2012年7月31日火曜日

全額の異議と簡易配当における配当通知

簡易配当の配当通知の送付先には、全額異議を述べられた破産債権者にも行うことが必要です。

法文上、配当通知の送付先が「届出をした破産債権者」とされています(破産法204条2項。最後配当の場合の配当額の通知を定めた破産法201条7項と比較して下さい。)。

これは、簡易配当の配当通知は、最後配当の配当公告に代わるものとして、除斥期間の始期を画する機能を有していますので(破産法205条198条1項)、全額異議を述べられた破産債権者も配当通知に利害を有しているからです。

2012年7月30日月曜日

管財人報酬の源泉徴収

平成23年3月11日の最高裁判決で、破産管財人には、少なくとも破産者が法人である場合に管財人報酬の源泉徴収義務があることが明らかとなりました。

源泉徴収は、翌月10日までの納付が本則ですが、小規模な会社では6か月ごとに納付する特例を用いていることが通常です。
破産会社がこの特例を用いている場合は、管財の源泉も6か月以内にすれば足ります。
なお、この6か月は、報酬決定時ではなく、実際の受領時が起算日となります。

納付する管轄の税務署は、破産管財人の住所地や事務所所在地ではなく、破産会社の給与支払いを行う事務所を管轄していた税務署となります。

破産管財人としては、開始決定後すぐに当該税務署から納付書を受け取っておくと、源泉徴収事務を忘れずに済みます。
また、源泉徴収後に支払調書を提出することとなりますので、事務費として郵便代も引いておくとよいでしょう。

2012年7月25日水曜日

初めての法人破産申立(62)

所謂荒れる集会について申立代理人として留意すべき点について
申立代理人がどのような対応をしても感情的な発言をする債権者がいることは事実ですが、債権者集会が荒れる理由には事前対応に問題があることも少なくありません。
代理人として受任しているのですから、代表者に直接対応させないことは問題ありませんが、債権者からの問合せに対しては代理人は対応すべきだと思います。
管財人として良く聞くクレームが申立代理人と連絡が取れない、連絡をお願いしても返信がないということです。
また、債権者集会が荒れることが予想される場合は裁判所と管財人にその情報を引き継いでほしいと思います。
その場合、例えば債権者からどのような発言が出るのかある程度予測できるのであればその情報も引き継いでもらいたいと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月24日火曜日

未払賃金立替払制度の連載(第2回)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載第2回は、「制度の利用と立替払いの要件」です。

金融法務事情の最新7月25日号(1950号)90頁です。

申立代理人としての留意事項も書いています。
今までは、研修会で口頭説明に止めていましたが、やっぱり書いておいた方がよいと思い書きました。参考にしていただけたらと思います。

2012年7月23日月曜日

初めての法人破産申立(61)

第1回債権者集会における申立代理人の役割について
まず、代理人として大切なのは破産会社の代表者を集会に同行させることです。
うるさい債権者が来ることが分かっている場合は出たがらない代表者も少なくありませんが、そこはきちんと説得すべきです。
パネラーの先生からは破産会社の代表者には、債権者集会の場で債権者に対するお詫びを述べさせている。集会の場や終了後に債権者から文句を言われることもあるが、基本的には謝罪するという対応で一貫させているという話がありました。
正しい対応だと思います。
ただし、不当な要求に対しては毅然と対応することも必要です。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月20日金曜日

初めての法人破産申立(60)

〇〇データバンクや〇〇リサーチ等の会社から取材の電話があった場合に申立代理人としてはどのように対応すべきでしょうか。
この点パネラーの先生からは、申立直後は情報が錯綜しているし、複数の情報源から不確定な情報がいくつも外部に出ることは好ましくない。必要な事案では記者会見をしたり、報道機関向けにペーパーを用意することもあるが、例外的な場合である。
申立直後に電話取材などで申立の事実を聞かれた場合に答えるかはケースバイケースであるが、開始決定も出ていないのに管財人候補者を漏らしたり、破産に至った経緯をあれこれ話すことは好ましくないとの話がありました。
他方で、破産手続開始決定がなされた後であれば破産した事実や負債総額、債権者数あたりについては答えて支障ないと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月18日水曜日

