2012年5月31日木曜日

初めての法人破産申立(35)

予納金の流用については裁判官からも、法人と代表者を同時に申し立てることの必要性は高いので、(程度の問題はあるが)基本的にはあまり問題視することはないという話がありました。
また、法人の破産処理を透明性をもって進めるためには、むしろ代表者個人の資産調査の必要性は高いし、法人に対する大口債権者は代表者を連帯保証人としていることが多いから債権者の共通性も認められることからしても、流用については柔軟に考えて良いとの指摘もありました。
裁判官のこの指摘は個人的には大変心強く思いました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月30日水曜日

初めての法人破産申立(34)

法人の破産申立費用や予納金を代表者の財産から出捐したり、代表者の破産申立の費用や予納金を会社の財産から出すことは許されるのでしょうか。
私も含めてパネラーの弁護士の意見は、流用については柔軟に考えて良い(原則として許される)という方向性は一致していたと思います。
この費用の流用については無償否認を認めた裁判例が最近出ています。詳細な事実関係が分かりませんが、一般論として法人と個人を同時申し立てする際の費用の流用については柔軟に考えるべきであり、管財人が否認権を行使すべき場面は極めて例外的な場合であるべきだと個人的には考えています。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月28日月曜日

初めての法人破産申立(33)

法人の申立をしないで代表者のみの破産申立をすることについてはどうでしょうか。
法人には資産もないので、破産申し立てする必要性は乏しいが、代表者個人は免責を得るために申立をする必要があることから、このような申立の依頼を受けることはあります。
この点、パネラーの裁判官からは、代表者の債務の中心が法人の保証債務であることからすれば、代表者について財産調査をするともに、法人についても本当に資産がないのか調査が必要であるから、同時申立の必要は高いこと、債権者の立場からしても、法人を放置されることは債権の欠損処理ができないので困ることになるから、債務者(代表者)のモラルとしても同時申立をすべきという指摘がありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月25日金曜日

初めての法人破産申立(32)

パネラーの裁判官からは(代表者の破産申立を放置して)法人のみの申立を認めることは法人の資産隠匿の温床ともなりかねない。実際に法人をつぶしておいて、代表者のもとに隠匿していた資産で別法人を立ち上げて、もう一旗あげようと企んでいた事案も存在したとの話がありました。
これは論外と言うべきでしょう。
代表者の不当な目的を認識しているにもかかわらず協力する申立代理人は存在しないと思いますが、代表者の不当な目的に利用されないように注意する必要はあります。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月24日木曜日

初めての法人破産申立(31)


パネラーの裁判官からはときどき法人の申立のみをして、代表者の申立は予納金等のお金が用意できないからできないと言われることがあることが、代表者個人も多額の債務を抱えて破産の要件があるのに、破産手続を行わなわずに法人のみの破産手続が進むことは、代表者の資産調査や郵便物の調査ができずに、法人と代表者個人の資産の峻別、財産の移転関係、契約関係等の厳密な調査が困難となるので好ましくないという話がありました。
この話はその通りだと思います。
ただ、私の経験上は代表者のみ申立のケースは時々見られますが、法人のみというのはまれだと思います。代表者は保証債務を抱えていることが普通であり、免責を得ないと経済的再生が難しいからだと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月23日水曜日

初めての法人破産申立(30)

法人と代表者は同時に申し立てるべきでしょうか。
できるだけ同時に申し立てる、若干時期がずれたとしても少なくとも財産状況報告集会が同時期に開催できるように申し立てるのが望ましいという点はパネラーも裁判官も異論がないようでした。
東京では法人と個人を同時に申し立てる場合には法人について20万円の予納金を用意すれば、個人については官報公告費用だけなので、同時に申し立てることが普通だろということでした。
確かに、個人について管財人への引継予納金を用意しなくて良いと言うのは同時申立を促す点で大きな意味があると思います。
千葉地裁では少額管財の事案でも同時申立では20万円+10万円=30万円が最低の予納金になりますので、費用の面からすれば東京地裁よりは若干ハードルが高くなります。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月22日火曜日

初めての法人破産申立(29)

