2014年4月16日水曜日

『未払賃金立替払制度実務ハンドブック』の正誤表

おかげさまで、 『未払賃金立替払制度実務ハンドブック』 (金融財政事情研究会)も増刷されました。


増刷の際に字句修正した点につき、正誤表が出来上がりましたので、ご確認ください。


今後もご利用いただけますと幸いです。


よろしくお願いします。

2014年4月12日土曜日

給与の天引きと否認・相殺禁止

「破産管財実践マニュアル〔第2版〕」251頁に、給与からの天引きと否認についての記載があります。

やや誤解を招く表現となっていますが、ここで主に想定して述べているのは、地方公共団体が公務員の給与を天引きし、共済組合に払い込んでいる場合です(地方公務員等共済組合法115条2項)。

そもそも、このような法令上の根拠がない場合、勤務先が従業員の給与を天引きし、貸付金の弁済に充当することは、賃金の全額払の原則(労働基準法24条1項)に違反し、無効です。

これに対し、従業員の自由な意思に基づく同意がある場合は全額払の原則に反せず、勤務先は天引きの方法で相殺することが許されるとされています。
しかし、同意が危機時期になされた場合は、従業員の同意の否認が問題となります。


また、同意が危機時期以前になされている場合も、相殺禁止(71条1項3号)を検討する必要があります。しかし、労働契約が危機時期以前に締結されているのであれば、相殺禁止の例外(同条2項2号)に該当する可能性が高いのではないかと考えられます。

2014年4月1日火曜日

未払賃金立替払制度における事実上の倒産認定申請の際の注意点

研修会で強調している件ですが、労働者健康福祉機構からのアナウンスの中に次の点があります。

退職日から6ヶ月以内に、破産手続開始申立等が行われなければ、立替払の対象とはなりません。
立替払の対象となる労働者は、破産手続開始等の申立日(または事実上の倒産に係る労働基準監督署長への認定申請日)の6月前の日から2年の間に
当該事業場を退職した者に限られます。
(賃金の支払の確保等に関する法律施行令第3条第1項)

この点、どうしても破産申立てが遅れる場合は、従業員の方一名でよいので、労基署に駆け込んでもらい、事実上の倒産の認定申請をしてもらってください、と研修会でアナウンスしているのですが、その後のことを書いておきます。

事実上の倒産の認定申請で6か月要件はクリアするのですが、その後、ちゃんと事実上の倒産の認定を受けていただく必要があります。

事実上の倒産の認定後に破産手続開始決定があった場合には、事実上の倒産の認定申請日が基準日となりますが、事実上の倒産の認定を受ける前に、破産手続開始決定を受けると、基準日が破産申立日となるので、6か月要件を満たしていないという事態になりかねないのです。

賃金の支払の確保等に関する法律施行令第3条(『未払賃金立替払制度実務ハンドブック』233頁)は、そのような建て付けにしているようです。

もちろん、そのような事案では労基署も配慮していただけることかと思いますが、申立代理人としても、収集した財産に関する資料を労基署に提供して事実上の倒産の認定が早く出るよう協力した方がよいと思います。

新・判例解説Watch 2014年4月版が発刊されました!

新・判例解説Watchの2014年4月版が発刊されました。


今回の倒産法関係は、4件ありますね。


なお、No.3は、管理型の通常再生で最高裁まで勝ち切った事案です。前に負けた最一小判平23・11・24と同じ一小でした・・・


【倒産法】

No.1 債務整理開始通知の送付が支払停止に当たるとされた事例……杉本純子 
(最二小判平24・10・19)
No.2 再生手続下での別除権協定がなされた後破産手続に移行し競売がなされた場合における被担保債権の限定の有無(積極)……木村真也 
(高松高判平24・1・20)
No.3 予備的届出の付記なく再生債権として届出された共益債権の再生手続外行使の可否
(消極)……上田 純 
(最一小判平25・11・21)
No.4 再生手続開始申立て後に金融機関が解約した投資信託の解約金との相殺の効力(積極)……野村剛司 
(名古屋地判平25・1・25)