述べたとおりです。
債務者が破産手続を選択するのか、個人再生を選択するのかは、いずれの要件も充たす限りは債務者(及び代理人)の自由な選択に委ねられています。これは立法担当者が書かれている「一問一答個人再生手続」にも記載されています。
ところで、新しい法律ができると大体立法担当者が当該法律を解説した「一問一答」シリーズが出版されます。このような本は新法が成立・施行して間もない時期は購入するモチベーションがありますが、時期を逸してしまうと、売り切れてしまったり他に当該法律を解説した本(Q&Aやマニュアル類を含む)が、いくつも出てきますので、敢えて購入しない方も多いと思います。
しかし、未知の問題に遭遇したときに当該法律の立法担当者の意見がとても参考になることが少なくありません。加えて、一問一答を執筆している立法担当者は裁判官であることが多いことから、裁判所を説得する際に大きな力となります。
逆に立法担当者の意見に明確に反する見解は実務上はとりにくいでしょう。
倒産法関係で言えば一問一答は「新しい破産法」「民事再生法」「個人再生手続」「新会社更生法」「逐条解説新しい特別清算」が商事法務から出版されています。
これらの本は手元に置いておき、疑問が生じた場合は常に参照できるようにしておくと良いでしょう。ちなみに私は、未知の問題を調べる場合は大体①一問一答②条解やコンメンタール類③弁護士が書いたQAやマニュアル類④学者の先生の本という順番で調べています。

私は(倒産法以外で)普段はまず扱わないと思われる法律でも一問一答シリーズは購入するようにしています。

2012年3月11日日曜日

印税

確定申告の期限も迫ってきましたが、おかげさまで「破産管財実践マニュアル」の著者3名にも印税がありました。

ところで、執筆者が受け取る「印税」ってなんでしょう。著作権者は徴税機関ではないわけですし。

と思って調べてみると、昔、書籍に貼られていた「検印紙」と、印紙税の納付方法である収入印紙のアナロジーからきていたのですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B0%E7%A8%8E

確かに、古い本には検印紙が貼ってありますし、少し前までは検印紙はなくとも奥書に「検印廃止」と書いてありました。
制度自体は廃れ、言葉だけが残ったのですね。

2012年3月9日金曜日

個人再生に対する誤解

個人再生でよく誤解されるのが、サラリーマンは給与所得を得ているから、給与所得者等再生しか使うことができず、小規模個人再生は利用できない、というものがあります。
しかし、これは誤解で、いずれの手続も選択できます(「一問一答個人再生手続」(商事法務)40頁)。
ネーミングによって誤解が生じている面も大きいのですが、 特に制度導入当初は、再生債権者から消極同意が得られるか不明であったこともあいまって、給与所得者等再生の利用率が高かったものです。

しかし、その後、ほとんどの再生債権者が再生計画案に反対しないという実績が積み重なったことから、小規模個人再生の利用率が高まっています。
大阪地裁、東京地裁ともに約9割が小規模個人再生です。
給与所得者等再生では、最低弁済額の基準の1つに可処分所得基準が加わりますが、生活保護の基準を参考にしています。このため、どうしても最低弁済額が跳ね上がる傾向にあります。このため、再生債務者にとっては、小規模個人再生の方が経済的には有利なので、消極同意が得られるのであれば、そちらを選択することになります。


次に、個人が利用できるのは個人再生だけで、通常再生は利用できない、という誤解があります。
しかし、個人であっても通常再生の利用は可能です(前掲38頁、40頁)。
5000万円要件を満たさない場合や、再生計画案で5年を超える弁済期間を定めたい場合に、通常再生を利用するメリットがあります。
ただし、再生計画案に対する消極同意ではなく積極同意が必要となることや、債権調査などの手続が簡略化されないこと、監督委員の費用が必要となることなどに注意が必要です。


また、破産の申立てをしたところ、将来の収入から返せるのだから、破産ではなく個人再生を選択すべきだという示唆を、裁判所から受けることがあります。
しかし、これは全くの誤解で、現行法は、破産と個人再生について自由選択制を取っています(前掲46頁)。
支払不能に陥っていれば、将来の収入があるからといって、破産の利用が妨げられることはありません。