申立代理人はどの時点で費用を受け取るのかという話題もありました。
私の意見はできるだけ早い段階で受け取るべきというものです。
これは私自身の失敗談になりますが、まだ、経験が浅いときに依頼者が「費用は明日にでも持ってきた方が良いですか。」と聞かれて、あまりお金にがめついと思われたくない心理が働いて、申立の準備ができるまでに持って来てくれれば良いですよと答えたところ、途中で一部費消された苦い経験があります。
依頼者が費用の用意ができているのであれば早めに預かっておく方が良いでしょう。
事件規模が分からないと着手金等の金額を決めにくい点もありますが、預かり金として受領してあとで精算すれば良いと思います。
目の前にお金があれば、代表者も人間ですから誘惑にかられて使ってしまうことがあるようです(笑)。用意してくれた依頼者のためにも早めに預かっておきましょう。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月21日月曜日

初めての法人破産申立(28)

私は、弁護士費用を考えるに際しては当該事件において想定される管財人報酬を考慮すべきだと考えています。
例えば、法人破産の申立において所謂少額管財事件として20万円の予納金を納めた場合、財団が全く増えなければ破産管財人の報酬は20万円のみです。その場合報酬規定の範囲内だとしても申立代理人のみが十分な報酬をもらうことは、(申立業務が相当複雑であったという事情がない限り)適切とは思えません。
この場合申立代理人はもらうべき費用を若干削っても予納金に回すなどの配慮をすべきではないかと個人的には考えています。
もちろん、財団の増殖ができて十分な管財人報酬が見込まれる場合は別です。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月18日金曜日

初めての法人破産申立(27)

法人破産申立事件の弁護士報酬はどのように考えたらいいでしょうか。
弁護士費用については各事務所毎に報酬規定を置いているはずですから、その範囲内で定めることになります。
最近の若い先生方は知らないと思いますが、昔は日弁連が報酬基準を定めていました。これは既に廃止されていますが、今でもこの旧日弁連報酬規定を参考に報酬規定を定めている事務所もめずらしくないと思います。私の事務所もこれを参考にしています。
これによると法人の破産事件は資産や負債額等の会社の規模や債権者数を考慮して定めるとしつつ、50万円以上となります。上限は定められていませんが、債権者数や会社の規模から考えて一人で受任するような場合は50万~200万円位が多いと思います。
私は、弁護士費用を用意できる事件ではきちんともらって良いと考えています。それは裏返しとして費用をもらえない割の合わない事件でも社会的必要があれば受任すべきと考えているからです。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月17日木曜日

初めての法人破産申立(26)

予納金や着手金が不足する場合はどうしたら良いでしょうか。
未回収の売掛金があれば、これを回収して費用に充てることが多いという話がありました。売掛金は通常は入金(支払)待ちなので現金化しやすいので、申立代理人としては不足する費用として念頭に置くことが多いでしょう。
もっとも、口座に入金される場合は凍結や相殺、差押え等のリスクもあるので、代理人口座への変更や現金払いを検討する必要があります。
売掛金がない場合は、会社のその他の資産を処分することも考えられます。私自身が経験あるところでは、保険の解約返戻金と自動車の処分があります。
解約返戻金は金額に客観性がありますが、自動車の場合は売却した値段が不当に安いのではないかとのクレームが後から債権者や管財人からなされる可能性もありますので、その点はきちんと説明できるように処分することに注意を払ってください。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月16日水曜日

初めての法人破産申立(25)

東京地裁では所謂少額管財として20万円の予納金で進められる法人破産事件が、千葉地裁や甲府地裁より広く認められているようです。
予納金集めに時間をかけることより、早々に申立をして、事態の悪化や混乱を回避して、管財人に引き継ぎを行い、管財人のもとで公平・透明性ある手続きを進めることが大切であるという考えに基づくようです。
もちろん、管財人が選任されたとしてもそこで申立代理人の役割が終わるわけではない。開始後も管財人に協力することは当然のこととされているという話もパネラーの先生からありました。
東京には管財事件に堪能な弁護士が沢山いることもそのような運用ができる理由ではないかと個人的には思いました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月15日火曜日

初めての法人破産申立(24)


東京地裁では、裁判所に納める厳密な意味での予納金は、官報公告費用(法人1件について1万2830円)のみですが、破産管財人に最低限の報酬・活動費用に充てられる費用として20万円を準備するが、これは裁判所に納めるのではなく、開始決定後に申立代理人から管財人に引継予納金として交付するということです(千葉地裁でも申立代理人が千葉県弁護士会の代理人の場合は原則として引継予納金方式をとっています)。
東京地裁の予納金については「破産申立マニュアル」(商事法務)の274頁以下に詳しく記載されています。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月14日月曜日

初めての法人破産申立(23)

