2012年8月24日金曜日

未払賃金立替払制度の連載(第4回)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載第4回は、「退職金に関する留意点」です。

金融法務事情の最新8月25日号(1952号)104頁です。

退職金に関しては、いろいろと問題のあるところですので、参考にしていただけたらと思います。

次号は特集号なので、連載もお休みです。次々号から再開です。

2012年8月23日木曜日

債権届の代理人

破産債権者が債権届をするに際して、従業員を代理人とすることがあります。

弁護士代理の原則(破産法13条、民事訴訟法54条)との関係が一応問題となりますが、債権届における代理人は「訴訟代理人」ではないと解されています(「条解破産法」754頁、「コンメンタール民事訴訟法I」530頁)。

ですので、従業員が代理人として提出した債権届出書も有効です。

もちろん、委任状の有無を確認することは必要です。

2012年8月12日日曜日

個人再生における履行可能性(2)

再生計画認可の要件に履行可能性が必要となるのは、前回のエントリーのとおりです。


もっとも、再生債務者の収入のみで履行が可能できなければならないわけではありません。
同居親族の収入や、別居親族等の援助を加えて履行が可能となれば、それで足ります。

もちろん、小規模個人再生では、再生債務者自身に「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」(民事再生法231条2項1号)があることが、給与所得者等再生では、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者」で、かつ、「その額の変動の幅が小さいと見込まれる者」でであること(民事再生法241条1項4号)が前提です(正確には、これらの事情がないことが不認可の要件です。)。

また、親族等の援助が確実であることを疎明するために、援助者の源泉徴収票など収入に関する資料に加え、特に家計が別である別居の親族などの場合には、再生計画の履行期間に確実に援助を行う旨を記載した陳述書や上申書の提出が必要となるでしょう。

2012年8月11日土曜日

個人再生における履行可能性(1)

個人再生でも、再生計画の履行の見込みがないときは、再生計画が認可されません(民事再生法231条1項241条2項1号174条2項2号)。

ただし、住宅資金特別条項を定める場合は、履行可能性があると認められなければ、再生計画は不認可となります(民事再生法231条1項かっこ書き241条2項1号かっこ書き202条2項2号)。


微妙な違いですが、理論上は、住宅資金特別条項を定める場合には、積極的に履行可能性が認められる必要があるのに対し、それ以外の場合には、履行可能性が否定されなければよいとされています。

もっとも、実務上、これらの違いは意識されてはいるものの、結論が異なる場面は少ないように思われます。

2012年8月10日金曜日

親族への不動産の譲渡

破産者所有の不動産について、破産者の親族が買取りを希望することがあります。
特に自宅不動産が多いのですが、適切な価額であれば破産管財人としてこれを拒む必要はありません。

当然、買受希望価額が適切であることを確認するために、破産管財人が業者の査定を経ることは必須です。もっとも、買受希望価額が査定額を上回っていれば、入札を実施する必要まではありません。

ただし、購入代金が破産者や破産者が代表者であった破産会社の隠し財産であることも希にあります。
ですので、購入代金の原資は確認した方がいいでしょう。

なお、親族買取りを避けたいとする別除権者もいますので、その意向を確認することが必要です。

未払賃金立替払制度の連載(第3回)

「破産管財人のための未払賃金立替払制度の実務」の連載第3回は、「機構の審査と破産管財人の留意点」です。

金融法務事情の最新8月10日号(1951号)94頁です。

機構の審査上のチェック事項や提出書類をまとめた一覧表や、管財人としての工夫といった点を書いています。

参考にしていただけたらと思います。

2012年8月8日水曜日

普通預金と相殺

個人の普通預金が金融機関によって相殺される場合、口座自体が解約されるときと、出金扱いのみで口座自体は残るときがあります。

後者の場合、破産管財人としては、自由財産拡張または放棄の処理をする必要があります。

2012年8月6日月曜日

破産者宛郵便物の転送(3)

転送郵便物で気をつけなければならないのは、破産者が社会保険の任意継続をしている場合の保険料の納付書です。
破産者が納付を怠ると、任意継続が打ち切られてしまいますので、速やかに破産者に引き継ぐことが必要です。

選挙の入場券も投票日当日までに引き継ぐことが好ましいことはいうまでもありません。
もっとも、入場券がなくとも、免許証などで本人確認ができれば投票は可能です。したがって、そのことを破産者に伝えて対処を図ることもあります。