2012年3月8日木曜日

自由財産拡張と相続

破産者が開始決定後に死亡した場合、相続財産について破産手続が続行されます(破産法227条)。

しかし、相続財産破産には自由財産拡張の適用はないと解されており(「条解破産法」1436頁)、自由財産拡張の申立てがされていた財産や本来的自由財産も、全て破産財団に属することになります。

2012年3月7日水曜日

テキストエディタ

通常の文書は、MicrosoftのWordで書いていますが、大量のテキスト処理をする場合は、テキストエディタの出番です。

いろいろと定番のソフトがありますが、私は秀丸エディタを使用しています。

法務省の法令検索は、条文に忠実に漢数字で表示されるのですが、引用したりするときには使い勝手が悪いです。
そんなとき、自分で正規表現を使って何段階かで置換していってもいいのですが、「秀丸用 漢数字 <-> 算数字相互変換マクロ」という強力なマクロがあります。
「無条件に変換」の設定に、「章」「節」「款」を追加するとちょうどいい感じです。


正規表現はいきあたりばったりでやってますが、ちゃんとオライリーのフクロウ本で勉強した方がいいのでしょうね。

2012年3月6日火曜日

個人再生の適用除外条項

個人再生で、適用が除外される通常再生の規定の一覧表を、本体のHPのデータベースのページにまとめてみました。

個人再生における少額債権の例外

個人再生では、通常再生が実質的平等主義をとっている(民事再生法155条1項)と異なり、再生計画上、形式的平等が貫かれています(同法229条1項、244条)。
例外は、
  1. 不利益を受ける債権者の同意がある場合
  2. 少額債権の弁済時期
  3. 開始決定後の利息・遅延損害金
だけです。


2.について、例えば大阪地裁では、1か月あたりの弁済額が1,000円未満の場合がこれにあたるとされています(「事例解説個人再生 大阪再生物語」244頁)。
つまり、弁済期間3年なら権利変更後の弁済総額が36,000円未満、5年なら60,000円未満なら、少額債権として、他の再生債権よりも早期の弁済を定める再生計画案が策定できます。再生計画に基づく弁済が1か月ごとか、3か月ごとかは影響しません。

東京地裁では、特に基準はないようです(「個人再生の手引」273頁)。


もっとも、2.の例外は、「時期」についてだけであり、少額債権者の弁済率を不利益にすることはできません。


では、通常の再生債権者には、再生計画認可確定の翌月を第1回とし、3年間にわたって1か月ごとに弁済する(36回)ものの、少額債権者には、確定の1年後を第1回、2年後を第2回、3年後を第3回とするような再生計画案は認められるでしょうか。

そもそも、少額債権の例外の趣旨は、形式的平等を貫いた場合の再生債務者の過剰な費用負担(具体的には、振込手数料ですね。)を回避するために、少額債権者に対する弁済を早期に終えることができるようにするものです(「一問一答個人再生手続」206頁参照)。
このような例外を法が許容するのは、非少額債権者との関係で実質的な平等を害するとは類型的にいえないからです。

そうすると、上記のような再生計画案は、少額債権者を通常の再生債権者より不利益に扱っているものですので、少額債権の例額の要件を満たさず、不適法となります(「事例解説個人再生 大阪再生物語」245頁、「個人再生の手引」273頁)。
このため、小規模個人再生であれば、再生計画案は付議されず(同法230条2項、174条2項1号)、給与所得者等再生であれば、意見聴取がされません(同法240条1項1号、241条2項1号、174条2項1号)。

2012年3月5日月曜日

求償権と抵当権付の原債権

銀行が貸付けを行い、保証会社が保証している場合に、債務者が弁済できなくなると、保証会社が代位弁済します。
これにより、保証会社は、債務者に対する求償権と、銀行が有していた原債権(貸金債権)を取得します。債務者の所有する不動産に原債権を被担保債権とする抵当権が設定されていれば、保証会社は、原債権とともに抵当権も取得します。

そして、債務者が破産や民事再生に至った場合、求償権・原債権は、ともに破産債権(再生債権)となります。もっとも、原債権については、抵当権の被担保債権ですから、別除権付債権となります。

原債権が再生計画によって権利変更され、これに基づく弁済が完了した場合に、原債権に基づく競売が許されるのか、という点について、千葉地裁平成23年12月14日決定が判断しています(判例時報2136号91頁)。