法人破産の申立をするにあたり弁護士費用と予納金の説明をする必要があります。
法人破産申立の予納金は幾らでしょうか。
甲府地裁の一般的な法人破産事件の予納金は負債額に応じて決められているとのとであり、裁判所のホームページにも記載されているとのことです。
千葉地裁の通常の法人破産事件の予納金と大体同じです。
ところで、千葉地裁では所謂少額管財が導入されているので法人破産申立事件の最低予納金は20万円です。代表者も同時に申し立てる場合(併存型)の代表者個人の予納金は10万円です(合計30万円)。
ただし、この少額管財は申立代理人がなすべきことをきちんと行っており、想定される管財業務が少ないことが前提です。
この点、どのような法人破産事件でも予納金として20万円を用意すれば管財人を選任して開始決定をしてもらえると誤解して申立をしているケースが千葉地裁では散見されますので、千葉地裁に申し立てる場合は注意して下さい。
なお、甲府地裁でも所謂少額管財を導入しており、少額管財の場合は30万円程度の予納金で開始決定を出してもらえるようです。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月11日金曜日

初めての法人破産申立(22)

法人破産申立の受任通知について、私自身は出している場合が多いですが、事案としては営業を停止しているケースが圧倒的に多いです。
この場合は既に債権者からの督促や連絡が代表者や会社関係者に行っていることが通常であり、申立代理人からの受任通知でそれを止めることを期待していることが通常です。
確かに、個人破産で受任通知を送れば貸金業者の取立が禁止されますが、法人破産における受任通知で取引先等の債権者の取立が禁止されるわけではありません。
しかし、実際に代理人弁護士が受任通知を送付して、連絡をしないように記載すると取立が止まることが多いのも事実です。代表者がこのことを期待してるのであれば、それに応えて受任通知を送ることは当然に考えて良いことです。
もっとも、パネルディスカッションでは受任時点では営業を継続していることが事案の前提でしたので、この辺の前提事実の違いが考え方に影響していることはあるいと思います。
私も、法人破産で受任通知を出さないで申し立てた経験はありますが、その際に考慮したことは受任通知を出すことで逆に混乱が生じるということでした。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月10日木曜日

貸金業者の倒産 会社更生と民事再生

昨日、貸金業者NISグループ株式会社(旧株式会社ニッシン)が民事再生を申し立てました

再建型の法的倒産手続としては、会社更生と民事再生があります。
最近ですと、武富士やロプロが会社更生、アエル(平成20年。平成15年は会社更生)やクレディア、丸和商事が民事再生をとっています。

会社更生と民事再生の違いはさまざまにありますが、過払い債権者にとって重要なのは、手続きに参加しなかった過払金返還請求権の運命が異なることでしょう。


会社更生、民事再生ともに、原則として債権届出期間内に債権届を行わないと(会社更生法138条1項、139条1項、4項、民事再生法94条1項、95条1項、4項)、更生計画や再生計画にしたがって弁済を受ける権利を失ってしまいます。

武富士の会社更生事件で、当初、完済した人に開始決定の個別通知が送られていませんでした。
後に武富士は、批判を受けて方針を転換しましたが、批判を受けていたのは、完済して確実に過払金を持っている人が債権届をすることができず、過払金に基づいた弁済を受ける権利を知らないうちに失ってしまうことに対してでした。

しかし、民事再生法には自認債権の制度(民事再生法101条3項、181条1項3号)がある点で、会社更生とは事情が少し異なります。
すなわち、再生会社が知っている債権は債権者からの債権届がなくとも認否書に記載しなければならず、認否書に書かなかった場合も、債権者は失権することはありません。


つまり、過払い債権者がNISの手続に気付かず、債権届をしなかったとしても、自認債権となる過払金返還請求権が失権することはないでしょう。
NISは、自らが管理している取引履歴を計算することで、容易に過払金返還請求権の存在を知ることができるだけでなく、財産評定において貸金債権の評価額を算定するためには、当然全債権について引直し計算をすることが必要となるわけですから、過払金返還請求権は自認債権にあたると考えられるからです。

初めての法人破産申立(21)

倒産事件に堪能な東京の先生方は基本的には法人破産申立事件では受任通知を出すべきでないと考えているようです。
例外的に受任通知で送付する必要があるのは、受任通知を送ることで支払不能について相手方の悪意を創出する場合が考えられるが、その場合でも全ての債権者に受任通知を送る必要があるかは慎重に検討すべきであるとの話がありました。
この悪意の創出というのは、破産申立会社が金融機関に預金を有しているとともに借入金もある場合、破産手続が開始されると金融機関は預金の払戻債務と貸付債権とを相殺することができます(破産法67条1項)が、受任通知を送ることで支払停止について悪意の状態を作り(この時点で相殺はできますが)、その後の入金について相殺禁止に該当するようにしておくことです(破産法71条1項3号)。
入金口座の変更が間に合わない場合は有効な手段です。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月9日水曜日