初めての法人破産申立(59)

依頼者に対する生活指導や精神的なケアについて代理人として注意すべき点について、私自身は経験がありませんが、破産申立をした後に代表者が自ら命をたったという話しを聞いたことがあります
会社を倒産させたことに自責の念を持って代表者については、代理人として精神的な配慮をすること(励ますこと)を考えてください。
他方で、破産申立をした代表者が破産後も(自分の車ではなくても)高級外車を乗り回して、ゴルフをしたり、飲み歩いているというクレームの電話を受けたこともあります。一切の趣味嗜好を止めるべきであるとまでは言いませんが、節度ある慎ましい生活を心がけるように指導すべきです。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月17日火曜日

初めての法人破産申立(58)

事件終結までの破産管財人に対する協力のあり方について申立代理人として留意すべき点についてはどのようなことがあるでしょうか。
申立をして開始決定が出るとそこであたかも申立代理人の仕事は終わったかのように考える代理人をときどきいますが、それは間違いです。
開始決定後でも、管財人から問い合わせや協力の依頼があれば、速やかに対応することを心がけてください。
管財人は転送郵便物をチェックしていますが、①新たな債権者ではないのか②申立書には記載のない財産ではないのか③処理未了の継続的契約ではないのか等の疑問が生じれば申立代理に説明を求めます。
代理人としては説明に回答するだけではなく必要に応じて、債権者追加の上申書や報告書を作成して裁判所及び管財人に提出するようにしてください。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月13日金曜日

初めての法人破産申立(57)

破産管財人への引き継ぎにあたり、申立代理人が注意すべき点にはどのようなことがあるでしょうか。
引き継ぎの対象には書類と情報がありますが、いずれも速やかに行うこととが大切です。
管財業務(特に換価業務)に必要な書類はものは、早急に漏れなく引き継ぐことをお願いしたいと思います。引き継ぎに際しては引継書を作成してください。
通帳などは預ける直前に記帳してもらえると管財人としてはありがたいです。
また、引き継ぎに際しては、管財人が早期に対応することが望まれる事項についてきちんと情報を伝えて欲しいと思います。
そして、破産管財人との面談に際しては、不利益なことも含めて情報を開示するという姿勢を持って欲しいと思います。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月12日木曜日

初めての法人破産申立(56)

申立書に添付する資料については、破産規則の14条に記載されているものの他、取締役会議事録、(不動産があれば)登記簿、(自動車があれば)車検証、陳述書は添付するようにしている。また、債権者一覧表の作成に際しては、個人の同廃事件と異なり、事業停止後に受任通知を送付するので、債権調査を行う時間的な余裕はないので、債権者一覧表の債権額の金額の正確性について神経質になる必要はないとの話しがパネラーの先生からありました。

ちなみに、私は法人破産申立の添付資料については大阪地方裁判所と大阪弁護士会の破産管財運用プロジェクトチームが執筆している「新版・破産管財手続の運用と書式」に記載されているチェックリストを参考にしてます。


(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカ
ッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月11日水曜日

初めての法人破産申立(55)

申立書作成に際しての注意点についてはパネラーの先生からは申立書と陳述書については、破産規則(13条)に従って、大きく分けて法人の事業の概要、破産申立に至る経緯・原因と現在の資産及び負債の状況の2つを記載するようにしている。
前者は管財人がそれを見れば債権者集会の報告書をまとめら得るように意識的に細かく書いている。また、後者については決算書と現有資産との乖離の理由、資産目録とおりの評価をした根拠を明確にするようにしているとの話がありました。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカ
ッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

2012年7月10日火曜日

個人再生の管轄

個人再生の管轄は、住所地の裁判所です(民事再生法5条、民事訴訟法4条2項)。
住所地は、必ずしも住民票所在地と一致するわけではなく、生活の本拠が住所地となります(民法22条)。
個人事業者の場合は、営業所の所在地にも管轄があります(民事再生法5条)。