問題点は、
  1. 求償権は再生計画の履行によって消滅しているのであるから、原債権も附従性によって消滅し、抵当権の実行は許されないのではないか
  2. 抵当権の実行を許すと、保証会社は、原債権の実行による回収と、求償権全額を基礎とした弁済の両方を受けることになり、不足額責任主義に反するのではないか
という点にあります。

上記判決例は、1.について、最高裁平成23年11月24日判決(金融法務事情1935号50頁)を引用しつつ、担保権行使の限度では原債権に対して再生計画による求償権の権利の変更の効力は及ばないとして否定し、2.についても、求償権と原債権は別個の債権であるからをやむを得ないとして、抵当権の実行を認めています。

2.についてですが、確かにこのような求償権は別除権付債権ではないのですが、大阪地裁では、別除権付債権である原債権と同様の制約を受ける取扱いとしています(「新版破産管財手続の運用と書式」255頁)。
このような運用であれば、不足額責任主義上の問題は回避できます。

なお、本件では、保証会社は別除権付債権として届け出ていましたが、再生債務者は、別除権なしの再生債権として取り扱っていたようです。

2012年3月4日日曜日

Excelで全角数字を入力

ときどきですが、Excelで数字を全角で表示したい場合があります。
Excelのセルに全角数字を入力しても、半角数字に変換されてしまいます。



















文字列として全角数字を表示することも考えられますが、これだと数字を計算に用いることができません。


そこで、セルの書式設定で、表示形式を全角に設定します。

まず、セルを右クリックし、「セルの書式設定(F)」をクリックします。










































表示された「セルの書式設定」ダイアログの「表示形式」タブで、「ユーザー定義」を選択し、「種類(T)」に「[DBNum3]#,##0]」と入力し、「OK」をクリックします。

「[DBNum3]」は、数字を全角で表示せよ、「#,##0」は、数字を3桁ごとにコンマで区切って表示せよ、という指示です。



























これで、設定したセルの数字が全角で表示されます。


2012年3月2日金曜日

個人再生における繰上弁済

個人再生の再生計画案の弁済期間は、3年を切ることができません(民事再生法229条2項2号、244条)。
しかし、処分可能な財産があるなど、3年未満で払いきってしまいたい場合もあります。

このようなときには、再生計画案の策定にあたり、初回の弁済額を大きく取り、残りを極少額に留めて、実質的に一括弁済に近い計画案にすることもできますが、繰上弁済でも対応が可能です。

つまり、再生計画上は通常の3年の弁済期間を定めておいて、再生計画の履行段階でこれを繰り上げて一括で支払ってしまう方法です。
繰上弁済自体は、何ら法律上の問題があるものではありません。

もっとも、債権間で不平等とならないよう、特定の債権者だけに繰上弁済を行う(または行わない)ということがないようにする必要は当然にあります。

2012年3月1日木曜日

放棄後の不動産

破産管財人が換価できない不動産を破産財団から放棄することがあります。
これは、実体的な権利の放棄ではなく、破産者が所有者でなくなるものではありません。
あくまでも、管理処分権が破産管財人から破産者に復帰するにとどまるものです。


自然人の場合であれば、不動産をめぐる権利関係は破産前の状態に戻ります。つまり、抵当権者がいつでも競売を申し立てられる状態です。
抵当権者は、競売を希望するのであれば、破産者を相手方として申立てを行えばよく、任意売却を望むのであれば、破産者と交渉すれば足ります。


これに対し、複雑なのが法人の場合です。特別代理人または清算人の選任が必要となります。
破産手続開始決定によって、代表者がいない状態になるからです(会社法330条、民法653項)。

まず、民事訴訟法が準用される競売手続では、特別代理人が選任されます(民事執行法20条、民事訴訟法35条1項)。
通常、特別代理人の職務は、送達される書類を受領することに尽きます。
そこで、適宜廉価で受ける弁護士を探し出してきて、執行裁判所に推薦することが行われています。

次に、抵当権者が不動産の買受希望者を見つけてきた場合ですが、任意売却のためには清算人を選任することが必要です。
このようなケースでは、いわゆるスポット清算人が選任されています。
本来の清算人と異なり、清算業務全般を行うのではなく、任意売却とこれに付随する業務のみを遂行し、完了次第解任されるものです。
元破産管財人が選任されることが多いようですが、不動産を破産財団から放棄したものの、破産手続自体は終了していない間に任意売却が可能となったときなどは、別の清算人が選任されます。