初めての法人破産申立(20)

法人破産申立事件で受任通知を送付するとともに債権調査用紙を送り、返送を依頼してこれによって債権者一覧表を作ろうとする代理人がいるが、必要はない。正確な債権額の調査は破産手続開始後の債権届出と調査手続での認否でなされるものであるから、申立に際しては、直近の決算書類や会計帳簿に基づいて債権者名や債権金額を把握した上で債権者一覧表を作成すれば良い、むしろ債権調査をしている間に申立が遅れることの方が望ましくないという意見もパネラーの先生からありました。
個人破産と法人破産との相違を深く考えずに、消費者破産と同じ感覚で受任通知に債権調査票を同封して漫然と発送していると思われる代理人もときどき見受けられますが、私もこれは適切でないと思います。個人破産と法人破産では受任通知についても考慮すべき事情が異なるという注意を喚起する意味ではパネラーの先生の指摘はそのとおりだと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

法律事務所にサーバーは必要か

複合機やPCのコーディネイトを業者にお願いしていると、サーバー機の導入を勧められることがあるようです。

法律事務所にサーバーは必要でしょうか?

数名単位の法律事務所であれば、サーバー機能は必要だけれど、サーバー機は不要でしょう。

サーバーに求められる機能はいろいろあります。
法律事務所で必須なのは、ファイルを共有するためのファイルサーバーです。
これ以外にも、データベースサーバーや、HPを公開するためのWEBサーバー、メールの受信・配信を行うためのメールサーバーなどの必要性が一応考えられます。

しかし、ファイルサーバーの機能は、数名程度であればそれぞれのPCの該当フォルダを共有すれば足ります。
PCごとに分散することを避けるのであれば、いずれかのPCかに集約すれば足りますし、NAS(PCに比べれば遅いですが)やネットワーク対応ハードディスクを導入してもいいでしょう。
また、サーバー機能だけに特化したPCを1台導入するとしても、ファイルサーバー程度であれば、いわゆるサーバー機である必要はありません。サーバー機はCPUやメモリもデスクトップ機とは違う種類の機能はものが使われています。信頼性は高いのですが、値段も高い。オーバースペックです。
安価なデスクトップや古い余ったPCでも十分です。

RAID5を勧められることもありますが、ハードディスク故障時に結局復旧に失敗したという話もあります。ハードディスクの台数が増える分、故障の確率もそれだけ高まります。
むしろ、バックアップソフトで各PC間で相互にハードディスク全体のイメージバックアップをとっておく方が安全ですし、操作ミスなどで消去や上書きしてししまったファイルの救出にも使えます。

サーバー・クライアント型のデータベースを利用するとしても、事務所内だけであれば大したトラフィックは生じないでしょうから、いずれかのPCにデータベースサーバーの機能を担わせても現在のCPUの性能からすると十分でしょう。

WEBサーバー、メールサーバーはプロバイダなどの外部サーバを使用する方が、セキュリティ上も安全でしょう。

というわけで、高価なサーバー機は不要だと思っています。

2012年5月8日火曜日

個人再生における給与差押え・天引きと清算価値

給与を差し押さえされていたり、貸付金の回収のために公務員共済組合によって給与を天引きされている債務者が個人再生を申し立てる場合があります。
この場合、債務者が仮に破産したときには、少なくとも受任通知送付後の部分は偏頗行為否認の対象となる(破産法162条1項1号イ、3項、165条)ことから、個人再生でも、否認対象行為となる差押え・天引き額が清算価値に含むとされています。

しかし、個人再生手続では否認権が実際に行使されることはなく(民事再生法238条、245条は第6章2節を除外)、通常再生とは異なり弁済原資が増えるわけでもありません。
にもかかわらず、清算価値保障原則によって再生計画上の弁済額が増えてしまうのは不合理だという批判も強いところです(「個人の破産・再生手続」(きんざい)135頁、「提言倒産法改正」(きんざい)291頁)。
特に、給与の差押えや天引きは、破産者が積極的に行った偏頗弁済とは事情が異なるものですから、不合理さが際立ちます。