2012年8月5日日曜日

配当日

配当日は、破産管財人が裁判所と相談しながら決めることになりますが、基本的には破産管財人の意向が優先される運用が取られています。

配当は銀行の窓口から振込で行うことが通常ですから、いわゆる五十日や月末など決済が集中する日は避けるべきでしょう。
混雑のため事務員の時間が取られることをを避けることができますし、銀行のミスの危険性も回避することができます。

2012年8月4日土曜日

公租公課の弁済時期と延滞税等の減免

公租公課は、財団債権と優先的破産債権に分かれます。
(厳密には劣後的破産債権もありますが、配当可能となることはほとんどないので、ここでは無視します。)。

これらの公租公課は、いつ弁済・配当することとなるでしょうか。

財団債権は適宜の時期に弁済すればいいのですが、通常は換価終了後に行うことが多いでしょう。事件の進行によっては、維持廃止後に財団債権を按分弁済することもあります。

これに対して、優先的破産債権は、他の破産債権と同じく配当の対象となります。

しかし、大阪地裁では、優先的破産債権について裁判所の許可を得て財団債権化し、弁済するという運用が行われています(和解許可方式)。
この場合の弁済時期は、財団債権と同じになります。
ただし、弁済は維持廃止後でも可能ですが、和解許可自体は廃止前に行う必要があるとされています。

和解許可方式には、2つの局面でメリットがあります。

1つめは、優先的破産債権の一部までは配当が可能であるけれども、一般破産債権までは配当が及ばない場合です。
このような場合に配当手続を行おうとすると、配当がない一般破産債権者にも債権届を促すこととなり、不経済です。
和解許可方式では、これを回避することができます。

2つめは、財団債権・優先的破産債権の両方の延滞税や延滞金について減免申請を行う場合です。
減免申請には、本税を支払う財団が形成された場合の減免(国税通則法63条6項4号同法施行令26条の2第1項地方税法20条の9の5第2項3号同法施行令6条の20の3)と、やむを得ない事由による減免(地方税法64条3項326条3項369条2項等)とがあります。
特に前者について、財団債権部分を弁済するだけでは減免を認めず、優先的破産債権部分まで配当して初めて減免に応じるとする公租公課庁が多いようです。
和解許可によって、優先的破産債権部分を財団債権と同時に弁済することで、この点をクリアすることが容易になります。

2012年8月3日金曜日

個人再生と免除益課税

通常再生では、再生計画による権利変更で生じる免除益に対する課税を回避するために、さまざまな工夫を凝らす必要があります。

個人の場合も、債務免除を受けたときに所得税が発生するのが本則です(所得税法36条1項所得税基本通達36-15(5))。
しかし、再生債務者は、「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」ですので、債務免除益は所得に参入されず、所得税は発生しません(所得税基本通達36-179-12の2)。

同様に、免除を受けたことによって贈与により財産を取得したものとして贈与税課税がなされるかが問題となりうるものの、「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、当該債務の全部又は一部の免除を受けたとき」(相続税法8条1号)にあたるので、贈与税も発生しません。

2012年8月2日木曜日

当座預金の通帳

当座預金についても通帳が発行されている場合がありますが、普通預金の通帳と異なり、取引の履歴が全部記帳されるわけではありません。
当座預金の動きについては、必ず当座勘定照合表や帳簿を確認することが必要です。

2012年8月1日水曜日

初めての法人破産申立(63)

裁判所から、債権者集会において申立代理人に期待することについて
パネラーの裁判官からは債権者から厳しい発言がなされた場合に、代表者や代理人が何も言わずに黙っていると債権者がますます怒り出すということもあるので、その場の雰囲気を感じ取って、裁判所に発言の許可を求めて、誠実に状況説明をして欲しいという話がありました。
また、荒れる集会は債権者側の問題もあるが、破産申立に至る経緯に問題があることも多いので、その辺の事情に対する配慮を示してもらいたいという話がありました。
(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

管財人口座をどの金融機関のどの支店でつくるか

管財人口座(高価品保管口座)は、事務員の利便を考えると、弁護士が通常の業務用口座を有している金融機関の支店で開設するのが基本的な考え方でしょう。


もっとも、近時は、開設手続きをしても実際に利用できるようになるまで1週間程度の期間を要する金融機関もあります。
振込先が特定できないため、売掛金の回収のための請求書すら発送することができず、管財業務に支障を来すことがありえます。

また、配当を行う際に、連記用の振込用紙を利用させてくれない銀行もあります。

さらに、財団債権や優先的破産債権である公租公課を納付書で弁済・配当する場合に、市町村によっては取扱金融機関でなく、管財人口座から取扱金融機関まで現金を移動させなければならないこともあります。


このような事情を考慮して、通常は利用していない金融機関を管財人口座とすることも検討しています。