また、破産と同じく、連帯債務者間、主債務者と保証人間、夫婦間の一方に管轄があれば、他方にも管轄が生じます(民事再生法5条7項各号)。

例えば、主債務者が大阪市内、保証人が京都市内に住所を有する場合、主債務者、保証人とも大阪地裁に個人再生の申立てを行うことが可能です。

なお、民事再生法5条7項柱書は、「一人について再生事件が係属しているときは」としていますが、同時申立ても可能です。

2012年7月9日月曜日

全倒ネット研修会

先週の土曜日(7月7日)に全倒ネット関東地区の第21回研修会が千葉で行われました。
私はパネルディスカッションのコーディネーターを担当させてもらいました。
内容については時期をみてこのブログで連載報告したいと思います。
また、この研修会の準備と仕事に追われて中断している法人破産申立の連載も近日中に再開したいと思います。

次回の関東地区の研修会は10月13日(土)に茨城県の水戸で行います。全倒ネットの会員でなくても参加できますが、まだ加入されていない弁護士の先生方は是非とも加入してください。
今加入すれば今年の秋に発売される予定の「破産実務Q&A200問」がもらえるはずです(通信費を支払っている会員に無償で配布される予定です)。

未払賃金立替払制度の連載開始!

昨年3月から労働者健康福祉機構の未払賃金立替払制度の研修会を全国各地で開催してきましたが、金融法務事情に「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」と題する連載を掲載していただけることになりました。

第1回は最新7月10日号(1949号)60頁の「未払賃金立替払制度の概要」です。
研修会でご一緒している機構の吉田さんと2人で担当しています。

QA方式で、機構と破産管財人のそれぞれの立場から説明しています。

是非ご一読ください!

2012年7月6日金曜日

「特定○○」という法律用語

最近、「特定○○」という法律用語が多いように思います。

法律だと、特定商取引法や特定調停法、一般的に通りがいいのは特定保健用食品(トクホ)でしょうか。

いずれも「ある一定の要件を満たす」という制度や物、ということなのでしょうけれども、全く名が体を表していません。
特定商取引法も特定調停法も、内容を知っているからいいようなものの、法律名からだけだと何のための法律やらさっぱりわかりません。

また、特定商取引法などですと、「商取引」は無数にあるわけですから、次に特定商取引法とは全く別の目的も範囲も異なる「商取引」に関する法律を作ろうとしても、すでに使ってしまっている「特定」を冠することはできなくなってしまうはずです。

ネーミングは難しいですが、内容を知らないと法律名がわからない、という立法は避けていただきたいですね。

2012年7月3日火曜日

『破産管財実践マニュアル』8刷に

『破産管財実践マニュアル』の8刷が本屋さんに並ぶようになりました。

これで、発行部数は累計8400部です。ここまで広がるとうれしいですね。

3年前の平成21年7月3日、東京の青林書院の会議室で最後の確認作業をして責了となったことを思い出します。

あれからもう3年なんだなあ、と思うと共に、もっとよいものにしたいなあ、と強く思います。

はしがきに、「筆者らの試みが功を奏するかどうかは、これから数年を経てみないとわかりませんが」と書きましたが、その「数年」のうち3年が経過しようとしています。裾野拡大と全体のレベルアップが図られているとありがたいのですが。それを信じてこれからも進むことにしたいと思います。

2012年7月2日月曜日

『争点 倒産実務の諸問題』

大阪の倒産実務交流会編『争点 倒産実務の諸問題』(青林書院)が出来上がりました。

2つの会社更生事件の管財人団による勉強会が大きく発展しました。これまでの6年間の成果です。

本書には、これまで銀行法務21に掲載させていただいた論文22本(野村2本と新宅1本)を収録しています。

日々の業務に役立つ内容となっておりますので、是非ご一読を!