このような中、大阪地裁は、今月の「はい6民ですvol.159」(月刊大阪弁護士会2012年4月号)で、この点について次のような新運用を打ち出しました。


  1. 債権者による取立て・天引き済みの場合
    差押え・天引き額を清算価値に上乗せ。
    ただし、20万円の控除を認める
  2. 第三債務者が供託中または留保中の場合
    (1) 開始前供託部分 預貯金と同視(99万円控除可)
    (2) 開始後供託部分 清算価値に上乗せせず
    (3) 配当された場合 取立済みと同じ

1.は、給与差押え・天引きが債務者の直接的な行為でなく、容易に回避できないことを考慮して控除を認めるとしています。
20万円という金額については説明がありませんが、おそらく、破産手続に移行した場合、破産管財人が否認権を行使したとしても少なくとも20万円は手続費用に必要であり、破産債権者への配当原資とはなり得ないことを考慮したものでしょう。

2.の(1)、(2)は、履行可能性の審査のための積立金と同視し、これと同じ扱いを認めたものです。

全てのケースで債務者が不合理な立場に立たされることを回避できるとは限りませんが、かなりの前進ではないでしょうか。

他庁にも同じような運用が広がることを期待したいところです。

初めての法人破産申立(19)

法人破産の申立代理人は会社の債権者に受任通知を出すべきでしょうか。
この点、パネラーの先生から法人破産の場合は個人の自己破産とは異なり、受任通知を出すことはデメリットが大きいので原則として出すべきではないとの話がありました。
法人破産の取引先等の一般債権者は、個人破産における貸金業者とは異なり、受任通知が来たからといって取立を停止する義務を負っていない、むしろ破産手続の準備に入ったことを開示することで取立に入ったり、担保権の実行を促したり、租税官庁からの滞納処分がなされたりして、現場が混乱することになり、かえって破産申立の準備に支障が生じる等の理由が指摘されていました。
受任通知については新宅さんが以前「破産申立の時期と受任通知」で記載したとおり事案に応じて考えるべきですが、1つの見解として参考にしていただければと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月7日月曜日

初めての法人破産申立(18)

法人が有している預貯金や有価証券の保全に関して、注意すべき点はありますか。
預貯金は相殺の可能性がある場合は早急に現金化しておきます。相殺の可能性は無くとも差押の危険もあるので、できる限り現金化しておくのが望ましいでしょう。
有価証券についても早い段階で預かっておきます。
有価証券の中でも特に手形や小切手は呈示期間に注意してください。開始決定がなされて管財人に引き継ぐまでに期限が到来する場合は支払提示を行って下さい。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月2日水曜日

初めての法人破産申立(17)

会社の決算書類、帳簿類は本社屋に置かれており、通帳や印鑑、鍵は代表者が所持しています。申立代理人としてはどの時点で預かるべきでしょうか。
まず、通帳、印鑑、鍵は原則としてできるだけ早い時点で預かるべきでしょう。
決算書類についても申立に際して必要な添付書類なので早めに預かっておくと良いでしょう。
私は帳簿類は重要度や分量によって判断しています。
管財人の視点にたって管財業務に必要と思われるのであれば、預かったうえで管財人に責任をもって引き継げようにしておきます。
分量が膨大でかつ管財業務には不要と思われる書類であれば、代表者等に保管を委ねて開始決定後管財人の意見を聞くことにしています。
もっとも、申立代理人として不要と判断しても管財人は必要であると考えるかも知れませんので、それまではきちん保管して、代表者等が勝手に破棄しないように指示して下さい。
会計書類や帳簿類が電子データの場合はバックアップと紙ベースに印刷した上での保管も考えて下さい。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年5月1日火曜日

初めての法人破産申立(16)

債権者の一部が在庫商品や機械を強引に引き上げる可能性が高いことが分かりました。申立代理人としてはどうすべきでしょうか。
この点パネラーの先生から24時間監視することは現実には無理であるから、出来る範囲で最大限の保全措置を講じておきべきとの話がありました。
万一債権者が強引に奪ってしまっても、破産申立会社及び代理人としては、できる限りのことはしたと債権者に弁明できるようにしておくという話もありましたが、私も同感です。
機械警備が入っていれば継続する。施錠できるものは施錠する。安全な保管場所に移動可能な物は移動させる。警告書を貼り付ける等の対応を検討することになるでしょう。
裁判官からは債権者申立の事案では保全管理命令を発令したことはあるが、自己破産ではここ3年発令の事例はないとのことですが、必要があれば自己破産でも発令することはありうるとの話もありました。
もっとも、実務上は自己破産申立事件において保全管理命令を出す必要性が認められる事案では早急に開始決定をすることで対応することが多いと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。